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2006年1月 5日 (木)

「アヴァロン」

Avalon 2001年・日本
製作:バンダイビジュアル=メディアファクトリー
配給:日本ヘラルド映画
監督:押井守
脚本:伊藤和典
音楽:川井憲次 

近未来を舞台に、仮想ゲームに熱中する女戦士の“闘い“を描いたSFドラマで、ポーランドにオールロケを敢行した作品。監督は「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」の押井守。脚本は「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」の伊藤和典。

「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」以来5年半ぶり、待ちに待った押井守待望の新作である。それもまたまた新しいアイデア、なんと実写でアニメを作るというのである!。

これまでも「紅い眼鏡」など3本の実写作品を手掛けているが、前々から彼は絵コンテなどで設計した通りの絵造りが出来ない事を不満に感じており、デジタル時代になってやっとその夢が実現したと言う。冒頭の市街戦の映像は、まさに実写でもなくアニメでもない、限りなくヴァーチャルな仮想映像として表現されている。

これが実は3DCGゲームの映像である事が分るのだが、その後主人公が謎のゲーム世界を探し求めて行く過程で、いつしか現実と虚構のはざまに落ち込んで行く…というストーリーは、押井の最初の傑作「うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー」(84)以来彼がずっと描き続けている「この世は現実か、夢の続きか」というテーマの延長にある世界であり、まさに押井ワールド。

前半はゲーム世界も現実世界もモノクロ映像で、最後に“リアル”と呼ばれるゲーム世界に突入した途端、鮮やかなカラーになる所はハッとさせられる。

押井ファンには楽しめる作品ではあるが、コンセプトそのものは既に小説で岡嶋二人が「クラインの壷」で、映画でデヴィッド・クローネンバーグが「イグジステンス」で先行しているだけに少々つらいものがある。
今回は“実写によるアニメ作り”という実験がほぼ成功した事について評価すべきだろう。が、やはり革新的な問題作である事に間違いはない。

次回作はアニメだそうで、やはり当分は押井守からは目が離せない。ちなみにロケはすべてポーランドで撮影されているが、ここを舞台に選んだのは押井が大のアンジェイ・ワイダのファンである事と無関係ではない。主人公の名前が“アッシュ”(=灰)であるのは、多分押井が大好きなワイダの「灰とダイヤモンド」から取られているに違いないからである。    (採点=★★★★

(2001年2月3日)

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