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2006年5月21日 (日)

村上もとか「龍-RON-」

Ron2 今回はマンガです。

コミック誌「ビッグコミック・オリジナル」に、1991年から足掛け16年にも!わたって連載されていた、村上もとかさん原作・画「龍-RON-」が、5月20日発売号でようやく最終回を迎えました。

単行本が、多分最終回分を含めて42巻になりそうです。

「こち亀」や「うる星やつら」などのギャグ漫画は別にして、
一貫したストーリーのある大河ロマンとしては最長記録ではないでしょうか。

なぜこの作品を取り上げるかと言うと、
この作品には、著名な映画関係者が多数登場しているからです。その為、映画ファンの中にもこの漫画を読んでいる方は少なからずいると思われます。

物語は、昭和初期、財閥の家に生まれた風雲児、押小路龍が、迫り来る戦争への流れの中で、貧しい農家出の田鶴ていと深く愛し合い、大陸に渡り、数奇な運命に翻弄され、戦い、終戦後はインドに脱出するまでの波乱万丈の人生を描きます。

その中で登場するのが、満州事変とその首謀者の一人である石原莞爾や、大杉栄虐殺に関わり、後に満州に渡って満映理事長となる甘粕正彦、226事件の首謀者、北一輝などで、さらには魯迅、毛沢東、周恩来なども実名で登場します。

これだけでもスケールの大きなドラマである事が分かりますが、映画ファンとして見逃せないのが、当時の映画人たちで、
まず田鶴ていが才能を見込まれて映画女優となるのですが、そのていの素質を認めて映画女優になるのを勧めるのが大女優・入沢たき子、初出演作の監督がアメリカ帰りのトーマス栗田、会社の重役が、元サイレントのチャンバラ・スター、尾野松之助…と、一応映画関係者はみんな仮名になっております。

ご存知ない方の為に、モデルになった方々を順に挙げますと、
入江たか子栗原トーマス尾上松之助…と言うわけです(と書いても知らない方もいるでしょうね)。

この後、いずれも仮名ですが、溝口健二、岡田時彦、小津安二郎、山中貞雄などが登場します(ちなみに岡田時彦は、岡田茉利子のお父さんです)。

そして、終盤では、田鶴ていは日本初の女流映画監督として、満映で数本の映画を撮ることになります。

こうした物語が、複雑な人物関係や歴史上の事件をふまえながら延々と続いて行くのです。途中で、何時になったら終わるのか…と思うことも何度か(笑)。

ところが、最後の2話くらいで、いきなりポンポンと話が飛んで、突然2001年になって、後日譚が簡単に周囲の人物から語られた後、唐突に最終回を迎えてしまいます

それまでの、悠々たる展開に比べて、この端折り方は何なんでしょうね。もう少し、しみじみとした終わり方を期待していたのに、肩透かしを食らった感じです。

まあそれはともかく、この漫画で、激動の昭和史と、戦前の日本映画史については随分勉強する事が出来ました。村上さんには長い間ご苦労様でしたとねぎらいの言葉をかけておくこととします。

映画ファン、特に山中貞雄とか満映(及び理事長甘粕正彦)に興味のある方には必読の力作であると言えましょう。

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コメント

16年も連載してたんですね。始まったときからオリジナル誌でずっと読んでいました。
唐突に終わったのは何か問題があったのかなと思っています。

投稿: mahoroba | 2006年6月13日 (火) 20:21

mahorobaさん コメントありがとうございます。

本当に、あれだけゆったり進んでいた物語が急転回。
中国の歴史にかなり深入りしてましたからね。なにか言われた可能性はあります。
まあ、でも16年は長かった(笑)。

投稿: Kei | 2006年6月14日 (水) 07:28

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