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2006年3月 7日 (火)

「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」

Waresgroumit (2005年・ドリームワークス/監督:ニック・パーク/スティーヴ・ボックス)

今では希少価値となった、クレイ(粘土)・アニメ・シリーズとして、これまで短編が数本作られ、大評判となったおなじみコンビ主演の久しぶりの、そして初の長編作である。―それにしても、前作「ウォレスとグルミット危機一髪!」(95)から、実に10年!も経っているのである。初期の作品からの大ファンである私にとっては、特に感慨深いものがある。

本作のような、人形を1コマずつ動かす、いわゆる“コマ撮りアニメーション”は、古くはジョージ・パルによる“パペトゥーン”の時代から、レイ・ハリーハウゼンやわが川本喜八郎などの活躍もあって一時は人気があったが、なんせ1分撮るのに1週間かかるという、おそろしく根気と時間がいることもあり、加えてここ数年の、コマ撮りアニメより手間も時間もかからないCGアニメの台頭により、コマ撮りアニメは存亡の危機を迎えたと言っていい。そんな時代に、ひたすら粘土アニメにこだわり続ける、本シリーズの生みの親であるニック・パークの存在は貴重である。…それにしても、10年前にはCGアニメなんてなかったはずである。技術の進歩は目を見張るものがある。なお、ニック・パークのクレイ・アニメ作品としては2000年に「チキンラン」(ピーター・ロードと共同)が作られている。

で、物語の方は、野菜畑を荒らすウサギ退治に、発明家のウォレスと助手のグルミットが乗り出し、ウサギ捕獲機や、ウサギを野菜嫌いにする洗脳マシンなどを次々発明し、稼動させるのだが、手違いから大騒ぎになって行く…というおなじみのパターンで、まず安心して観ていられる。いつもながら、いろんな映画のパロディ(今回は特に'50年代B級ホラー・SF映画中心)も満載で、映画ファンなら余計楽しめる。なお本年度のアカデミー賞では、見事アカデミー長編アニメーション賞を受賞した。

10年経ったとはいえ、作り方は基本的には同じで、ギクシャクした動きもほとんど変わらない。人形の表面にうっすら指紋が残っているのもご愛嬌。ただし、夥しい数のウサギやら、100人もいるという町の人々が動き回るので、手間は昔よりもっと大変だろう。なお、ガラスの捕獲機の中をウサギが空中遊泳するシーンでは一部CGが使われている。大人から子供まで楽しめる、手づくりの芸術品と言ってもいい佳作である。

あえて難点を挙げれば、長編(1時間25分)になった分、話が広がり過ぎて散漫になった感があった(特にウォレスの変身はいま一つ)。

30分にぎっしりアイデアとギャグを詰め込んだこれまでの作品(「チーズ・ホリデー」「ペンギンに気をつけろ」「危機一髪!」等)の方が私には愛着がある。未見の方には是非それらの作品もビデオなどでご覧になることをお奨めする。     (採点=★★★★☆

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