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2007年3月 4日 (日)

「ドリームガールズ」

Dreamgirls (2006年・ドリームワークス/監督:ビル・コンドン)

このところまた隆盛を迎えつつある、ブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品。ミュージカル大好きの私にとっては見逃せない。しかもテーマは音楽業界における無名の歌手たちのサクセス・ストーリー。こういう話も昔からよくあるパターンでハズレが少ない。

黒人女性3人グループの“ドリーメッツ”が、無名時代のオーディション、人気歌手のバック・コーラスなどの長い下積み時代を経て、徐々に売れて行き、成功するまでのお話。

やはり圧巻なのは、派手な振り付けも加えたステージ・シーン。さまざまな角度から捕えられた短いショットの積み重ねがダイナミックで、黒人特有のハリと声量ある歌いっぷりも音楽ファンにはたまらない。

中心となるディーナ役、ビョンセ・ノウルズもいいが、もう一人の主役であるエフィー役のジェニファー・ハドソンが素晴らしい。そのパワフルかつダイナミックな迫力には圧倒される。

最初はリード・ボーカルを務めたものの、ルックスが映えない事からサブに追いやられ、グループからもはずれて辛酸を舐めるが、最後に仲間たちの温かい友情に迎えられるラストには思わず涙が溢れた。

特に、メンバーチェンジを告げられたエフィーが、その悲しみを誰もいない楽屋裏で切々と、しかしパワフルに歌うナンバー、"And I Am Telling You, I'm Not Going" が素晴らしい。あと、ノリのいいテンポの"One Night Only" も好きな曲。断然CDが欲しくなった。

ディーナたちがエフィーをメインから外す提案に対して、グループとしての成功を取るか、仲間の友情を取るか…と決断を迫られる辺りは興味深い。実話かどうかはともかく、業界でもよくある話なのだろう。

これで思い出したのが、ビートルズのメンバー交代にまつわる話である。
実はデビュー当時のビートルズのメンバーには、ドラマーはリンゴでなく、ピート・ベストがいたのだが、辣腕マネージャーのブライアン・エプスタインが、ピートを解雇し、別のグループにいたリンゴ・スターとの差替えを断行した。

その理由は諸説あり、今もって謎とされているが、マッシュルーム・カットにせよというエプスタインの方針を彼1人が断り、リーゼント・ヘアのままでいたというように、グループの中でやや浮いた存在であったのは確かなようだ。(結果論だが)、ピートがいたままならあれだけの世界的な大成功を収めたかどうか。エプスタインの決断は正しかったと言えるかも知れない。この映画は、そのエピソードも多少参考にしているのかも知れない。(なお、この話は昨年だか、NHK-BSでドキュメンタリー「ビートルズ誕生秘話/ピート・ベスト物語」として放映されている)

ドリーメッツのモデルとなったのは、あのダイアナ・ロス率いるシュープリームス。その他にも、実名こそ出ないが観れば誰がモデルかすぐ判る。エディ・マーフィー演じる人気絶頂のR&B歌手、ジェームズ・“サンダー”・アーリーはジェームズ・ブラウン(プラス何人かをミックス)、楽しいのは5人組の兄弟グループで、もう見ればすぐにジャクソン・ファイブと判る。おチビちゃんのリード・ボーカルは言わずと知れたマイケル・ジャクソンですね。

監督のビル・コンドンは、ミュージカル「シカゴ」の脚本で知られるが、この人には監督作として「フランケンシュタイン」の監督だったジェームズ・ホエールの晩年を描いた「ゴッド・アンド・モンスター」という秀作があり(アカデミー脚本賞を受賞)、人物を深く掘り下げる構成力の確かさは本作でも如何なく発揮されている。

ミュージカル・ファンには絶対のお奨めだが、’70年代のロック・ミュージック好きな方にもお奨めの、素敵なミュージカル映画の佳作である。     

 (採点=★★★★☆

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