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2010年12月30日 (木)

2010年を振り返る/追悼編

今年もあとわずか。早いものです。

今年は、年末にかけて、仕事がすごく忙しくなって、睡眠不足も重なり、映画はかろうじて観ているのですが、映画評を書こうと思っても、机に向かうと、睡魔が押し寄せて来て、全然筆が進まない状況です。映画を観ている時でも、途中で寝てしまう事も度々でした。

そんなわけで、12月はアップ出来た作品評がたったの2本。こんな時期に限って、見どころの多い秀作が重なっております。
正月明けには、何本か仕上げるつもりでおりますが、どうなることやら。

 
さて、今年1年を振り返ってみますと、私の好きな映画関係者で、亡くなられた方が多数おられます。一部はブログにも書きましたが、1年の締めくくりとして、ここでまとめて紹介したいと思います。

まず、映画俳優の方々。

Jeansimmons 1月22日 女優のジーン・シモンズさん 享年80歳
戦後すぐから活躍を始め、有名な所では、シネマスコープ第1号「聖衣」(53)、スタンリー・キューブリック監督の大作「スパルタカス」(60)、ウイリアム・ワイラー監督「大いなる西部」(58)等、錚々たる作品が並びます。

9月11日 ケヴィン・マッカーシー氏 享年96歳
多分、余程のB級映画ファンでもない限り、知る人は少ないかも知れませんが、ドン・シーゲル監督のSF映画の古典「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(56)の主演と言えばピンと来る人もいるはず。元々は舞台俳優で、映画化された「セールスマンの死」(51)ではアカデミー助演男優賞候補にもなったほど。近年はジョー・ダンテ監督作品の常連でした。

9月26日 グロリア・スチュアートさん 享年100歳
戦前から活躍している大ベテランですが、近年では忘れられた存在でした。が、ジェームズ・キャメロン監督の「タイタニック」(97)で、現在のローズを演じ、一躍名が知られました。

Tonycurtis 9月29日 トニー・カーティス氏 享年85歳  ビリー・ワイルダー監督「お熱いのがお好き」(59)が有名。他では「手錠のままの脱獄」(58)、「パリで一緒に」(63)等多数。私が好きなのはブレイク・エドワーズ監督「グレート・レース」(65)。歯がキラリ、と光る超二枚目役で笑わせてくれました。

以下、日本
4月27日 大ベテラン、北林谷栄さん 享年98歳
説明はいらないでしょう。代表作も多数ありますが、印象的なのは、市川崑監督「ビルマの竪琴」の56年版、リメイクの85年版の両方に同じ物売り婆さん役で出演して、ほとんど年齢差を感じさせなかった事、それと今井正監督作品に多く出演している点です。「キクとイサム」「喜劇・にっぽんのお婆ちゃん」「橋のない川」がとりわけ印象的でした。

今井正監督と言えば、「青い山脈」(49)。その作品に高校生役で出演し、一世を風靡したのが、10月8日に92歳で亡くなった池部良さん。
万年青年と呼ばれ、気品があり、「雪国」(57)等の文芸作品にも多く出演していますが、一方で高倉健主演「昭和残侠伝」シリーズ等の東映ヤクザ映画、石井輝男監督の抱腹絶倒コメディ・アクション「直撃!地獄拳」シリーズ、「宇宙大戦争」(59)、「妖星ゴラス」(62)、「惑星大戦争」(77)等の東宝特撮SF作品など、B級作品にも進んで出演するフットワークの軽さにも注目すべきでしょう。まさに万年映画青年でありました。

2月17日 藤田まことさん 享年76歳
9月16日 小林桂樹さん 享年86歳

共に著名な役者さんで、マスコミにも多く取り上げられました。このお二人の出演作で、私が大好きな作品があるのですが、どこも取り上げていなかったと思いますので、ここで紹介したいと思います。

それが奇しくも、2本立ての番組として東宝系で公開された、「首」「日本の青春」(共に68年)です。

Kubi 「首」は八海事件の弁護で知られる正木ひろし弁護士原作で、後に「八甲田山」「日本沈没」等の大作を手掛ける森谷司郎監督の初期の代表作(脚本・橋本忍)。この作品で主演の正木弁護士役を演じたのが小林桂樹さん。
これがなんとも強烈で、戦中でありながら、警察の取調べ中の暴行致死、今で言う“特別公務員暴行陵虐罪”を暴く為に正木弁護士が、墓を掘り起こし、埋葬された死体の首を切断し持ち帰るというショッキングな話。正義と真実の追究とは言え、今では考えられない行動です。無論実話。
警察の取調べ可視化や、正義の意味、が問われる現代、是非見直し、再評価すべき秀作と思うのですが、何故かビデオ、DVDも出ておりません。
「日本の青春」
は、遠藤周作原作で、名匠小林正樹監督の力作。当時コメディばかり出ていた藤田まことさんの、おそらく初めてのシリアス作品。戦中派男の、戦後の不器用な生き様を描いた作品で、地味な作りの故か、これもDVD化はされておりません。ちなみに、憎たらしい藤田の上官役を演じていたのが、5月2日に81歳で亡くなられた佐藤慶さんでした。
それにしても、よくまあこんな地味な2本立てを、東宝の全国チェーンで公開したものです。

監督に目を移しますと、
1月11日 エリック・ロメール氏 享年89歳
9月12日 クロード・シャブロル氏 享年80歳

共に、フランス・ヌーベルバーグの旗手。これでヌーベル・バーグ派の監督は、ジャン・リュック・ゴダールを除いては、ほとんど亡くなってしまいました。一つの時代が終ってしまったと言えるでしょう。

一つの時代と言えば、アメリカン・ニューシネマの代表作を作った、2人の名監督が相次いで亡くなりました。

5月29日 デニス・ホッパー氏 享年74歳
9月28日 アーサー・ペン氏 享年88歳

アーサー・ペンは、ヘレン・ケラーの少女時代を描いた「奇跡の人」(62)でも知られていますが、やはり映画ファンにとっては、ニューシネマの嚆矢、「俺たちに明日はない」(67)が忘れ難い。デニス・ホッパーは、これはもう「イージー・ライダー」(69)が最高作。以後も監督作は多数ありますが、「イージー・ライダー」に遠く及ばない。時代が生み出した奇跡の作品と言えるかも知れません。俳優としては、「地獄の黙示録」(79)、「スピード」(94)を挙げておきましょう。

あと外国映画監督としては
6月16日 ロナルド・ニーム氏 享年99歳。代表作「ポセイドン・アドベンチャー」(72)。

Brakeedwards 12月15日 ブレイク・エドワーズ氏 享年88歳。大抵の紹介では、A・ヘップバーン主演「ティファニーで朝食を」(61)を代表作としていますが、個人的には「ピンクの豹」(63)に始まる「ピンク・パンサー」シリーズが好きですね。とりわけ2作目「暗闇でドッキリ」(64)は楽しい快作。ただ4作目以降はヨレヨレになってしまいましたが(笑)。あと、前述の「グレート・レース」(65)、それと狂気と笑いの「地上最大の脱出作戦」(66)は知られざる秀作としてお奨めです。

日本映画でも、一時代を築いた人たちが相次いで亡くなりました。

2月11日 井上梅次さん 享年86歳
4月6日 西河克己さん 享年91歳
7月12日 松尾昭典さん 享年81歳

いずれも、日活映画の黄金時代を駆け抜けた人たちです。井上梅次さんは、石原裕次郎主演の諸作、とりわけ「嵐を呼ぶ男」(57)は社会現象を巻き起こしました。井上さんの功績は日本に留まらず、1963年からは香港に出向き、ショー・ブラザーズで「香港ノクターン」他多数の作品を手掛け、香港映画の発展にも寄与しました。

西河克己さんは、日活時代は傍流とも言える、和田浩治主演作を多く手掛けましたが、中でも楽しいのが西部劇のパロディ「俺の故郷は大西部」(60)。最後の”大川牧場の決闘”が笑えます。
日活退社後は、「伊豆の踊子」(74)に始まる、一連の山口百恵主演作で気を吐きました。

松尾昭典さんは、やはり裕次郎主演作「夕陽の丘」(64)、「二人の世界」(66)等で知られています。個人的には、裕次郎が難病の少年(子役時代の小倉一郎)を見守る「破れざるもの」(64)が隠れた代表作と言えましょう。

日活と言えば、「関東無宿」「刺青一代」「東京流れ者」等の鈴木清順監督の傑作を手掛けた美術監督の木村威夫さんも3月21日、91歳でこの世を去りました。晩年は映画監督としてもデビューし、「夢のまにまに」(2008)等を発表しました。

その他では、
4月2日 山内鉄也さん 享年75歳。代表作は東映集団時代劇の傑作「忍者狩り」(64)。

8月23日 川本喜八郎さん 享年85歳
8月24日 今 敏さん 享年46歳
9月11日 谷 啓さん 享年78歳
についてはブログに書きました。

俳優、監督以外の方については、簡単に紹介します。
2月1日 デヴィッド・ブラウン氏 享年93歳。映画プロデューサー。
リチャード・ザナックとのコンビでS・スピルバーグ監督の劇場デビュー作「続・激突/カージャック」(74)と、大ヒット作「ジョーズ」(75)を手掛けた事で知られています。スピルバーグを世に送り出した功績は大でしょう。

7月31日 ミッチ・ミラー氏 享年99歳。ミッチ・ミラー合唱団リーダー。名前を知る人も少なくなりましたが、「戦場にかける橋」の主題歌「クワイ河マーチ」、「大脱走」のテーマ、「史上最大の作戦」のテーマ等、映画音楽のヒット作が多数あります。テレビ番組「ミッチと歌おう」も忘れ難い。

2月8日 立松和平さん 享年62歳。小説家。映画化された作品「遠雷」(80)、「光の雨」(2001)。
4月9日 井上ひさしさん 享年75歳。小説家、戯曲家。映画ファンとしては、テレビ人形劇「ひょっこりひょうたん島」、アニメ「長靴をはいた猫」(69)の脚本家としての方が愛着があります。
7月10日 つかこうへいさん 享年62歳。劇作家。やはり「蒲田行進曲」(82)でしょうが、若松孝二監督「寝盗られ宗介」(92)も手掛けています。もっと映画脚本を書いて欲しかった。

 
本当にどなたも、思い起こすと映画の名シーンが目に浮かびます。

慎んで哀悼の意を表します。  合掌。

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(12/31追記)
大晦日に、訃報が舞い込みました。

12月28日、高峰秀子さんが、肺がんの為、亡くなられました。享年86歳でした。

凛とした生き方を貫き、最近もその生き方をまとめた、斉藤明美さん著「高峰秀子の流儀」がベストセラーとなりました。

代表作は沢山あります。「馬」、「銀座カンカン娘」、「二十四の瞳」、「カルメン故郷に帰る」、「浮雲」、「名もなく貧しく美しく」、「流れる」、「女が階段を上る時」、「恍惚の人」…どれも忘れられない名作揃いです。晩年は「わたしの渡世日記」等、文筆家としても活躍しました。

つい最近、「名もなく貧しく美しく」を見直した所です。これは小林桂樹さん追悼のつもりで見たのですが、思えばこの作品に主演したお二人が、同じ年に亡くなられたわけですね。

テレビ局は、是非正月から、追悼番組として上記の名作を放映すべきです。何度見ても素晴らしい名作ばかりです。

慎んで、ご冥福を祈ります。

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コメント

たくさんの方、亡くなってたんですな~。
僕的には、トニー・カーチスさんが青春でしたな~。
同時代ではあまり観てなく、広川太一郎さんの吹替えを通して、
テレビでいっぱい観ましたな~。

投稿: omiko | 2011年1月 9日 (日) 08:37

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