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2021年1月 2日 (土)

2020年度・ベスト20 ワースト10発表

 あけまして おめでとうございます。

 本年もよろしくお願いいたします。 

 

さて、私の昨年度ベスト20を発表いたします。例年通り、HPに掲載しているのと同じ要領で、邦・洋混成のベスト20です。

 

1位 海辺の映画館 キネマの玉手箱
Umibenoeigakan  大林宣彦監督の遺作であり、かつここ数年作り続けて来た戦争三部作(「この空の花 長岡花火物語」等)に込められた戦争反対の思いの丈をさらに集約した、まさに大林映画の集大成。絢爛豪華に繰り広げられる映像マジックにただ圧倒されました。ガンで余命宣告を受けながら、精力的に映画を作り続けて来られた大林監督には、ただただ尊敬の念しかありません。何度も観たくなる、素晴らしい傑作です。

2位 パラサイト 半地下の家族
Parasite  格差社会が世界的に広がる今の時代の問題点を、ブラック・ユーモアで塗し痛烈に皮肉った、ポン・ジュノ監督の最高作ですね。それにしてもカンヌ映画祭パルムドールはともかくも、米アカデミー賞作品賞まで獲得するとは想像出来ませんでしたね。これまではいつもイーストウッド監督作品に阻まれてキネマ旬報ベストワンを逃して来ましたが、今度こそ間違いなくキネ旬ベストワンに輝くでしょうね。

3位 アンダードッグ 前編・後編
 前後編合わせて4時間半を超える大長編ですが、底辺であえぎながらも、さまざまな人生を抱えて生きる人たちの思いと、夢に挑む若者たちの苦闘を巧みに交錯させ、すべてがラストの壮絶な闘いに集約される見事な人間ドラマの傑作です。ボクシング試合のダイナミックな演出も見ごたえあり。足立紳の脚本(原作も)、武正晴監督の演出、役者たちの演技、いずれもパーフェクト。見事と言うしかありません。

4位 朝が来る
 辻村深月の原作も良く出来ていますが、河瀬直美監督は作品に篭められたテーマをきちんと咀嚼し、子供を産む事、養子として得た子供を愛情をもって育てる事、それぞれの覚悟と強い信念の大事さを見事映像化し、深い感動を与えてくれます。監督独特の自然描写の挿入、ドキュメンタルな演出も効果的です。河瀬監督のこれまでの最高作でしょう。

5位 カセットテープ・ダイアリーズ
 グリンダ・チャーダ監督はこれまで知らなかったし、あまり期待していなかったけれど、これは素晴らしい傑作です。パキスタン移民の高校生が、ブルース・スプリングスティーンの音楽と出会った事で新しい人生を獲得して行くまでを、社会的テーマを盛り込みつつも、見事な青春映画に仕上げ
ています。1987年が舞台ですが、移民排斥、人種差別、不況による底辺労働者へのしわ寄せと、描かれる社会問題は今の時代とそのままリンクしている点も逃せません。

6位 本気のしるし 《劇場版》
 これまた上映時間が3時間52分もある大長編ですが、熱のこもった力作でした。困った人を放っておけない性格の男が、聖女とも悪女ともつかない不思議な女性に翻弄されるだけの物語ですが、それだけでダレる事もなく4時間近くを持たせる、深田監督の脚本(三谷伸太朗と共同)・演出、共に見事です。人間って、不思議で、困った存在だけれど、でも愛おしい、と思わせる魅力的な秀作でした。

7位 異端の鳥
 これも上映時間が3時間近くある作品ですが、エネルギッシュな演出に圧倒されます。ホロコースト物ですが、主人公が哀れな被害者だけではなく、異端者を排除する暴力と虐待に苛まれるうちに、社会に対する悪意、復讐心を顕在化させて行くという展開がユニークです。フィルムで撮影された端正なモノクロ映像も魅力的です。

8位 れいわ一揆
 なんと、これも上映時間が4時間もある大長編ドキュメンタリーです。しかしさすがドキュメンタリーの鬼才・原一男監督、ユニークな人たちの選挙活動を追って飽きさせません。ドキュメンタリーなのに、弱い者が力を合わせ、強大な敵に闘いを挑み勝利するという、まさにエンタティンメントの王道パターン通りの楽しめる作品になっているのが見事です。
それにしても本年度は1位の「海辺の映画館」も含めて、上映時間が3時間~4時間もある長編映画が続々登場、それらがいずれもベスト上位に食い込んでいるのだから凄い。観るのに体力と時間が要りましたが(笑)。

9位 Mank マンク
 Netflixオリジナル作品ですが、劇場公開もされました。鬼才デヴィッド・フィンチャーが、父が残した脚本を執念の映画化。映画史上の傑作「市民ケーン」の脚本を書いた、マンクことハーマン・J・マンキウィッツを主人公にしたという着眼点が秀逸ですが、演出も熱が篭もっていて見ごたえがあります。マスコミ界で強大な権力を持つ人間の驕り、フェイクニュースで選挙戦を捻じ曲げる話も出て来たりと、今の時代に通じるテーマが盛り込まれる点も見どころです。

10位 1917 命をかけた伝令
 全編ワンカットが話題になりました(実際はCG処理でそう見せている)が、多くの人の命を守る為に、決死の覚悟で戦場を走り抜ける主人公の姿に感動を覚えます。ワンカット撮影は、我々自身も戦場にいるような臨場感を感じさせる為に必要な手法だったのでしょう。

11位 TENET テネット
 さすがクリストファー・ノーラン監督、進行していた時間の流れを途中から逆行させ、それまで経過した時間の流れと交差させるというアイデアが秀逸。一度観ただけでは判り辛いですが、“考えるより感じる”作品の1本として魅了させられました。これ、DVDで、あの時のあれはアレか、と確認しながら観直したらより楽しめるかも知れませんね。

12位 スパイの妻
 戦時中の大戦秘史的な物語で、731部隊の非道な作戦を告発する為にあえて売国奴になろうとする主人公の苦悩のドラマと、その夫を信じ続ける妻の物語、…と思わせておいて、最後には見事なドンデン返し的ミステリーになっているのが秀逸。これはやられました。まさに蒼井優のセリフ通り、「お見事!」と唸りたくなる秀作です。

13位 リチャード・ジュエル
 クリント・イーストウッド監督は相変わらずコンスタントに力作を発表しますね。これも最近続いている実話の映画化で、冤罪の怖さ、マスコミのえげつなさを容赦なく描きます。もう90歳になるのに、演出力はまったく衰えを見せません。今年も新作が観れるようで楽しみです。

14位 浅田家!
 ちょっとユニークな主人公の成長を通して、写真の持つ力、家族が強い絆で結ばれ、生きて行く事の大切さを訴え感動を呼びます。デビュー以来一貫して家族の物語を描き続ける中野量太監督ですが、本作は実話がベースでありながらも、紛れもなく中野監督らしい作品に仕上がっていますね。もう立派な日本を代表する名監督と言えるでしょう。

15位 佐々木、イン、マイマイン
 陽気でバカな事をやっているように見えて、実は心の中に深い孤独を抱えた佐々木という男との交流と友情を通じて、自分の人生を見つめ直そうとする主人公の生き方を凝視した青春映画の力作です。新人監督・内山拓也のシャープな演出も見ごたえあり。

16位 37セカンズ
 これも新人監督の作品。実際に車椅子生活を送る障碍者を主役に起用し、障碍があろうとも真っ直ぐに前に向かって歩もうとする主人公の生き方を描いて深い感動を呼ぶ秀作です。主人公を演じた佳山明さん、新人と思えないくらい才気に溢れる演出ぶりを見せた監督のHIKARIさん、共に素晴らしい。

17位 ソワレ
 これまた新人監督、外山文治の力作です。自分の生き方が見つけられずにいる若者と、父にずっと苦しめられ生きる意欲も失いかけている少女とが出会い、犯罪を犯して逃避行を続ける中で、藻掻きながらも二人がそれぞれに生きる意味を見つけようとする姿を描くロードムービーの秀作。上記3人の新人監督の次回作が楽しみです。

18位 ジョジョ・ラビット
 なんとまあ、ヒトラーそっくりの男を頭の中に妄想する少年を主人公に、コメディ・タッチで始まりながら、途中からアンネ・フランクを思わせるユダヤ人少女を匿うサスペンスになり、最後は痛烈な反戦ヒューマニズムで締めくくられる、ジャンル分け不能の異色作です。監督と偽ヒトラーを演じる俳優とを兼任したタイカ・ワイティティ監督、お見事です。無論主役の10歳のジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイビスくんの演技も素晴らしい。

19位 ジョゼと虎と魚たち
 原作は2003年に犬童一心監督により一度実写映画化されていますが、今回はアニメでのリメイク。犬童作品が良かっただけにどうかなと思いましたが、こちらも見事な秀作に仕上がっています。アニメらしい幻想的な映像も素晴らしいし、前作と違ってセクシュアルなシーンもなく、終盤に向かって二人の若者が徐々に心を通わせて行く脚本・演出が秀逸です。特にジョゼが自作の絵本を朗読するシーンでは思わず涙が溢れました。ラストを前作とは変えてハッピーエンドにしたのも正解です。これは予想外の拾い物でした。年末ギリギリに観てベスト20滑り込みです。

20位 ラストレター
 岩井俊二監督が25年前のデビュー早々の頃に発表した傑作「Love Letter」を思い起こさせる、“手紙”をやりとりする事にこそ、人の思いが伝えられるというテーマがさらに深化した、爽やかなラブストーリーの秀作です。まさに岩井ワールド。前作の主人公たちを演じた豊川悦司と中山美穂を再登場させるお遊びもニヤリとさせられます。


…さて、以上がベスト20ですが、例によってまだまだ入れたい作品がありますので、もう10本、ベスト30まで紹介しておきます(タイトルのみ)。

21位 アルプススタンドのはしの方
22位 ミセス・ノイズィ
23位 
フォードvsフェラーリ
24位 宇宙でいちばんあかるい屋根
25位 初恋
26位 燃ゆる女の肖像
27位 MOTHER マザー
28位 一度も撃ってません
29位 はちどり
30位 ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒

・・・・・・・・・・・・・・

うーん、それでも収まり切れない。31位以下も順不同で挙げておきます。

鵞鳥湖の夜
羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来
悪人伝
ぶあいそうな手紙
ストレイ・ドッグ

なぜ君は総理大臣になれないのか
男はつらいよ お帰り 寅さん
ウルフウォーカー
のぼる小寺さん
罪の声


というわけで、本年度はコロナ禍という異常事態にもかかわらず、日本映画に傑作、秀作が続出、ベスト20だけでも日本映画が12本も占めてしまいましたし、ベスト30までだと18本、と大豊作の年となりました。新人監督の意欲作がベスト20に4本(アニメ「ジョセと虎と魚たち」も含む)も入った事、長時間上映作品が上位を占めた事も本年度の特徴でしょう。そして、ネット配信作品の劇場上映作が昨年度に続き目立った事も見逃せません。この傾向は今年も続くでしょうね。

・・・・・・・・・・・・・・

さてお次は、恒例となった、楽しいおバカB級映画を集めた、「愛すべきB級映画大賞」。本年度も4本だけとなりました。

1位 脳天パラダイス
   お気に入りの山本政志監督の、まったく久しぶりのおバカコメディ。
2位 ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!
 
 まさか29年ぶりの続編。キアヌ、有名になってもこれやるとはエラい。
3位 ジェクシー!スマホを変えただけなのに   
   スマホが人格を持ったら、というアイデアがいい。
4位 ディック・ロングはなぜ死んだのか?
  とんでもないバカ映画です。

山本政志監督は'90年代、「てなもんやコネクション」、「アトランタ・ブギ」とおバカな怪作コメディを連発して好きだったのですが、最近は大人しくなってて心配してました。1位の本作は久しぶりのぶっ飛びコメディで大いに楽しませてもらいました。これぞ山本ワールド。2位、まだキアヌ・リーブスが無名時代に2作作られたおバカファンタジー・コメディのまさかの続編。昔とまったく変わっていない相変わらずの脱力ぶりに笑いました。3位、スマホ依存に陥っている現代人を徹底的におちょくった快作コメディです。笑ってばかりもいられませんね。4位は「スイス・アーミー・マン」のダニエル・シャイナート監督作品ですが、これもぶっ飛んでます。おバカ映画と言うより、人間のバカさ加減を冷たく見据えた怪作と言えるでしょう。

・・・・・・・・・・・・・

最後に、こちらは腹が立つ駄作群「ワーストテン」の発表です。

1位 記憶屋 あなたを忘れない
2位 キャッツ
3位 ファナティック ハリウッドの狂愛者
4位 サイレント・トーキョー
5位 
6位 Fukushima50
7位 アダムス・ファミリー
8位 
デッド・ドント・ダイ
9位 
事故物件 怖い間取り
10位 
さくら
次点 影裏

(寸評)1位、お話に無理があり過ぎ、記憶の消し方が支離滅裂、演出が大袈裟で観ててシラけてしまいました。2位、猫を擬人化して実写で人間が演じると、何とも気持ち悪い。これは大誤算。アニメか舞台までなら何とか見れたでしょうが。3位、オタクに対する偏見・悪意が見えて気分良くない。トラボルタの服装もダサ過ぎ。4位、物語整理が出来てなくて雑だし、人物描写が浅い。原作を端折り過ぎて何故無差別テロを行ったか意味不明になってる。5位、再会したら、普通は携帯の電話番号交換するでしょうに。それと時間の感覚が無茶苦茶。昼間に車で出発して到着が深夜0時?何処を走ってたんでしょうか(笑)。6位、なんか、特攻隊を賛美するような無理やり感動作仕立てが合わなかった。東電と国の失態も置き去りですし。7位、つまらなくてアクビが出ました。8位、今更古めかしいゾンビ映画ねぇ。ラストもしまらない。ジャームッシュどうなっちゃったんでしょうかね。9位、あの「リング」を監督した中田秀夫とは思えぬ退屈な作りにガッカリ。実話だったはずが途中から突然魔法ファンタジーになったのには唖然。10位、小松菜奈の人物設定に共感出来ない。行動が異常過ぎます。犬の名前がタイトルなのに全然物語に絡んで来ない、と思ったら、最後に大量のウンチで全員和解。なんじゃそれ?

今年度は珍しく、洋画が4本も。日本映画はまたまた去年の繰り返しになりますが、どれも脚本がヒドい。昔のように、師匠について修行は無理としても、もっといろんな脚本読んで修練して欲しいと思います。

という事で、今年もよろしくお願いいたします。 m(_ _)m 

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コメント

大変な時代になりました。私はCovid-19の影響と11月に引っ越しをしていた影響もあり、映画館での観賞が減りましたが、発表させていただきます。でもブログ主さんと逆みたいで、日本映画と外国映画一緒にしちゃうと外国映画だらけになるので、日本映画と外国映画分けます。

投稿: タニプロ | 2021年1月 3日 (日) 02:44

日本映画

1.「スパイの妻」(黒沢清)
2.「海辺の映画館 キネマの玉手箱」(大林宣彦)
3.「喜劇 愛妻物語」(足立紳)
4.「ミセス・ノイズィ」(天野千尋)
5.「ソワレ」(外山文治)
6.「宇宙でいちばんあかるい屋根」(藤井道人)
7.「浅田家!」(中野量太)
8.「アルプススタンドのはしの方」(城定秀夫)
9.「れいこいるか」(いまおかしんじ)
10.「佐々木、イン、マイマイン」(内山拓也)

投稿: タニプロ | 2021年1月 3日 (日) 02:46

noteとInstagramに書いた選評です。

選評

好きな映画を上から順に並べるのは芸がないからやめます。全ての作品に選んだ理由があります。
1は、今年のキングオブ日本映画。全編、躍動するショット。観終わった後の「ああ、''映画”を観たなあ」という感慨。
2は、「映画は画面に映っているもののみで語られるべき」というような論理には、一理あると思う。何故ならその映画を観る動機は人によって様々だけど、全ての人に共通しているのが「画面を観ている」という「行為」だから。しかし、その論理はこの映画には通用しない。監督が大林宣彦であることから避けて通れないような映画だ。
3と7の、きちんとしたクオリティでシンプルに「おもしろかった」「感動した」と言える映画の存在は大切だ。映画はそもそも娯楽なのである。
4の、観た人によって感じ方受け止め方がまるで変わってしまう挑戦的な映画作りを高く評価。
5と6は、私の勘が当たればあまり映画賞に絡まなそうなので、埋もれてはならないと私は評価する
8と9は、低予算でよくここまでやった。で、この2作品には決定的に違いがあって、恐らく城定秀夫はいつものように数日間で撮っています。いまおかしんじは一年撮影期間があったらしい。低予算でも、色々やり方があります。
10は、今年の新人監督賞です。

投稿: タニプロ | 2021年1月 3日 (日) 02:48

外国映画

1.「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ)韓国

2.「はちどり」(キム・ボラ)韓国、アメリカ

3.「フォードvsフェラーリ」(ジェームズ・マンゴールド)アメリカ

4.「オフィシャル・シークレット」(ギャビン・フッド)イギリス、アメリカ

5.「燃ゆる女の肖像」(セリーヌ・シアマ)フランス

6.「パブリック 図書館の奇跡」(エミリオ・エステベス)アメリカ

7.「淪落の人」(オリバー・チャン)香港

8.「レ・ミゼラブル」(ラジ・リ)フランス

9.「その手に触れるまで」(ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ)ベルギー、フランス

10.「ワイルド・ローズ」(トム・ハーパー)イギリス

投稿: タニプロ | 2021年1月 3日 (日) 02:50

noteとInstagramに書いた選評です。

選評

実は、2020年公開の映画で、もう一本だけ観たいのがあります。デビット・フィンチャーのファンなので「Mank マンク」。東京ではまだ上映してます。もう少し早く観るつもりが、「市民ケーン」を観たのがかなり昔で細かく覚えておらず、DVD借りようかと久しぶりに地元のTSUTAYAに行ったら閉店していたという・・・もうしかたないから「市民ケーン」観ないで観に行きます。ネトフリ入ればいつでも観れますが、あくまで映画館主義者なんで。
自分で選んでおいでこんなこと言うのも変ですが、凄い並び。傑作だらけ。まあ、外国映画は各国から選りすぐりが来てるから当たり前ですけど。
この中でネットにレビューを書かなかったのは「はちどり」「オフィシャル・シークレット」「パブリック 図書館の奇跡」あたりかな。少しだけ書きます。
「はちどり」はラストカットの絶妙な余韻に至るまで、言葉も出ない至高の芸術作品。
「オフィシャル・シークレット」はただただ驚き。日本映画は何故かこういう映画が作れなくなってるんですよね。しかも主人公の夫を演じてる俳優、何処かで観たなと思ったら、パレスチナ映画の傑作「オマールの壁」の主演俳優。こういうのを見つけてくるのも凄い。
「パブリック 図書館の奇跡」は、冒頭でヒップホップがかかってから「これはイケる」と思ったらラストまで素晴らしかった。亡くなった母が認知症になったあたりから、笑って泣ける映画に弱くなった気がします。
すみません。最後に1つだけ。普段あまり映画の話をしない人まで混じって盛り上がってたから水を差したくないので黙ってましたが、「TENET テネット」の良さは私にはわかりませんでした。つまらないとは思いませんけど、色々物足りなかったです。

投稿: タニプロ | 2021年1月 3日 (日) 02:54

ちょうど引っ越しと重なってたんで、映画にそんな長い時間取れなかったんで「本気のしるし」や「アンダードッグ」は観てません。「本気のしるし」は、東京で今月に再上映があるので観る予定です。深田晃司監督作品は「ほとりの朔子」から全て観てるので。
実は、「脳天パラダイス」の脚本を書いた金子鈴幸(金子修介のご子息)は友人なので、代わりに御礼を言います。お褒めいただきありがとうございます。
実は私は日本共産党の党員だったりするので、「れいわ一揆」は今後も観ないかなあ、と思います。

投稿: タニプロ | 2021年1月 3日 (日) 03:07

オマケです。

ブログ主さんは本を読むのも好きみたいなので、好みは違うかもしれませんが、私の2020年の10冊です。

「風よ あらしよ」(村山由佳)

「香港デモ戦記」(小川善照)

「カカ・ムラド〜ナカムラのおじさん」(ガフワラ)

「少年と犬」(馳星周)

「家族じまい」(桜木紫乃)

「水を縫う」(寺地はるな)

「ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち」(ブレイディみかこ)

「コロナ後の世界を生きる」(村上陽一郎 編)

「春、死なん」(紗倉まな)

「リベラル・デモクラシーの現在」(樋口陽一)

ベストテンではなく、何となく読んでほしい順に並べました。

投稿: タニプロ | 2021年1月 3日 (日) 03:39

Keiさん、あけましておめでとうございます。
昨年は2010年代映画ベストへのご寄稿ありがとうございました。

私も2020年映画ベストをブログに書いてみました。ご笑覧いただければ幸いです

春以降映画館に行くことが少なくなり、海辺の映画館やれいわ一揆を見れなかったのが痛恨の極みです。(どっちも作品が楽しみってより知り合いが撮影してたりプロデューサーだったりで観たかったんですが・・・)

スパイの妻もはちどりも観たかったです。これは純粋に作品が楽しみで

さんなこんなで今年もまた嫁市区お願いします

投稿: しん | 2021年1月 3日 (日) 11:57

よろしくお願いします と書きたかったのに、嫁市区になってました(笑
見逃してください

投稿: しん | 2021年1月 3日 (日) 11:59

◆タニプロさん
うわー、凄い長文書き込みありがとうございます。
日本映画は、順位は異なりますが私の好きな作品が並んでいるのが嬉しいですね。「喜劇・愛妻物語」と「れいこいるか」はどうしてもスケジュールが合わず見逃しています。どちらも観たかったのに残念です。
いつも書いてますが、観た人それぞれに自分の感性で受け止めて、これが自分のベストだと思えば、それでいいのだと思ってます。
「TENET テネット」は1回目観た時よりも2回目観た方が面白く観れました。ワケ分からないけれど、ハマってしまう、そんな作品もあっていいと思うし、私はそんな作品も結構好きだったりします。
お奨めの本、機会があれば読んでみますね。

投稿: Kei(管理人 ) | 2021年1月 3日 (日) 20:24

◆しんさん
明けましておめでとうございます。
2020年ベストテン拝見しました。私が好きな「37セカンズ」、「リチャード・ジュエル」が入ってるのがいいですね。知らない作品が結構ありますが、機会があれば探してみますね。
今年もよろしくお願いいたします。

投稿: Kei(管理人 ) | 2021年1月 3日 (日) 22:14

映画のベストテンは映画ファンに許された年に一度のお祭りだ!

キネマ旬報の外国映画一位、本命は「パラサイト」ですが、もしかしたら「死霊魂」かもしれません。

キネマ旬報は評者全員が10本選ぶ形式ですね。評論家先生たちは「パラサイト」を一位で出す人は当たり前過ぎて少ないかもしれませんが、色んな人がベストテンに入れて点数が上がりそうですが、「死霊魂」は数人がやたら高評価して点数が上がるかも。

「死霊魂」、私は観てません。ただ、観た人の評価がやたら高く、この監督は前からキネマ旬報で人気があるのと、評論家先生たちの評価が高いらしいので。

投稿: タニプロ | 2021年1月 4日 (月) 02:40

◆タニプロさん
「死霊魂」、評判がいいのは知ってまして、見たいとは思うのですが、上映時間が8時間26分もある上に、上映劇場が近くになく、また上映期間も短かったようで知らないうちに終了してて、結局見れませんでした。
そもそも体力が持つかも心配です(笑)。
キネ旬ではいい所まで行くかも知れませんね。それにしても昨年はやたら長い映画が多かった(笑)。

投稿: Kei(管理人 ) | 2021年1月 4日 (月) 23:08

「男はつらいよ お帰り寅さん」ようやくWOWOWで観ました。全体は日本版ニューシネマパラダイスで、かつ何気にALWAYS三丁目の夕日をまぶしてある。いやあ、良かった。しかし昭和の女優の方々の美しさったら。これ多分、そのピークでマドンナに選ばれ、かつ選ばれた嬉しさでイキイキと演じてるからですよね。思わず「すごい、すごい」と見ながら叫んでしまいました。実は昨年映画館で観た新作映画は、のん主演・出演2作とテネット、鬼滅の刃(!)のみ。「私をくいとめて」は、確かにのんは良かったけれど、「勝手にふるえてろ」の方が面白かったし(事前に予習で見なければ良かった。)、テネットはついていけず(笑)。もしお帰り寅さんを劇場で見ていたら、この中では(更に笑)ベスト1でした。

投稿: オサムシ | 2021年1月 6日 (水) 21:51

邦画以外

「TENET テネット」
「カセットテープ・ダイアリーズ」
「ワンダーウーマン 1984」
「1917 命をかけた伝令」
「リチャード・ジュエル」
「フォードvsフェラーリ」
「パラサイト 半地下の家族」
「きっと、またあえる」
「悪人伝」
「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」

邦画

「コンフィデンスマンJP プリンセス編」
「海辺の映画館 キネマの玉手箱」
「罪の声」
「グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~」
「映像研には手を出すな!」
「星屑の町」
「一度も撃ってません」
「弱虫ペダル」
「無頼」
「ラストレター」

投稿: きさ | 2021年1月 7日 (木) 10:50

◆オサムシさん
「男はつらいよ お帰り寅さん」は、やっぱりお正月に劇場で見るのが一番です。周囲の観客のリアクションとの相乗効果で、何倍も楽しく鑑賞できます。昔の全盛期には観客の笑い声が怒涛のように巻き起こって、セリフが聞き取れない事もありましたよ(笑)。


◆きささん
きささんが選んだベストテン、昨年同様、ユニークなテンで楽しく眺めました。

日本映画、1昨年も「コンフィデンスマンJP」が1位じゃなかったでしょうか。お好きなのですね。私は2作とも見逃してますが、テレビで放映されたら一度見てみましょうかね。ありがとうございました。

投稿: Kei(管理人 ) | 2021年1月 7日 (木) 22:04

一応、順不同です。まあ上位ほど面白かったとは思います。ついでに新作が上映されなかったので、名画座、DVDなどで見た旧作。

「切腹」
「黒い十人の女」
「座頭市物語」
「地平線がぎらぎらっ」
「探偵事務所23 くたばれ悪党ども」

「サリヴァンの旅」
「モンキー・ビジネス」
「赤ちゃん教育」
「死刑執行人もまた死す」

神保町シアターで11月にやった成田三樹夫特集はとても楽しかったです。

投稿: きさ | 2021年1月 9日 (土) 10:02

キネマ旬報東京友の会ベストテン(対象期間2019年12月〜2020年11月公開作品)です。

カッコ内は得票数

日本映画
1.朝が来る(49.5)
2.アルプススタンドのはしの方(47)
3.初恋(41)
4.スパイの妻(38.5)
5.劇場(24)
6.アンダードッグ(23)
7.37セカンズ(22)
8.浅田家!(21)
9.海辺の映画館 キネマの玉手箱(18)
10.ラストレター(16.5)

外国映画
1.パラサイト 半地下の家族(69)
2.異端の鳥(54)
3.フォードvsフェラーリ(28.5)
4.はちどり(27)
5.在りし日の歌(24)
6.1917 命をかけた伝令(22.5)
7.ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語(21)
8.家族を想うとき(14)
8.レ・ミゼラブル(14)
10.レイニーデイ・イン・ニューヨーク(12.5)

投稿: タニプロ | 2021年1月13日 (水) 20:20

◆きささん
旧作の鑑賞は、時代を超えて、今観ても面白い作品もあれば、その時代にリアルタイムで観ていないと面白さが感じられないものもありますね。逆に公開時あまり評価されず無視されたものが、後に再評価されカルト作となる事もあります。「黒い十人の女」や鈴木清順作品などはまさしく後者と言えるでしょうね。


◆タニプロさん
日本映画は、三池崇史監督の「初恋」が意外と評価が高いですね。私も好きな作品ですがベストテンに入れるには躊躇しました。「劇場」は見逃してます。あとは私のベスト30までの作品がほとんど入ってるのも納得です。いろんなベストテンを眺めるのも楽しいですね。

投稿: Kei(管理人 ) | 2021年1月14日 (木) 21:41

大変遅くなりましたが本年もよろしくお願いいたします。

昨年は4月の緊急事態宣言で常連館の「鶴岡まちなかキネマ」が休館、
そのまま再開なく開館10周年の5/22に閉館…
そんな大ショックな事があり、劇場鑑賞は激減しました…

後に「まちキネの存続と再生を願う会」のメンバーとしてポスターデザインや署名活動も行いました…
すると11/17に嬉しい報道があり、新しい形となってまちキネが存続する事になりました!
(詳細は以下になります↓)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202011/20201118_52022.html

車で20分程で「イオンシネマ三川」もありますが、よりコアな作品を上映し、かつ自宅から自転車数分の「鶴岡まちなかキネマ」にまだまだ愛着あるんですよね~
また何かございましたら書込みます!
よろしくお願いいたします。

投稿: ぱたた | 2021年1月20日 (水) 14:56

◆ぱたたさん
今年もよろしくお願いいたします。
「まちなかキネマ」存続する事になったそうで、良かったですね。シネコンは話題作、娯楽作がどうしても主体になるので、こうした小規模だけど優れた作品を上映する映画館があるという事はとても大事なことだと思います。順調に軌道に乗ればいいですね。頑張ってください。

投稿: Kei(管理人 ) | 2021年1月24日 (日) 12:10

6位、なんか、特攻隊を賛美するような無理やり感動作仕立てが合わなかった。東電と国の失態も置き去りですし。~

 映画「FUKUSIMA50」です。僕は観る気にも成らなかったです。観ていなくてもこの映画の存在は政府の原子力政策を免罪してると思います。日本アカデミー賞で若松節朗監督が監督賞と聞き、あり得ない、そんなレベルの監督ではない。「ホワイトアウト」を観たけどアクションも政治的意図も中途半端。注文職人監督で自分の意志で映画を撮ってはいない。危険な原発を再稼働したい政府や東電の後押しが有ったのかな?貧すれば鈍するでこんな映画にスタッフ・キャストは関わってほしくないと思います。

投稿: 広い世界は | 2022年5月 3日 (火) 12:27

映画「流浪の月」。ネタバレあります。主人公サラサの少女時代(白鳥玉季)成人したサラサ(広瀬すず)。少女時代は快活、成人してから暗くて大人しい。1人の人間だが性格が違う。キャステイングや演出に気を配ったでしょう。この性格の違いの理由こそが映画の描く中心部分です。サラサの愛した男・文(松坂桃季)、成人したサラサを愛した男・リョウ(横浜流星)、文を愛する女(多部未華子)。リョウはサラサが今も文を愛していることを知り自暴自棄に成り憔悴してゆく。サラサの気を引こうと自傷行為に及ぶ。横浜流星が落ちぶれていく男を上手く演じている。彼はイケメンだがそれだけでブレイクした俳優ではない。演技が上手い。多部は出番は少ないが安定した演技だ。撮影は「パラサイト・・・」のカメラマンだそうです。わざと話し相手の顔にピントをあわせていなかった。ぼかしたということです。

投稿: 広い世界は | 2022年5月14日 (土) 16:14

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