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2018年1月28日 (日)

「バーフバリ 王の凱旋」

Baahubali_2_the_conclusion2017年・インド
配給:ツイン
原題:Baahubali 2: The Conclusion
監督:S・S・ラージャマウリ
原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード
脚本:S・S・ラージャマウリ
音楽:M・M・キーラバーニ
製作:ショーブ・ヤーララガッダ、プラサード・デービネーニ

2016年にインド映画史上歴代最高の興行収入を記録し、昨年4月に日本でも公開された歴史アクション「バーフバリ 伝説誕生」の完結編となる第2作。監督・脚本は「マッキー」のS・S・ラージャマウリ。主演はインドで数々の映画に出演してきたプラバース。本作では主人公とその父の二役を演じている。

蛮族カーラケーヤとの戦争に勝利し、マヒシュマティ王国の王に指名されたアマレンドラ・バーフバリ(プラバース)は、自らが治める国を視察するため、忠臣カッタッパ(サティヤラージ)と共に身分を隠して旅に出た。その途中立ち寄ったクンタラ王国の王女デーヴァセーナ(アヌシュカ・シェッティ)と彼は恋に落ちる。しかし王位継承争いに敗れた従兄弟バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)の邪悪な策略により、バーフバリは王座を奪われ、命を落としてしまう。さらに生まれたばかりの彼の息子も狙われるが、国母シヴァガミは命を賭して息子を救う。そして25年後、成長したバーフバリの息子シヴドゥ(プラバース二役)は、マヘンドラ・バーフバリとして暴君バラーラデーバに戦いを挑む…。

評判が良かったので見たいと思ったが、またしても大阪ではなんばパークスシネマ1館でしかやっていない(「あゝ、荒野」も最初はここだけだった)。年末ギリギリ公開で昨年中には見られず、正月になってやっと観る事が出来たが…。

いやあ、素晴らしい。壮大なスケールの復讐劇を、アクロバティックなアクションと恋愛模様を巧みに絡めてダイナミックに描き、2時間21分、まったく飽きさせない。
インド映画お得意の歌と踊りも随所に配置され、娯楽映画としても一級品である。

インド映画は20年ほど前から、極彩色鮮やかな衣装やセットを配置した絢爛豪華なミュージカル・タッチの明朗エンタティンメントを量産して来たが、最近は一段とスケール感を増した、超大作が作られるようになった。それは、CGを得た事も大いに関係していると思われる。本作でもCGによる豪華な建造物、派手な崩壊シーン、空中アクロバット・アクション、縦横に空間を浮遊するようなカメラワークなど、CGなくしてはとても描けないような映像がこれでもかと登場して楽しませてくれる。

実は昨年4月に、物語の前編となる「バーフバリ 伝説誕生」がやはりなんばパークスシネマで公開されていたそうなのだが、ほとんど宣伝されておらず、上映されていた事も知らなかったので見逃していた。

本作では冒頭に前編のあらすじが付いているので、前編を観ていなくてもだいたい話は判ったが、やはりこれは観ておかねばと、本作鑑賞後にTSUTAYAに行って、前編を借りて観てみた。

 
うーん、本作だけでも充分面白いけれど、やっぱり前編を観ておいた方がお話はより判り易いし、前編のあちこちに配置された伏線が後編で巧みに回収されているので、前編を見逃した方は、出来ればDVD借りて予習しておいた方がより楽しめるだろう。

例えば前編で、鎖に繋がれている父バーフバリの妻デーヴァセーナが、落ちている枯れ枝を集め、広場の石囲いにいっぱい溜めているシーンが出て来る。彼女はいずれ、憎き夫の仇の国王バラーラデーヴァをそこに叩き込んで焼き殺す、と誓いを立てていると語るのだが、これがある事によって、本作のラストのバラーラデーヴァの死に様(デーヴァセーナの希望通りとなる)がより納得出来るわけである。またラストで倒壊する、巨大な黄金像が建造された経緯も前編にきちんと描かれている。

また後編の戦闘シーンで、6人くらいの盾を持った兵士が椰子の木のカタパルトで空を飛び、空中で樽状に合体して回転しながら城内に飛び込むアクロバティックなシーンがあって驚かされるが、これも前編の蛮族との戦闘シーンで、兵士が一糸乱れぬ統率で、盾を要塞のようにガチガチに固めるシーンが出て来るので、あのくらい盾を自在に使いこなすなら盾の空中合体もアリだろうなと思わせてくれる。

お話は、インドに伝わる叙事詩を参考にしているとの事だが、私が連想したのは、旧約聖書を基にしたスペクタクル映画「十戒」(セシル・B・デミル監督)である。
「十戒」も、赤ん坊モーゼが殺される所を川に流され、一人の女性に拾われ育てられ、成長して実の王子ラメシス(ユル・ブリンナー)と王位をめぐって争いとなる話である。
まあこういう貴種流離譚的ドラマは、過去にいろんなバリエーションで作られており、そういう意味では王道パターン(まさに王になるお話だ(笑))であるとも言える。

わが日本でも、例えば大映特撮時代劇「大魔神」第1作は、家老の謀反で城主は殺され、かろうじて脱出した城主の幼い息子がやがて成長して青年となり、最後に仇敵を倒すという、まさに本作とそっくりのお話であった。
そう思えば、バーフバリの無敵の超人的な活躍ぶりは、大魔神の暴れっぷりを思わせる(笑)。

前編で楽しいのが、シヴドゥと名付けられた主人公が、滝の上の世界で美しい女戦士アヴァンティカと出会い恋に落ちるシーンで、インド映画らしく歌い踊るきらびやかなミュージカル・シーンとなる所。
後編でも、回想シーンでバーフバリが後に妻となるデーヴァセーナと出会い、恋に落ちるプロセスで、白鳥型の帆船が空中を舞う幻想的ミュージカル・シーンとなる。

こういった能天気に見える歌と踊りがあるかと思えば、大軍勢同士の壮絶な戦闘シーンも時間をかけてたっぷり見せたり、ややごった煮で統一性に欠けるきらいがないでもないが、観ている間はそんな事も気にならないほど楽しく、興奮し、感動させられる。

ワイヤースタントとスローモーションを多用したアクション・シーンも見ごたえがある。

いろんな映画からの引用、オマージュも楽しい。アクション・シーンはブルース・リー以来の香港カンフー映画、チャウ・シンチーのありえねー荒唐無稽アクション、さらにアメコミの超人ヒーロー・アクションまで取り込んでいるし、前述のように聖書史劇から、わがヒーロー時代劇に至る王道の仇討ちドラマ、さらには何十万人もの敵と戦う戦闘シーンは「スパルタカス」やソ連映画「戦争と平和」、第一次大戦を描いた戦争映画等のいろんな戦争ものを思い起こさせる。そして歌と踊りのミュージカル・シーンは、MGMミュージカルも参考にしているようだ。

といった具合に、本作は古今東西のあらゆるジャンルの娯楽、アクション映画のエッセンスをぶち込んだ、まさに極上のエンタティンメントであると言える。細かいアラなんか見過ごして、楽しんで観るのが正解だろう。

インド映画として初めて全米映画興行収入トップ10入りを果たしたという事実も納得である。

こんなに面白い映画なのだから、もっと大々的に宣伝打ってパブリシティに努めれば、大ヒットしたかも知れない。ごく小規模でひっそり公開するのは何とももったいない。

特に前編の公開から8ヵ月も経ってからの後編公開は、間が空きすぎである。配給会社としては、後編の公開に合わせてBR、DVDを発売するという魂胆も見え隠れするが、個人的にはやっぱり前・後編を続けて大画面で見たかった。

ともあれ、正月に観るにはもってこいの娯楽大活劇エンタティンメントとして、お薦めである。    (採点=★★★★☆

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コメント

良く行くブログで「ロード・オブ・ザ・リング」+「マッドマックス 怒りのデスロード」と評していましたが、まさにそんな感じ。
とても面白かったのですが、残念なのは前篇の「伝説誕生」を見損なった事。
やはりこれは前後篇を一気見したかったですね。
一応、冒頭に前篇のダイジェストが付いているので話は分かるのですが、やはり一気に見ればラストのカタルシスが違ったと思います。

投稿: きさ | 2018年1月29日 (月) 21:19

今、気鋭の映画館(二番館)で二作連続マサラ上映で満席とか出し始めました。私も一作目を見てすげーとは思ったものの(続く事は1作目のラストで知ってたので)その後、八カ月も待たされるとは思わんかった。忘れるって、細かい事を。

投稿: ふじき78 | 2018年1月29日 (月) 22:39

◆きささん
>「ロード・オブ・ザ・リング」+「マッドマックス 怒りのデスロード」…
あはは、言い得て妙ですね。まさにそんな感じです。
前篇「伝説誕生」はソフトがレンタルされてるので、私もDVDで見ましたが、やはり劇場の大スクリーンで見たいですね。
評判がいいし、前後編を一挙に劇場公開する、まさに本作のタイトル通り「凱旋興行」(笑)やってくれませんかねぇ。

◆ふじき78さん
ホント、8ヶ月も間空けたら細かい所忘れてしまいますねえ。
まあ、忘れてる所はDVDで見直して、思い出してはいかかでしょうか。
それより、是非アンコール上映を希望。なんなら署名運動でも起こしますか。

投稿: Kei(管理人) | 2018年1月31日 (水) 00:59

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