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2008年12月18日 (木)

「252 -生存者あり-」

252 (2008年・ワーナー/監督:水田 伸生)

巨大台風に襲われた東京で、娘と共に地下に閉じ込められた、元ハイパーレスキュー隊員の篠原祐司(伊藤英明)と、夫と娘の身を案じるその妻を中心に、彼らの救出に全力を注ぐ祐司の兄静馬(内野聖陽)たちハイパーレスキュー隊の活躍を描くパニック・スペクタクル。

 
CG技術が発達したおかげで、我が国でもリアルで迫力のあるVFX映像が作られ、少なくともパニック・スペクタクル・シーンについてはハリウッド作品と比べても遜色ない映画が作られるようになった。その点は喜ばしい事である。

だが、ドラマ作り、物語展開に関しては、まだまだお寒い限りだ。突っ込みどころ満載である。

まあ突っ込みどころについては、他所でもいろいろ書かれているので、ここではいちいち挙げない。

しかし、一番問題なのは、VFXによる災害シーンと、閉じ込められた主人公たちの描写とが根本的にミスマッチな点である。

高潮でお台場は完全水没、銀座、新橋にも高波が押し寄せる絵を見てると、あれじゃどう考えても新橋は床上浸水、―従って地下は完全に水没したとしか思えない(地下鉄の車輌が濁流で冠水してるし)。

が、その後、地下の水がきれいに引いてるのはおかしい。あれだけ大量の水が、しかも地下2階からそんなに早くは引かない。海抜も低いはず。濁流に押し流された祐司がどうやって助かったかの描写も無い。

さらに、逃げ込んだ旧新橋駅にはまったく水が来ていない。しかもガイドブックによると、そこは地下3階なんだと。ここは完全防水か?(笑)

他にも、地震ならともかく、出水程度なら、地上に出る出口なんか、探せばいくらでもあるだろうに…とか、ラストでも暴風でなんで地盤崩落が発生するのか、と疑問だらけ。

考えられるのは、最初の企画では、大地震の発生と、それによって閉じ込められた人々の救出―というお話だったのでは。 (後述、付記1参照)
それが途中で、地震よりも大洪水の方が絵になる台風の方がタイムリミット・サスペンスにもなる…という安直な発想で設定が強引に変更されたのではないか。

<ついでに、「ポセイドン・アドベンチャー」も入れてみよう>、<「バックドラフト」の兄弟愛も入れてみては><子供も入れて泣かせの要素も追加しとこう>…てな調子で、あれもこれもと詰め込んだ結果が、辻褄無視、継ぎはぎだらけ、感動押し売りの支離滅裂超大作一丁あがり…というわけである。

ラストで、祐司が地底からピンピンして昔の相棒肩にかついでよっこらしょ…と現れた時にや、感動どころか失笑ものであった。洪水で流されても助かってるし…、こいつはスーパーマンか、と突っ込んでしまった。

突っ込みついでに、祐司が2、5、2回と数字を決めてガンガン叩くように指示してるが、別にそんなサイン決めなくても、とにかく何でもガンガン叩けば、生存者がいるの分かるだろうが(ウーム、突っ込まないと言いながら結構突っ込んじゃったな(笑))。

 
せっかく日本映画にも観客が増えて来ているというのに、企画の安直さ、人物設定のラフさ、脚本のグチャグチャぶり、加えて相変わらずの、ドラマのテンポを著しく削ぐベタベタの泣かせ所満載(18分のタイムリミットにも、まるで緊迫感ないし。「海猿-LIMIT OF LOVE」の失敗をまた繰り返している)…と、昨今のワースト映画のパターンがこれほど網羅された作品も珍しい。

その脚本は誰か…と見たら、「海猿(1・2)」の小森陽一と、これもディザスター・ムービーの大駄作「ドラゴンヘッド」の斉藤ひろし。駄作になるのは当たり前か。こういう出来損ないの脚本を書く奴になんで仕事が回って来るのだろう。よほど人材不足なのか。

 
ディザスター・ムービーと言えば、かつて東宝で作られた「日本沈没」(監督:森谷司郎)を思い出す(草彅と柴咲の方じゃないよ)。

日本が沈没する…という荒唐無稽なお話ながら、東大教授をアドバイザーに招き、大御所・橋本忍に脚本を依頼したおかげで、お話に無理がなく、実に壮大で感動的な名作となった。やはりいい脚本からはいい作品が生まれる。それともう一つ、プロデューサーの力量(言わずと知れた「ゴジラ」の田中友幸)による所も大きい。

 
テレビ局が映画製作を行うのが悪いとは言わない。が、こういう、ちょっと見直せば分かるような欠陥が、大勢の人間が携わっているにも係らず素通りしてしまうシステムは、やはり見直す必要があるのではないか。あえて厳しい採点をさせていただく事とする。    (採点=)  

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(付記1)

後でヤフー・ムービーの解説を見たら、新潟中越地震の、トンネル崩落事故の奇跡の救出劇をベースにした”とあった。やっぱりね。

(付記2)
東宝のディザスター・ムービーと言えばもう1本、「地震列島」(80・監督:大森健次郎)というのがあった。製作・SFXは「日本沈没」と同じ、田中友幸・中野昭慶。

こちらも、未曾有の大地震が東京を襲い、主人公は地下鉄構内に閉じ込められ、東京湾の海水が流れ込んで溺れ死ぬ…と、本作とソックリなシーンがある。こちらの作品をヒントにしたのかな。
で、本作を大地震という設定にしたら、あんまり似てしまうので台風に設定を変えた…というのは深読み過ぎ?(笑)

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コメント

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投稿: 日本インターネット映画大賞 | 2008年12月20日 (土) 21:26

地震列島は最後壊れたガス管にライターで火をつけて突破口をひらくだったような
それなりにおもしろかった

投稿: | 2009年1月18日 (日) 04:21

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