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2010年1月29日 (金)

「今度は愛妻家」

Kondowaaisaika (2009年:東映/監督:行定 勲)

中谷まゆみ原作の同名の舞台劇を、若手実力派の行定勲監督により映画化。

世話好きで美しい妻・さくら(薬師丸ひろ子)との結婚生活も10年目、かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介(豊川悦司)も、今では1枚の写真も撮らず、自堕落な生活を送っている。1年前、夫婦は結婚生活を見直す為に、沖縄に子作り旅行に出かけるが…

冒頭、1年前の沖縄旅行のスケッチを、コマ落としのサイレント映画風に描くシーンが面白い。出世作「GO」でケレン味のあるモンタージュ・カットを多用し、新鮮な感動を与えて多数の映画賞に輝き、若手のホープとして期待された行定勲監督だが、最近は大味な大作をまかされたりで、ここ数年は期待外れの凡作が続いていた。
「クローズド・ノート」(2007)以来2年ぶりの本作では、久しぶりのケレン味演出と共に、昔の切れ味が復活したようだ。ラストでは泣けた。お奨めの佳作である。

舞台劇が元になっているだけあって、映画は北見家の、事務所兼自宅の居間を中心に、そこに出入りする北見夫婦、カメラマンの弟子の誠(濱田岳)、俊介の浮気相手の女優の卵・蘭子(水川あさみ)、そして何故か気安く世話を焼くおかまの文ちゃん(石橋蓮司)…といった多彩な人物が織り成す、小市民の日常を描いたヒューマン・コメディといった趣を呈す。

妻は気立ては優しく、常に夫の健康を考え、細かく気配りをしてくれる良妻であるのに、夫はそんな妻のおせっかいがどうもわずらわしくて辟易している。「好きなものが食えないんなら死んだ方がマシだ」と悪態をつく。

愛し合って結婚したはずなのに、10年も一緒に暮らすうち、いつしか次第に夫婦の間には微妙なすきま風が吹き始めている。
こんなはずではなかった…。妻はやがて、別れる事も視野に入れ始めるようになる。

似た境遇の夫婦であれば、誰しもが身につまされる話であろう。

そばに居ればわずらわしい。出来れば、一人になって好き勝手な事をしたい。男は勝手な生き物である。

…だけど、もしパートナーが居なくなった時、人は心の中にポッカリと空洞を抱え、改めてその存在の大きさを思い知る事になるのかも知れない。

夫婦とは、人生とは何なのか、共に生きて行くとはどういう事なのか、そういう事を考えさせてくれる、これは泣ける、大人の為の寓話である。

映画をまだ観ていない人は、出来ればこれ以上の情報は仕入れずに、白紙で観て欲しい。

 
(以下は、重要なネタバレになるので隠します。読む場合はドラッグ反転させてください)

映画は、現在の話の合間に、1年前に沖縄旅行に行った話がさりげなく挿入されるのだが、時制がボカされている為に、冒頭の1年前の、旅行前のささいないざこざが、現在とそう遠くない時の話と観客は思い込んでしまう。ために、現在のシーンでさくらが箱根に旅行に行こうとし、忘れ物をしたと言って何度も戻って来て俊介を慌てさせるシークェンスで、観客はさくらが今も存在していると錯覚してしまう。うまい構成である。

実は、さくらは1年前の旅行で死んでいるのだが、さくらの死を受け入れる事が出来ない俊介は、妄想の中でさくらと対面しているのである。出入りする周囲の人たちは、そんな俊介を心配し、励ますためにおせっかいを焼いている事が後に判る。

俊介の周囲に、食べ残しのゴミが散在している等、よく考えれば思い当たる伏線が巧みに配置されているのも秀逸。

浮気相手の蘭子に、リビングボードの上のさくらの写真を指して「1年前に死んだ女房だ」と言うのだが、俊介のヘタな芝居を見せられている観客は冗談だと思ってしまう。よく考えれば、さくらと、俊介以外の人物との会話シーンが全然ない点も含め、作者はちゃんとフェアに伏線をバラ撒いているのだが、ごく自然な俊介と、幻影のさくらとの会話シーンを巧みに配置している為に観客は騙されてしまう。巧妙なミスディレクションである。カンがいい人は早々と気付くかも知れないが。

秀逸なのは、さくらにせがまれ、久しぶりに彼女を撮った写真を現像してみると、どの印画紙にもさくらの姿が写っていない。ここでようやく観客は、なにか違うと感じ始める。私はそこでアッと気が付いた。

写真は残酷である。リビングでは幻影のさくらの姿を視認しているのに、写真の中にまでは幻影を見る事が出来ない。そこではじめて俊介は、さくらはもうこの世に居ない事を認めざるを得なくなる。
最後に定着液の中に浮かび上がったさくらの写真は、1年前に撮ったきり、カメラの中に封印していた、さくらの走り去って行く後姿。…俊介が最後に見たさくらの姿である。もう、行ったきり、彼女は戻っては来ない。…その事実を、俊介は認めざるを得ないのである。

居ればわずわらしいけれど、いなくなって、いや、いない事を認識して、はじめて俊介は、かけがえのないパートナーの、存在の大きさ、大切さを知るのである。幻影のさくらに、俊介がポツリと語りかける「おまえ、なんで死んだんだよ」という言葉が切ない。

ラスト、クリスマス・ケーキに刺したローソクを1本づつ吹き消す度に、さくらの姿がゆっくりと消えて行き、最後の1本と共に、俊介はさくらとの、永遠の訣れを確認するのである。私はここでドッと泣いた。あざといと判っていても泣ける。デミ・ムーア主演の「ゴースト/ニューヨークの幻」を思い出した人もいるかも知れない。

 
うまいと思ったのは、俊介が何度も、つぶやくように歌う、井上陽水の名曲「夢の中へ」の使い方である。

♪探しものは何ですか 見つけにくいものですか 夢の中へ行ってみたいと思いませんか ♪

俊介は、さくらを探して、夢の中(幻想の世界)へ入ってしまっていた事を暗示している。これも伏線だったと後になって気付く。やられた。

(↑ネタバレここまで)

薬師丸ひろ子がとてもキュートで素敵。いい歳なのに、いつまでもチャーミングで、どこかにあどけなさを残す雰囲気が作品にマッチしている。

出色なのは、おかまの文ちゃんを演じる石橋蓮司の演技である。ヘタすると作品のイメージを壊してしまいかねないキャラクターだが、見事に作品の中に溶け込んで、主演者たちをサポートしている。心のどこかに悲しみを秘めながらも、精一杯明るく生きている文ちゃんの存在が、作品を引き締めている。本年度の助演男(?)優賞の一番手だろう。

蘭子と誠の恋愛話が、やや煩わしいが、これを取っ払ってしまうと物語が寂しくなる。これはこれでアリだろう。若くて、これからの人生を歩み始める二人の恋物語が、くたびれかけた俊介・さくら夫婦に対する、表裏の関係を示している。10年連れ添って子供がない夫婦に、まだ結婚していないのに子供が出来た若いカップル、と何から何まで対照的だ。

俊介たちのように、夫婦間に少し倦怠感が漂い始めた方たちには特にお奨め。観終われば、きっと少しは相手を思いやる心が芽生える事だろう。     (採点=★★★★☆

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2010年1月27日 (水)

「板尾創路の脱獄王」

Datugokuou (2009年:角川映画/監督:板尾 創路)

お笑いタレント・板尾創路が初監督し、共同脚本、主演も兼ねたワンマン映画。

以前にも書いたが、お笑いタレントが映画監督に進出するのは大いに歓迎である。北野武、竹中直人(最近作は失敗だが)、昨年は品川ヒロシ(「ドロップ」)等、成功した例も多い。才能のある人なら、何でもチャレンジして、業界に新風を巻き起こして欲しいと思う。

なお、私はテレビのお笑い番組はまったく見ないので、板尾創路という人がどんな芸を持っているのか全然知らない。「大日本人」にチラッと出ていた時に、初めて名前を知ったくらいである(それ以前から映画には数多く出てたようだが、全然印象に残っていない)。

昨年の是枝裕和監督「空気人形」で、なかなか味のある好演をしていたので、その彼が監督したと聞いて興味を抱き、鑑賞することにした。

結論から言うと、予想外に面白い。映画ファン(特に外国映画ファン)にはお奨めである。

公式サイトによると、「洋画には脱獄映画の傑作が多いが、今の日本映画には脱獄を扱ったものがほとんどない。脱獄映画にはエンターティンメントが凝縮されているので、その中でドラマを描ききりたい」という事だそうである。

これを聞く限り、板尾はかなりの洋画ファンのようである。胸に刺青をした脱獄囚という設定は、スティーブ・マックィーン主演の名作「パピヨン」を思い起こさせるし、同じく孤島の監獄を舞台とした「アルカトラスからの脱出」(クリント・イーストウッド主演)という佳作もある。その他、「ショーシャンクの空に」等、確かに洋画には脱獄映画の名作が多い。おそらく板尾は、そうした脱獄映画を何本も観て研究したに違いない。そうした成果は、作品に充分に表れている。
(日本映画にも脱獄映画はない事はないが、「網走番外地」「脱獄広島殺人囚」などの東映系を中心に、ほとんどが2本立プログラムピクチャーの片割れである。また、ここ数年は確かに脱獄ものは作られていない)

主人公、鈴木雅之(板尾創路)は、最初は微罪で投獄されたにも係わらず、執拗に、何度も何度も脱獄を繰り返す。その度に刑期は増え続ける。いったい彼はなぜそこまで脱獄にこだわるのか…、それがサスペンスとなって物語を引っ張って行く。

その脱獄の手口も、毎回手を変え品を変え、見せ場となっている。また、刑務所の看守長の金村(國村隼)が彼の行動に興味を持ち、出世したにも係わらず、最後まで鈴木の脱獄の謎を追い求める展開も面白い。金村の興味は、観客の興味でもあり、最後にその謎が判明した時、我々観客も驚愕する事となる。

物語の背景となる時代は、昭和9年から十数年間であるが、刑務所もセットや、保存されている古い建物等をうまく使って、時代考証や拷問の小道具にも凝っており、思いの外リアルな脱獄サスペンス・ストーリーが展開する。―最後の直前までは。

「地獄甲子園」等の監督、山口雄大が共同脚本も含め、さまざまな形で板尾に協力しており、それがプラスとなって物語はかなりしっかりと構築されており、最後まで飽きさせない展開で見応えがある。

(以下、ネタバレがあります。未見の方はご注意ください)
時間軸もユニークである。冒頭から大胆な脱獄シーンを見せて観客を一気に物語世界に引きずり込み、そこから過去に戻って、鈴木の脱獄歴を振り返るのだが、凝っているのは、冒頭の脱獄シーンに追いついた後、メイン・タイトルが登場する同じシーンが反復され、物語はまた、今度はずっと過去に戻り、鈴木の出生の秘密を追いかけて行く。

その過程で、鈴木がなぜ脱獄にこだわるのか、その秘密が次第に露わになって行く。さまざまな謎が、ジグソーパズルを組み合わせるように、次第にピースが埋まって行き、ラストでピタリ、最後の1枚が埋まる、その快感は映画冥利に尽きる。見事である。

 
物語構成がしっかり作られているから、部分的に登場する唐突な展開(メイン・タイトルが2度現れたり、突然 '70年代のいずみたく作曲の名曲を鈴木が歌いだしたり)も、物語を邪魔する事はない。そうしたパーツが、最後に“これは実は大ボラ吹き・コメディですよ”と落とす絶妙のエンディングへの伏線ともなっているのである。

突っ込みどころもいろいろあるが(昭和11年から10年後が現在であるのに、まだ戦争中のようなセリフがあったり、あの時代にまだ[ハング・グライダー]は発明されていないはず、だとか、生まれた直後の赤ん坊が這いずり回れるはずがない、とか)、それらもすべて、この作品がシリアスのように見せかけた、実はフェイク・ファンタジー・コメディである事を巧みにに証明しているのである。

“小さな真実を積み重ねて、大きなホラを吹く”のがファンタジーの秀作の条件であるとよく言われるが、この映画はまさに脱獄の手口や、拷問を徹底的にリアルに描き(手首の傷からウジが湧くシーンのリアルさ)、そうして最後に大ボラを吹いて観客をケムに巻くのである。

実にしたたかで、意地悪な作品である。これが、板尾創路という個性派キャラクターの持ち味だとしたら、この人はあなどれない。

最後に、なんで刺青を確認しなかったのか、という疑問もあるが、これがあるから大笑い出来るのである。そこに絶妙に突っ込む、金村のセリフも大爆笑ものである。

おそらくは、彼の中に、父親は堂々たる威厳と貫禄がある、という刷り込みがあったのだろう。その役に笑福亭松之助をキャスティングしたのもうまい。そして、刺青のある本物の父親役に、貧相を絵に描いたような、榎木兵衛(ロマンポルノ・ファンには懐かしい)を持って来るキャスティングの妙!参りました。

板尾創路の監督デビューは、まずは大成功である。骨組みと構成をしっかり組み立て、プロの助力を得てきちんとした脚本を書き上げ、ラストに向かって物語りを収斂させて行く確かな演出は、新人離れしている。こういう当り前の事が出来ない監督が多いのである。次回作が楽しみである。
松本人志さん、板尾さんの映画作りに学んで、爪の垢でも貰ってください(笑)。      (採点=★★★★

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(お楽しみはココからだ)
Coolhandluke1 脱獄映画と言えば、隠れた秀作がある。ポール・ニューマン主演の「暴力脱獄」(スチュアート・ローゼンバーグ監督)というアメリカ映画である。脱獄映画の中では、私は一番好きな作品である。

この映画には、実は本作と似た要素がいくつかある。以下、挙げてみる。

ちょっとした微罪で刑務所に入り、何度も執拗に脱獄を繰り返す。その都度看守から惨忍な懲罰を受けるが、へこたれない。

Coolhandruke_2 そして何より、脱走した時、線路の上を逃げるシーンもある(左)。鈴木が毎回線路沿いに逃げるのは、板尾監督の、この映画に対するオマージュではないだろうか。

Datugokuou2そして、主人公をキリストに見立てるシーンもある。ラスト間際には、教会で神と語るシーンもある。

本作でも、髭と髪が伸び放題の鈴木の姿はキリストにそっくりだし、金村はクリスチャンで教会で祈るシーンがある。

ラストは悲劇に終わるのだが、本作のハッピーエンドはその裏返しではないだろうか。

昔観たきりなのであまり細部は覚えていないのだが、見直せばまだ似ているシーンがあるかも知れない。興味ある方はインプットしておいて損はない。お奨め。

 

暴力脱獄(DVD)
パピヨン(DVD)
アルカトラズからの脱出

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2010年1月17日 (日)

双葉十三郎さん、逝去

Futabajuuzaburou 現役最長老の映画評論家だった、双葉十三郎さんが、昨年12月12日に亡くなられました。享年99歳でした。

若い方にはピンと来ないかも知れませんが、私も含めた中高年の映画ファンにとっては、淀川長治さんと並んで、最も敬愛すべき偉大な映画評論家でした。神様とも言えるべき存在です。

雑誌「スクリーン」誌に、40年にわたって連載された「ぼくの採点表」は、映画ガイドとしてバイブルとまで言われました。

なにしろ、10才の頃から映画を観始め(双葉さんは1910年生まれですから、という事は1920年頃から)、高校時代から書き始めた映画批評は、外国映画だけでもその数1万数千本!! 「ぼくの採点表」は現在、トパーズプレス社とキネマ旬報社から「西洋シネマ体系・ぼくの採点表」として全6冊が刊行されていますが、そこに収録された作品数は8,867本だそうです。ギネス級ですね。

単に数だけでなく、実に的確、簡潔で要を得た名文はユーモアとウィット、茶目っ気も交え、読んでて思わずニンマリとしてしまうくらいでした。

また取り上げる作品も、古典的名作は無論ですが、それ以外にも西部劇、ミステリー、コメディ、アクション、ホラー、SF、と、A級B級とりまぜ、ジャンルも多岐に亙っておりました。その幅の広さ、公平さには敬服いたします。

採点に当たっては、☆が20点、★が5点で表示され、最高は☆☆☆☆★★(つまり90点)でした。ちなみに90点をつけた作品は8,867本中たった15本しかないそうです。
参考までに、その15本は以下の通り。
「黄金狂時代」、「西部戦線異状なし」、「大いなる幻影」、「駅馬車」、「疑惑の影」、「天井桟敷の人々」、「サンセット大通り」、「河」、「恐怖の報酬」、「禁じられた遊び」、「水鳥の生態」、「野いちご」、「突然炎のごとく」、「スティング」、「ザッツ・エンタティンメント」…

どれも文句なしの名作です。1本だけ異色なのが、ディズニーの短編ドキュメンタリー「水鳥の生態」。ミュージカルあり、サスペンスあり、戦争映画あり、コン・ゲーム作品ありと、幅の広さが窺えます。

ちなみに、80点以上を与えた作品の中には、次のようなものがあります(一部のみ抜粋)。

「赤い風船」、「踊る大紐育」、「アニーよ銃をとれ」、「シェーン」、「タワーリング・インフェルノ」、「冒険者たち」(以上85点)
「白雪姫」、「ピノキオ」、「フランケンシュタイン」('31)、「キング・コング」('33)、「007/危機一発」、「イエロー・サブマリン」、「ブリット」、「ダーティ ハリー」、「ポセイドン・アドベンチャー」、「ヤング・フランケンシュタイン」、「インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説」、「ストリート・オブ・ファイヤー」(以上80点)

「タワーリング・インフェルノ」や「ポセイドン・アドベンチャー」といったパニックものや、MGMミュージカル、ディズニー・アニメ、「ダーティ ハリー」などの刑事アクションから、「007」、「インディー・ジョーンズ」、メル・ブルックス作品まで高得点を与えているのには感服します。「フランケンシュタイン」や「キング・コング」は、世界文化遺産とまでおっしゃっているのです。個人的には「イエロー・サブマリン」、「冒険者たち」、「ストリート・オブ・ファイヤー」の高評価が嬉しい(なお、上には挙げませんでしたが、ヒッチコック作品はほとんど80点以上です)。

一部(「赤い風船」等)を除いて、これらのほとんどは、キネ旬ベストテンからも外れた、通俗的な娯楽映画ばかりですが、それでも映画ファンの記憶には今も残っている隠れた名作が数多く含まれています。ある意味、素晴らしい眼力だとも言えます。

(上記については、双葉さんの「外国映画ぼくの500本」(2003年・文春新書)を参考にさせていただきました)

 
昔の高名な評論家の中には、こうした娯楽作品を無視したり軽蔑する方が少なからずおりましたが、双葉さんは著名であったにも係らず、そうした作品を、大衆の目線できちんと評価していた、数少ない評論家であったと言えるでしょう。映画ファンにとっては、まことに有難い存在でありました。

これほどの幅の広さと見識を持った映画評論家は、現在ではもうほとんどいないでしょう。本当に惜しい方をなくしました。

個人的には、私のHPに掲載の「20世紀ベスト100」の参考記録として、双葉さんが選んだ邦洋のベスト100を並べて掲載させていただいており、いつかお会いできたら無断掲載をお詫びしようと思っていたのですが、叶わぬ事となりました。

 
双葉先生、本当にありがとうございました。謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。
 

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(1/31付記)
現在発売中の、キネマ旬報社・刊「オールタイム・ベスト 映画遺産200」(2009年12月8日発行)を読んでいますと、ベストテン選者の中に、双葉さんのお名前がありました。

おそらく、これが双葉さんの、最後の執筆(遺稿)になるのではないでしょうか(発行日付から4日後に亡くなられてます)。
そう思うと、感慨深いものがあります。

日本映画編の巻末には、2002年12月上旬号、2003年11月下旬号に掲載された、「双葉十三郎が選ぶ、日本の映画女優、男優・各100人」が再録されています。

期せずして、双葉さん追悼号になったような気がします。いずれキネ旬でも追悼記事が掲載されるでしょうが。

ここに、双葉さん選定のベストテンを転載させていただきます。(製作年度順。カッコ内は製作年度と監督)

[日本映画]
紙人形春の囁き (26.溝口健二)
抱寝の長脇差 (32.山中貞雄)
国士無双  (32.伊丹万作)
海を渡る祭礼 (41.稲垣浩)
姿三四郎  (43.黒澤明)
古都     (63.中村登)
おはん    (84.市川崑)
青春デンデケデケデケ (92.大林宣彦)
写楽     (95.篠田正浩)
時雨の記  (98.澤井信一郎)

[外国映画]
キッド    (21.チャールズ・チャップリン)
ピーター・パン (24.ハーバート・ブレノン)
巴里の屋根の下 (30.ルネ・クレール)
モロッコ  (30.ジョセフ・フォン・スタンバーグ)
三十九夜 (35.アルフレッド・ヒッチコック)
望郷    (37.ジュリアン・デュヴィヴィエ)
駅馬車   (39.ジョン・フォード)
マルタの鷹 (41.ジョン・ヒューストン)
逢びき   (45.デヴィッド・リーン)
禁じられた遊び (52.ルネ・クレマン)

さすがは長老です。サイレント映画が5本入ってます。洋画はなんと8本までが戦前の作品。

洋画は、24年の「ピーター・パン」を除いて、ビデオ・DVD入手可能ですが、日本映画は山中貞雄作品を含め、現存していない作品が多くあります。余計観たくなりました。無念。

改めて双葉さんの、守備範囲の広さ、観賞作品歴の豊富さを実感いたしますね。キネ旬の回し者ではありませんが(笑)、この本は買いですね。

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2010年1月15日 (金)

「誰がため」

Flammen_og_citronen (2008年:デンマーク=チェコ=ドイツ/監督:オーレ・クリスチャン・マセン)

正月第1弾観賞。東京では昨年の公開のようだが、大阪では1月9日封切。

第二次大戦中のデンマークにおける、対ナチス・レジスタンス活動を描いた実話の映画化。2008年度デンマーク・アカデミー賞で5部門を受賞し、デンマークにおいて国民の8分の1を動員する大ヒットなった。

1944年、打倒ナチスを掲げる地下抵抗組織“ホルガ・ダンスケ”の一員である、23歳のベント=暗号名フラメン(トゥーレ・リントハート)と、33歳のヨーン=暗号名シトロン(マッツ・ミケルセン)は、上司ヴィンター(ピーター・ミュウギン)の命令で、ゲシュタポとナチスに寝返った売国奴たちを暗殺する任務を遂行していた。しかし、あることをきっかけに任務への疑問を抱き始めた彼らの心の中に、組織に対する疑念が膨らんで行った…

連合国側の対ナチス・レジスタンスについては、これまでもフランスを中心にいくつか映画化されている。あの名作「カサブランカ」も、れっきとしたレジスタンスものである。

が、デンマークにおいても、そんなレジスタンスの歴史があったとは寡聞にして知らなかった。まあこれまで映画でもほとんど描かれて来なかったが、デンマーク本国内でも、この史実についてはつい最近までタブーとされていたらしい。何故タブーだったのかは、映画を観ればなんとなく分かる。

(以下、ややネタバレあり)
のっけから、フラメンたちはいきなり標的に近づき、問答無用で拳銃をぶっ放し、顔色も変えずに立ち去る。これまでのレジスタンスものとはかなり異なる。戦争物と言うよりは、まるでフランスのフィルム・ノワールか、イタリアのマフィア映画を観ているようである。

いくらレジスタンス活動とは言え、無抵抗で拳銃を構えてもいない人間を射殺するのは気持のいいものではない。そういうシーンが続くと、我々観客は、“このフラメンとシトロンというこの二人が行っているのは、本当に正義の為の戦いなのだろうか”という疑問をふと抱いてしまう。

実はそれが、この映画の狙いなのだろう。
現に途中でフラメンは、暗殺の対象となった人物と、禁止されている会話をしてしまい、相手がそれなりに見識を持った人間である事を知って暗殺を躊躇してしまう。

はたまた、フラメンがゲシュタポのホフマン大佐と対峙した時は、壁越しに二人は会話を交わし、ホフマンの理路整然、かつ毅然とした態度にフラメンは戦意を喪失してしまうのだ。

これまでの連合国側が作って来た対ドイツ戦争映画の多くが、ドイツ軍側を単純に、残虐で狡猾で、滅ぼされるべき悪玉として描いて来たのに対して、ここでは、ドイツ軍人も、レジスタンス側も、どちらも国家の為に戦っている人間として描いている。

むしろ組織のリーダーであるヴィンターが、裏では打算をはじき、狡猾に立ち回っている。組織も正義ではないのである。

そして、フラメンの前に現れる、裏で運び屋をやっていると称する女、ケティ(スティーネ・スティーンゲーゼ)とフラメンは恋に落ちるが、実は彼女は[二重スパイ]であり、その為にフラメンとシトロンは罠に陥ちて命を落とす結果となる。

純粋に国家を信じ、テロに命を賭けて戦って来た二人は、打算と裏切りの狭間で、無残に死んで行く。

「誰がため」という邦題を最初聞いた時は、も一つピンと来なかったが、観終わった後、実に的確な題名だと感心した。

まさしく、彼らは、何のために、誰のために戦ったのか、何が正義で、何が真実なのか、彼らは本当に英雄だったのか…その答は誰にも分からない。

 
振り返って、現代においても、イラク、アフガニスタンで内戦が続き、そしてテロが頻発しているが、テロを行う彼らも、国家の正義を信じ、侵略する敵を倒す為に戦っている点では、フラメンたちと、行動の原点は同じなのである。

この映画が、今の時代に作られた意義はそこにある。

チャップリンが監督・主演した「殺人狂時代」の中で、チャップリンは、「一人殺せば殺人者だが、百万人殺せば英雄だ」という名文句(アイデアはオーソン・ウェルズ)を吐くが、まさしく、一人一人を暗殺して行くフラメンたちは殺人者そのものだが、レジスタンスの美名の下に多数を殺したが故に、彼らは英雄となった。

人間とは、戦争とは、かくも愚かでアイロニーに満ちた存在なのである。

 
フラメンとシトロンの人物造形もうまい。フラメンは若く美男子で、自ら信じる正義の為に冷酷に殺人を実行する。10才年上のシトロンは、眼鏡をかけた風貌からして気が弱そうに見えるし、妻子を持っているせいもあってか、冷酷になり切れない。暗殺を命じられても、殺す事が出来ずにかすり傷を負わせるだけで戻って来てしまう。フラメンが暗殺の際にも、クールで汗一つかかないのに対し、シトロンは顔中脂汗でびっしょり、という対比も面白い。
そのシトロンが最後、ドイツ軍に包囲された時は、マシンガンと手榴弾を駆使して相手を殺しまくるのが、何とも皮肉である。

戦争とは何なのか、人は誰のために戦うのか、守るべき正義は存在するのか…さまざまな問題を現代に生きる我々に問いかける、重いテーマを持った秀作である。    (採点=★★★★☆

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(付記)
まるでフランス・フィルム・ノワールみたいだと先述したが、そのフィルム・ノワールの代表作、「ギャング」「サムライ」「仁義」等を撮ったのが、ジャン・ピエール・メルヴィル監督である。
フィルム・ノワールと聞けば、まずこの監督の名前が思い浮かぶのだが、実はメルヴィル監督は、「影の軍隊」(69)という対ナチ・レジスタンス映画も撮っている。出演者も「ギャング」に出ていたリノ・バンチュラとかポール・ムーリッスなどが参加しており、いかにもメルヴィル・タッチのレジスタンス映画の快作であった。
フィルム・ノワールとレジスタンス映画は、案外相性がいいのかも知れない。興味があれば是非。

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2010年1月 4日 (月)

2010年度・鑑賞作品一覧

2010年度鑑賞の新作映画のタイトルと、採点です。 (随時追加)
タイトルをクリックすれば、リンク先に飛びます。リンクがないものは未掲載です。

 

  タイトル 採点
1月 アバター (IMAX・3D) ★★★★★
誰がため ★★★★☆
アンヴィル~夢を諦めきれない男たち ★★★★
海角七号 -君思う、国境の南- ★★★★
真幸くあらば ★★
今度は愛妻家 ★★★★☆
マッハ弐!!! ★★★
カティンの森 ★★★★☆
板尾創路の脱獄王 ★★★★
サロゲート ★★★
Dr.パルナサスの鏡 ★★★★
パーフェクト・ゲッタウェイ ★★★
2月 ずっとあなたを愛してる ★★★★☆
おとうと    (2010) ★★★★☆
ゴールデンスランバー ★★★★
ラブリーボーン ★★★★
インビクタス/負けざる者たち ★★★★★
抱擁のかけら ★★★★
食堂かたつむり ★★
オーシャンズ ★★★★
交渉人 THE MOVIE タイムリミット高度10,000mの頭脳戦 ★★☆
新しい人生のはじめかた ★★★★
ミレニアム ドラゴン・タトゥの女 ★★★☆
パレード ★★★★☆
ダレン・シャン ★★★
ボーイズ・オン・ザ・ラン ★★★☆
昭和八十四年~1億3千万分の1の覚え書き ★★★★
BANDAGE バンデイジ ★★★☆
南極料理人 (DVD) ★★★★
3月 人間失格 ★★★☆
フローズン・リバー ★★★★☆
コララインとボタンの魔女 (3D) ★★★★
ハート・ロッカー ★★★★☆
しあわせの隠れ場所 ★★★★
プリンセスと魔法のキス

★★★★☆

NINE/ナイン ★★★
時をかける少女  (2010) ★★★★
シャーロック・ホームズ ★★★☆
花のあと ★★★★
渇き ★★★★
海の沈黙 ★★★
4月 誰かが私にキスをした
マイレージ・マイライフ ★★★★
アーマード 武装地帯 ★★★☆
ウディ・アレンの夢と犯罪 ★★★★
半分の月がのぼる空 ★★★★
息もできない ★★★★★
第9地区 ★★★★☆
シャッター・アイランド ★★★★
誘拐ラプソディー ★★★★
アリス・イン・ワンダーランド ★★★☆
月に囚われた男 ★★★★
クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁 ★★★☆
武士道シックスティーン ★★★★
5月 ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲 ★★★★
タイタンの戦い ★★★
オーケストラ! ★★★★★
クロッシング ★★★★☆
プレシャス ★★★★☆
9<ナイン> 9番目の奇妙な人形 ★★★★
春との旅 ★★★★☆
カケラ ★★★★
パリより愛をこめて ★★★☆
運命のボタン ★★
ファンボーイズ (DVD) ★★★★
パーマネント野ばら ★★★★☆
グリーン・ゾーン ★★★☆
書道ガールズ わたしたちの甲子園 ★★★★☆
冷たい雨に撃て、約束の銃弾を ★★★★☆
座頭市 THE LAST
6月 RAILWAYS ★★★
ヒーローショー ★★★★
孤高のメス ★★★★☆
告白 ★★★★☆
シーサイドモーテル ★★★☆
ローラーガールズ・ダイアリー ★★★★
アウトレイジ ★★★★
ブライト・スター いちばん美しい恋の詩 ★★★★
クレイジー・ハート ★★★★☆
ボックス! ★★★
ザ・ウォーカー ★★★
アイアンマン2 ★★★☆
ダブル・ミッション ★★★
ケンタとジュンとカヨちゃんの国 ★★★★
7月 FLOWERS ★★★☆
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い ★★★★☆
踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ! ★☆
ザ・ロード ★★★★☆
SR サイタマノラッパー2 ~女子ラッパー☆傷だらけのライム~ ★★★☆
ロストクライム -閃光- ★★☆
トイ・ストーリー3 ★★★★★
必死剣 鳥刺し ★★★★
川の底からこんにちは ★★★★☆
借りぐらしのアリエッティ ★★★★☆
シュアリー・サムデイ
華麗なるアリバイ ★★
インセプション ★★★★☆
ゾンビランド ★★★★
8月 ソルト ★★★☆
ちょんまげぷりん ★★★★
ザ・コーヴ ★★★
闇の列車、光の旅 ★★★★
ヒックとドラゴン ★★★★☆
ベスト・キッド (2010) ★★★★
キャタピラー ★★★★☆
カラフル (2010) ★★★★☆
シスター・スマイル ドミニクの詩 ★★★★
瞳の奥の秘密 ★★★★
完全なる飼育 メイド、FOR YOU (DVD) ★★★
ぼくのエリ 200歳の少女 ★★★
トイレット ★★★★
9月 オカンの嫁入り ★★★★☆
コップアウト 刑事(デカ)した奴ら ★★
魔法使いの弟子 ★★
悪人 ★★★★★
終着駅 トルストイ最後の旅 ★★★★☆
ミックマック ★★★★
彼女が消えた浜辺 ★★★★☆
十三人の刺客  (2010) ★★★★☆
TSUNAMI-ツナミ ★★
10月 君に届け ★★★★
ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う ★★★☆
THE LAST MESSAGE 海猿 (3D) ★★★
スープ・オペラ ★★★
ルンバ! ★★★★
アイスバーグ ★★☆
死刑台のエレベーター ★★
ナイト&デイ ★★★★
プチ・ニコラ ★★★★
REDLINE ★★★
桜田門外ノ変 ★★★☆
ペルシャ猫を誰も知らない ★★★★
シングルマン ★★★★
冬の小鳥 ★★★★☆
エクスペンダブルズ ★★★★
11月 怪盗グルーの月泥棒 (3D) ★★★
ノーウェア・ボーイ ひとりぼっちのあいつ  ★★★★
マザーウォーター ★★
マチェーテ ★★★
ルイーサ ★★★★☆
雷桜 ★★★
義兄弟 SECRET REUNION ★★★★
ふたたび SWING ME AGAIN ★★★★
リトル・ランボーズ ★★★★☆
ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1 ★★★
ブロンド少女は過激に美しく ★★★★☆
100歳の少年と12通の手紙 ★★★★
行きずりの街 ★★
[リミット] ★★★☆
12月 酔いがさめたら、うちに帰ろう ★★★★
武士の家計簿 ★★★★☆
SPACE BATTLESHIP ヤマト ★★★☆
ノルウェイの森 ★★★★
スプリング・フィーバー ★★☆
トロン・レガシー (3D) ★★★☆
最後の忠臣蔵 ★★★★☆
ばかもの ★★★
キック・アス ★★★★☆
相棒 劇場版Ⅱ 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜 ★★★★
ヘヴンズ・ストーリー ★★★★☆
シチリア!シチリア! ★★☆
モンガに散る ★★★★☆
人生万歳! ★★★☆
きみがくれた未来 ★★★

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2010年1月 3日 (日)

2009年度・日本インターネット映画大賞外国映画部門 投票

外国映画にも投票いたします。

[作品賞投票ルール(抄)]

 ・選出作品は5本以上10本まで
 ・持ち点合計は30点
 ・1作品に投票できる最大は10点まで

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『 外国映画用投票フォーマット 』

【作品賞】(5本以上10本まで)
  「グラン・トリノ    」  8 点
  「母なる証明      」  7 点
  「チェンジリング    」  3 点
  「アバター       」  2 点
  「チェイサー      」  2 点
  「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 2 点
  「3時10分、決断のとき 」  2 点
  「レスラー       」  2 点
  「スラムドッグ$ミリオネア」 1 点
  「扉をたたく人     」  1 点
【コメント】クリント・イーストウッドの獅子奮迅の活躍ぶりには敬服。ポン・ジュノ監督もコンスタントに傑作を発表しています。「3時10分―」「レスラー」と、“男たちの心意気に泣ける”映画が続いたのも本年度の特徴と言えるでしょう。
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【監督賞】              作品名
   [クリント・イーストウッド] (「グラン・トリノ」「チェンジリング」)
【コメント】ただただ敬服。イーストウッドには映画の神様が宿っているに違いありません。

【主演男優賞】
   [クリント・イーストウッド] (「グラン・トリノ」)
【コメント】上に同じ。引退との噂もありますが、まだまだ映画に出て欲しいですね。

【主演女優賞】
   [キム・ヘジャ     ] (「母なる証明」)
【コメント】この人も凄い。鬼気迫る熱演。

【助演男優賞】
   [クリストフ・ヴァルツ ] (「イングロリアス・バスターズ」)
【コメント】こういう役者を見つけて来るタランティーノの眼力もお見事。

【助演女優賞】
   [マリサ・トメイ   ] (「レスラー  」)
【コメント】文字通り体当たり熱演でしたね。

【新人賞】
   [デヴィッド・クロス   ] (「愛を読むひと  」)
【コメント】初々しい所がいいですね。

【音楽賞】
  「3時10分、決断のとき 」
【コメント】作曲はマルコ・ベルトラミ。耳に残るいい音楽でした。

【ブラックラズベリー賞】
  「ラスト・ブラッド   」
【コメント】最後の対決がヘロヘロでした。オリジナルのアニメは傑作なんですが。

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【勝手に○×賞】
   [よくまあ死人が出なかったで賞] (「チョコレート・ファイター」)
  「スタントマン全員 
【コメント】あれじゃ死ぬよォ、と言いたくなるくらいの体を張ったノーワイヤー・スタントに敬服。

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2009年度・日本インターネット映画大賞日本映画部門 投票

今年も、「日本インターネット映画大賞」に投票いたします。

 [作品賞投票ルール(抄)]

 ・選出作品は5本以上10本まで
 ・持ち点合計は30点
 ・1作品に投票できる最大は10点まで

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『 日本映画用投票フォーマット 』

【作品賞】(5本以上10本まで)
  「愛のむきだし     」  7 点
  「劔岳 点の記     」  4 点
  「マイマイ新子と千年の魔法」 4 点
  「ディア・ドクター   」  3 点
  「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~ 」  3 点
  「空気人形       」  2 点
  「重力ピエロ      」  2 点
  「のんちゃんのり弁   」  2 点
  「誰も守ってくれない  」  2 点
  「ウルトラミラクルラブストーリー」1 点
【コメント】園子温監督が大ブレイク。以前から注目していましたが、やってくれましたね。木村大作さんのエネルギッシュなパワー(70歳です!)にも敬服。若手の新進監督が頑張った事も嬉しい。が、ほとんどがミニシアター系なのが残念。韓国やアメリカのように、力作であれば全国的に大ヒットするシステムをどう育てて行くかが今後の課題でしょう。

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【監督賞】              作品名
   [園 子温       ] (「愛のむきだし」)
【コメント】4時間近い上映時間をダレさせずに見せた演出はお見事。

【主演男優賞】
   [浅野忠信       ] (「劔岳 点の記」「ヴィヨンの妻」)
【コメント】若いと思ってたけど、もう立派な名優ですね。

【主演女優賞】
   [満島ひかり      ] (「愛のむきだし」「プライド」)
【コメント】パンチラも何のその。体当たりの熱演に圧倒されました。

【助演男優賞】
   [岸部一徳       ] (「のんちゃんのり弁」「大阪ハムレット」)
【コメント】本当にうまい役者になりましたね。貴重な存在です。

【助演女優賞】
   [八千草薫       ] (「ディア・ドクター」)
【コメント】大ベテラン。「ガマの油」も作品はイマイチでしたがこの人だけは光ってました。

【新人賞】
   [安藤サクラ      ] (「愛のむきだし」「クヒオ大佐」)
【コメント】新人と言えないくらい存在感がありました。

【音楽賞】
  「劔岳 点の記     」
【コメント】クラシック音楽が明治時代が舞台にも関わらず映像にマッチしてました。

【ブラックラズベリー賞】
  「しんぼる       」
【コメント】何も言う事なし。1作目に続いて途中で出たくなりました。

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【勝手に○×賞】
   [おバカSF大賞   ] (「ロボゲイシャ  」)
  「井口昇監督   」
【コメント】ここまで徹底するとむしろ爽快。ひたすらおバカ道に邁進して欲しい。

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2010年1月 2日 (土)

2009年度・ベスト30 ワースト10発表

 
あけまして おめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、私の昨年度ベスト20を発表いたします。例年通り、HPに掲載しているのと同じ要領で、邦・洋混成のベスト20です。

Grantrino 1位 グラン・トリノ
 文句なしですね。男とはどう生き、どう死ぬべきかを描いた、イーストウッド流、男の美学にシビれ、涙しました。2009年のみならず、00年代を通しての最高傑作です。

2位 愛のむきだし
 これも強烈でした。4時間近く、ハイテンションで持続する園子温監督の演出パワーに声もなく魅入りました。満島ひかりの体当たり演技も素晴らしい。終ってもしばらく席が立てませんでした。

3位 母なる証明
 これまた強烈。ポン・ジュノ監督、「殺人の追憶」以来、作る作品がすべて傑作ばかりというのも凄い。観る度に打ちのめされます。イーストウッドと並んで、00年代を駆け抜けた天才だと言えるでしょう。脱帽です。

4位 劔岳 点の記
 こちらは一転、荘厳な映像の美しさに酔わされる名品。木村大作という、本物にこだわり続けるガチンコ・キャメラマンの男の生き様そのもののような映画です。大画面のスクリーンでこそ観るべき作品ですね。

5位 チェンジリング
 もう1本、イーストウッドの傑作。子を思い続ける母の強さに胸が熱くなります。アンジェリーナ・ジョリーから、こんなに静かでかつ力強い母親の怒りと悲しみの演技を引き出したイーストウッドの演出(演技指導)力には、心から敬服せざるを得ません。

6位 マイマイ新子と千年の魔法
 年末ギリギリにようやく観る事が出来た秀作アニメです。こういう秀作をきちんと宣伝し、多くの人に見せる努力を払わない配給会社は怠慢だ!

7位 アバター
 3DCG映像の見事さに圧倒されます。大画面で観ないとこの映画の凄さは伝わらないでしょう。ただ、3Dメガネはもっと改良の余地あり。軽くて明るくて疲れないメガネ(あるいはメガネなしでの3D上映)が開発されたら、もっとこの映画の素晴らしさが多くの人に伝わるでしょうに。それが残念。

8位 チェイサー
 韓国映画は次々新人で凄い才能を持った人が出て来ています。それがまた、本国では大ヒットするという現実も羨ましい。映画を堪能しながらも、日本映画の将来が不安になってしまったのも事実です。

9位 ベンジャミン・バトン -数奇な人生-
 奇想天外なお話を、落ち着いた風格ある演出で描いて、人生とは何なのかを考えさせてくれる力作です。デヴィッド・フィンチャーはもう名匠の域に到達したようですね。

10位 ディア・ドクター
 「ゆれる」でも真実と虚構の狭間を絶妙のストーリー・テリングで描いた西川美和監督。本作もまたニセ物と本物の境界とは何処にあるのかを問いかけ、人間そのものを鋭く見つめる姿勢は揺るぎありません。日本映画界で今一番安定感のある監督ではないでしょうか。

11位 3時10分、決断のとき
 久々に登場した西部劇の傑作。主人公の男の生き様と決断に泣けました。そしてラッセル・クロウがいい。任侠映画にも似た、男同士の心意気に惚れる映画でもあります。

12位 レスラー
 これもまた、不器用な生き方しか出来ない男の心意気に泣ける映画です。ミッキー・ロークの復活に拍手を。

13位 ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~ (監督:根岸 吉太郎)
 ベテラン、根岸吉太郎監督と、これまたベテラン脚本家、田中陽造による、これぞプロの作った大人の映画。数本の原作短編を巧みに撚り合わせて構築した田中のシナリオが素晴らしい。最近、日本映画の脚本の酷さにうんざりしていただけに、こういう風格あるシナリオに接するとホッとします。浅野忠信、松たか子の主役二人の演技も出色。まさに文学的香りのする、本物の映画です。

14位 スラムドッグ$ミリオネア
 夢のおとぎ話を、説得力あるスリリングな見せ場のある映画に構築したサイモン・ビューフォイ(「フル・モンティ」)の脚本が出色。ラストのミュージカル・シーンも素敵。こういう低予算でノースターの地味な映画にアカデミー賞を与えるアメリカ映画界はまだまだ捨てたもんじゃないですね。

15位 扉をたたく人
 これも、地味だけれど、いろんな事を考えさせてくれる素敵な映画です。CG超大作がある一方で、こうした地味な映画が作られ、徐々に観客を集めてスマッシュ・ヒットとなるアメリカという国の懐の深さ、観客のアンテナの鋭さにも感心する事しきりです。

16位 空気人形
 ペ・ドゥナが素晴らしい。ラブドールという危なっかしい題材を、格調ある演出で見事な映画に仕立て上げた是枝監督の仕事ぶりが光ります。これもまた、プロの仕事と言えましょう。

17位 カールじいさんの空飛ぶ家
 ピクサーのCGアニメはいつもレベルが高いですが、本作も、老いるとは、夢を追い求める事とは、という深いテーマを内包しながら、後半は楽しい冒険エンタティンメントに持って行って、ちゃんと観客を楽しませてくれます。冒頭10分のセリフのない、夫婦の人生ドラマが特に見事で、後半のアクションに違和感を感じる人もいるようですが、あの冒頭の調子で進んだら地味で楽しくないお話になったでしょう。その、観客をとことん楽しませるサービス精神を支持したいと思います。

18位 サマーウォーズ (監督:細田 守)
 田舎ののどかな風物と、ヴァーチャル・ネットワーク上のバトルが交差するという難しい展開を、ちゃんとパワフルなエンタティンメントとして成立させた細田守の手腕は相変わらず冴えています。「アバター」が観た時にはピンと来ませんでしたが、今観たらよく分かります(笑)。お婆ちゃんの声を担当した富司純子の凛とした台詞回しに花札の乱舞が、緋牡丹のお竜さんを思い出させておかしかった。ただ個人的には、「時をかける少女」ほどには、観終わった後まで心に残る作品にはならなかったようです。

19位 イングロリアス・バスターズ  (監督:クエンティン・タランティーノ)
 いかにもタランティーノらしい、さまざまな戦争映画からの引用、音楽はマカロニ西部劇や「アラモ」の主題歌まで使用し、史実などくそくらえとばかりに展開される盛大なホラ話にはいつもながら大笑い。そして、可燃性のフィルムの山を使った爆破テロには、“映画の復讐”という主題が浮かび上がります。映画がとことん好きな男による、映画愛に溢れた映画の為の映画と言えるでしょう。

20位 レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで  (監督:サム・メンデス)
 夫婦とは、人生とは、と考えさせられる力作。ケイト・ウィンスレットの役者としての成長がめざましい。…が、時間が経って、今思い起こすと、あまり印象に残っていないのは何故でしょうか。

 
…さて、以上がベスト20ですが、例によってまだまだ入れたい作品が目白押しですので、もう10本、ベスト30まで紹介しておきます(タイトルのみ)。

21位 人生に乾杯!
22位 
重力ピエロ
23位 
のんちゃんのり弁
24位 
チョコレート・ファイター
25位
 牛の鈴音          (監督:イ・チョンニョル)
26位
 誰も守ってくれない
27位 
チェ 39歳 別れの手紙 (監督:スティーブン・ソダーバーグ)
28位 
ウルトラミラクルラブストーリー
29位 
パイレーツ・ロック    (監督:リチャード・カーティス)
30位 
愛を読むひと       (監督:スティーブン・ダルドリー)

・・・・・・・・・・・・・・

さて、昨年は、腹を抱えて笑った、楽しいおバカB級映画を集めて、「愛すべきB級映画大賞」ベストテンを発表しましたが、本年度は残念ながら10本も集まりませんでしたので、ベスト3だけ発表しておきます。

1位 ロボゲイシャ
2位 ヤッターマン   (監督:三池 崇史)
3位 モンスターVSエイリアン   *作品そのものはB級じゃないんですが、昔のB級SF映画へのオマージュが満載なのが楽しい。 

・・・・・・・・・・・・・

最後に、こちらは腹が立つ駄作群「ワーストテン」の発表です。

1位 しんぼる         誰か止める人いないの?
2位 
スノープリンス 禁じられた恋のメロディ
3位 
山形スクリーム
4位 
MW -ムウー
    手塚治虫が地下で泣いている
5位 
TAJOMARU
6位 
笑う警官
         春樹さん、あの原作をどうやったらこんな珍作に?
7位 
アサルトガールズ
  押井さん、実写はもう止したら?
8位 
GOEMON
9位 
7つの贈り物
      クラゲはないでしょう(笑)
10位 
アマルフィ -女神の報酬-

今年もほぼ日本映画ばっかりですね。年々酷くなるようです。困ったものです。

 
てことで、今年もよろしくお願いいたします。 m(_ _)m

 
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