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2011年4月24日 (日)

テレビ「JIN -仁-」

Jin

演出:平川雄一朗
原作:村上もとか『JIN -仁-』(集英社「スーパージャンプ」)
脚本:森下佳子

2009年10月~12月に日曜劇場枠で放送され、好評を博した同名ドラマの完結編。

テレビドラマをめったに見ない私も、このドラマは初回から欠かさず見ていた。

その理由は、原作者の村上もとかが、私のお気に入りマンガ「龍-RON-」の作者であったからである。

「龍-RON-」は、昭和初期から終戦間際までの激動の時代を生きた若者・龍を主人公にした大河歴史ロマンで、石原莞爾、甘粕正彦、、周恩来やダライ・ラマ等の歴史上の著名人物や、溝口健二、小津安二郎、山中貞雄らの映画人(一部仮名)も物語に密接に関わっており、その壮大なスケールと緻密な人間ドラマに圧倒された傑作であった(詳細はこちら)。

そんなわけだから、かなり期待して見ていたが、期待以上にドラマの方も良く出来ており、特に主人公が医者という事で、命の大切さ、生きることの意味も真摯に問いかけられており、そこに激動の幕末に生きた人たちの青春群像、さらにはタイムスリップによる、歴史を変えてしまう事へのサスペンスまで加わって、実に盛りだくさん、かつスケールの大きなドラマが展開する。

感動的なのは、医師として、命を救う事の使命感に溢れ、一方では特効薬も医療器具もない時代の中で、救える命も救えなかった無力感に苛まれ、悩みつつも、やがて時代の波の中で人間的に成長して行く主人公・仁の心の変遷が丁寧に描かれている点である。

坂本龍馬や緒方洪庵、勝海舟、今回の第二部からは佐久間象山、西郷隆盛、近藤勇、さらに原作ではこの後徳川慶喜、福澤諭吉なども登場する、歴史ドラマとしても見応えがある。

17日の第1回で特に感動したのは、咲(綾瀬はるか)の母、栄(麻生祐未)が生きる希望を失い、「生きていたくもございませぬ。生きていて何の望みがありましょうか」と死にたがっている所に、母を失いながらもけなげに生きる少年・喜市(伊澤柾樹・好演)が「死んだらダメなんです。神様は 乗り越えられる試練しか与えないんです!生きてるからこそ、笑える日も来るんです」と語りかけるシーン。子供らしからぬ、ちょっとアザといセリフと言えなくもないが、やっぱりドッと泣かされた。

このセリフは、考えようによっては、今回の東日本大震災で、絶望に打ちひしがれている人たちにも向けた言葉とも言えるのではないか。
「神様は 乗り越えられる試練しか与えない」…私ごときの人間が偉そうに言える資格はないが、逆境にあろうとも、絶望の淵にあろうとも、それでも試練を乗り越えて、生きる望みは捨てないで、と祈りたい。「生きてるからこそ、笑える日はきっと来る」…この言葉を心の支えにして欲しい。

収録されたのは大震災前かも知れないが、放映が大震災から1ヶ月余り後の時期であったのはいいタイミングである。

是非多くの人に見て欲しい。きっと勇気を与えてくれるはずである。

 
作家の堺屋太一氏は、今回の災害を「第三の敗戦」と呼んでいる。第一は薩英戦争から開国、明治維新に至った幕末期、第二は文字通り太平洋戦争の敗戦、そして今回である。

確かに、どれも未曾有の国難である。…それでも、第一、第二とも日本は乗り越えて発展を遂げて来た。希望はきっとあると望みたい。

で、考えれば、村上もとか原作の2大歴史ドラマは、「龍-RON-」が太平洋戦争、「JIN-仁-」が幕末と、奇しくも堺屋太一氏言う所の第一、第二の敗戦、が舞台となっている(題名がこれまたどちらも、人名1字にアルファベットの組み合わせという共通点がある)。

原作者も予期しなかった、何か大きな偶然が働いているようにも思える。

「JIN-仁-」の、今後のドラマ展開にも大いに期待したい。

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(付記)
これから見る人にご忠告。第一部を見ていないと人物関係が分かり辛いと思う。DVDで復習をお奨めする。ついでに幕末期の歴史を予習しているとより面白く見れるだろう。

ところで、龍馬の恋人、お龍が一向に登場する気配がないが、史実ではもうそろそろ龍馬と出会っているはずである(佐久間象山暗殺は元治元年(1864年)7月11日。龍馬がお龍と出会ったのは同年5月。二人が内祝言を挙げたのは同年8月)。出さないのは、何か意図があるのか、単に出し忘れてるだけか?

(関連記事)  「龍-RON-」

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コメント

私も観てます。面白いですね。
一応、原作も立ち読みとはいえ読んでいます。
お龍は最近やっと登場しましたね。
演じるのは東風万智子(旧芸名は真中瞳)でした。

投稿: きさ | 2011年5月22日 (日) 15:07

◆きささん
お龍やっと登場しましたね。
でも、一瞬だけで、ほとんど印象に残らない(笑)。
もうちょっと出してあげればいいのにね。
真中瞳さんは映画「ココニイルコト」でいい味を出してましたが、以後は伸び悩んでますね。終盤にまた出て来る事を期待してます。

投稿: Kei(管理人) | 2011年5月24日 (火) 01:51

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