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2006年1月 6日 (金)

「サマータイムマシン・ブルース」

Summertimemachineblues 2005年・日本   107分
配給:東芝エンタテインメント
監督:本広克行
原作:上田誠
脚本:上田誠
撮影:川越一成
プロデューサー:本広克行、安藤親広

京都の劇団「ヨーロッパ企画」による舞台劇「サマータイムマシン・ブルース2003」の映画化作品。タイムマシンを巡って思いがけない事態に巻き込まれる学生たちの姿を描く青春コメディ。監督は「踊る大捜査線」シリーズの本広克行。舞台劇に惚れ込んだ本広監督が自ら初プロデュースも手がけて完成させた。出演は映画初主演となる瑛太、ヒロインに「スウィングガールズ」の上野樹里、その他ムロツヨシ、真木よう子、佐々木蔵之介らが顔を揃える。


ある大学のSF研究会の部室に、突然未来からタイムマシンが現われ、それが元で起きるドタバタを描くコメディ。題名はロックの名曲「サマータイム・ブルース」(サラ・バレッキーの小説にも同名のものあり)にタイムマシンを引っ掛けたもの。

タイムマシンがあれば、どの時代に行くか…と考えるものだが、研究会の連中が考えたのが、壊してしまったばかりのクーラーのリモコンを昨日に行って取って来る…というセコいもの。ところが、第1陣が出発した後、過去を変えてしまうとタイムパラドックスが生じて大変なことになる…と気が付いた連中が、何とか過去を変えないようにと動き回った為に、余計おかしなことになり…と、物語は二転三転、リモコンは過去から未来へと不思議な旅をすることとなる。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」へのオマージュもあったり(名画座にポスターあり)、タイムマシンものの傑作小説、広瀬正の「マイナス・ゼロ」を思わせる何重にも混み入ったタイムトラベルあり…と、タイムマシンものが好きな人にはニヤリとさせられるストーリー展開が楽しい。

いたる所に、後に繋がる伏線が仕掛けられており、片時も目が離せない。後でよく考えたら辻褄の合わない所や突っ込みどころ(100年も地中にもぐってたら、金属は錆び、プラスチックは劣化するはず)もあるのだが、テンポのいい演出によって観ている間はそれを感じさせない。

とにかく脚本が周到に練られており、よく出来ている。本広監督の地元、香川県の地方都市・善通寺のロケもノスタルジックなムードを盛り上げるのにうまく生かされているし、監督お得意の、さまざまな小道具やアイテムの配置も相変わらず(タイムマシンの造形がH・G・ウェルズ原作の映画「タイム・マシン」に登場するものと、イメージ的によく似ている所にも注目)。

タイムトラベルを中心としたSFが好きな人には絶対楽しめるが、コメディとしても楽しいし、個性的な若者たちによる青春学園ものとして観ても楽しめる(本広監督が好きだという「うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー」の雰囲気もやや感じさせる)。そういう意味では、見直す度に新たな発見があったり、いろいろな楽しみ方が出来る、何度観ても面白い作品であると言えよう。快作である。   
(採点=★★★★☆

(2005年9月25日)

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