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2022年1月 2日 (日)

2021年度・ベスト20 ワースト10発表

 あけまして おめでとうございます。

 本年もよろしくお願いいたします。 

 

さて、私の昨年度ベスト20を発表いたします。例年通り、HPに掲載しているのと同じ要領で、邦・洋混成のベスト20です。

 

1位 ドライブ・マイ・カー
Drivemycar  村上春樹の短編をベースにして、それで3時間近くもある長編映画を作ってしまうのも凄いですが、喪失感を抱える登場人物たちの心の変遷をじっくりと濃密に描いた脚本・演出の見事さには脱帽。ワザとセリフを棒読みさせて読み合わせをさせる“濱口メソッド”がそのまま映画内に取り入れられている点も含め、これは濱口映画の集大成とも言える傑作です。

2位 ノマドランド
Nomadland   「ノマド」という、職も家も失いアメリカを流離う人々を描く事で、格差、分断が広がる現代アメリカの抱える問題を鋭く抉った力作ですが、同時に“老後をどう生きるか”というテーマにも斬り込んだ点が素晴らしい。撮影監督ジョシュア・ジェームズ・リチャーズによる夕暮れの映像も特筆すべき美しさ。

3位 ファーザー
 認知症の老人を扱った映画は数多くありますが、“認知症老人の目から見た主観映像”がほぼ全編を占めるというアイデアが秀逸。認知症になる事が本人にとってどれだけ悲しく絶望的であるかがまざまざと感じられます。アンソニー・ホプキンスが神がかり的熱演。高齢化が進む現代だからこそ作られるべくして作られた傑作です。

4位 リスペクト
 アレサ・フランクリンの若き日の知られざる苦悩を赤裸々に描き、黒人差別・女性差別への強い抗議も込められた、伝記映画にして社会派的テーマも持った力作です。ジェニファー・ハドソンのアレサになり切った名演、そして見事な歌声にも心揺さぶられました。

5位 ヤクザと家族 The Family
 「新聞記者」の河村光庸プロデューサー、藤井道人監督のコンビが又も世に放つ問題作。ヤクザ映画のフォーマットを維持しつつ、暴対法のおかげでヤクザが社会から徹底的に排除されるようになった現代、ヤクザは足を洗ってさえもまっとうに生きる事が許されない
という現実を通して、社会の底辺で喘ぐ人たちが生き辛い現代社会に対する痛烈な批判が込められた秀作。特に“ヤクザ社会は疑似家族である”点を鋭く指摘し、人と人との繋がりの大事さをもテーマに据えた藤井道人脚本、演出が秀逸です。

6位 空白
 これも河村光庸プロデューサー率いるスターサンズ作品。万引き、モンスター・クレイマー、交通事故による加害者と被害者それぞれの苦しみ、と誰にでも起こりうる事件、人物を巧みに配置し構成されたストーリー、はたまた人間の複雑な二面性までも盛り込んだ、これは見事な人間考察ドラマの傑作です。吉田恵輔監督はもう1本「BLUE/ブルー」というボクシング映画の秀作もあり、大活躍の年でした。それにしてもベスト上位に2本も傑作を送り込んだ河村プロデューサーの企画力と慧眼にはただただ敬服。

7位 すばらしき世界
 西川美和監督はこれまでもいくつもの秀作を発表して来ましたが、これもまた素晴らしい秀作。5位の「ヤクザと家族」とも共通する、足を洗った元ヤクザの男がまともに暮らしにくい現実を通して、人はどう生きるべきか、正義とは何なのかなど、さまざまなテーマが盛り込まれた、優れた人間観察ドラマの力作に仕上がっています。役所広司は相変わらずうまい。

8位 偶然と想像
 濱口竜介監督の本年度2本目の作品ですが、これがまた素晴らしい秀作。40分の短編3本を並べた短編集ですが、どれも“偶然”から生まれる人間同士の触れ合い、葛藤をテーマに、時には笑え、時には心が温かくなる素敵な人間ドラマを見事に描いています。1位の「ドライブ・マイ・カー」がなければもっと上位に来てもいい秀作です。本当に濱口監督、凄い。

9位 サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~
 ネット配信作品ですが、後に劇場でも公開されました。突然聴覚を失ったドラマーの苦悩を描いているのですが、秀逸なのはまるで我々観客自身が主人公の耳の状態を体験しているかのような音響効果です。人工的に耳が聞こえるようになって、それが幸せか?というテーマにも考えさせられました。

10位 孤狼の血 LEVEL2
 前作の3年後を描く続編。白石和彌の演出は相変わらず見事。鈴木亮平演じる上林という、強烈な悪の存在感も素晴らしい。原作にはないオリジナルの話なのに、原作と比べても違和感がない池上純哉の脚本もよく出来ています。

11位 街の上で
 舞台となる下北沢という街のユルい雰囲気が物語にうまく生かされ、街自体が主役とも言える、風変りだけれど心に響く素敵なお話です。今泉力哉監督の、今までの最高作ですね。

12位 茜色に焼かれる
 新型コロナ禍の現在を物語に取り込んだ、初めての映画でしょうね。ただでさえ貧困に喘いでいる低所得層が、コロナでさらに苦境に追いやられる、政治の貧困、差別、格差社会の現状を鋭く批判しながらも、それでも逞しく生きて行く人間の強さを丁寧に描いた、今の時代状況が見事に反映された傑作です。

13位 ラストナイト・イン・ソーホー
 エドガー・ライト監督らしい、'60年代のポップ・ミュージックを全編に散りばめ、主人公が何度も夢見る'60年代のロンドンと現在とを交互に描きながら、やがてジワジワと恐怖が増幅して行く怪奇ホラー要素と、謎を孕んだサスペンス・ミステリー要素が見事に融合した快作です。緻密に再現された'60年代のロンドンの風景も見ものです。

14位 由宇子の天秤
 新進、春本雄二郎監督の気合のこもった力作です。真実を追い求めるジャーナリストが、自分の身に降りかかった不都合な真実は隠蔽に走ってしまう矛盾を通して、人間の弱さ、マスコミの身勝手さを鋭く批判した問題作です。これが2作目とは思えない、春本監督のシャープな演出、主演の瀧内公美の熱演、共に素晴らしい。

15位 DUNE/デューン 砂の惑星
 さすが「メッセージ」ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、デヴィッド・リンチ監督が失敗した壮大な物語の映画化を見事成功させました。長大な原作を、じっくりと時間をかけて、重厚さと荘厳ささえ感じさせられる演出で完璧に描き切っています。続編が愉しみです。

16位 あのこは貴族
 こちらも長編2作目となる新進、岨手由貴子監督による、富める者と貧しい者の間に横たわる抜きがたい階級格差の壁を乗り越え、両者が共に手を携え生きて行く望ましい未来を目指すまでを描いた、優れた社会派映画の力作です。春本監督といい、優れた実力を持つ新人監督が次々出て来る日本映画界には大いに期待したいですね。

17位 ミークス・カットオフ
 ケリー・ライカート監督特集でやっと公開されましたが、こんな力作が未公開だったとは。西部劇の形を借りて、漂流し迷走するアメリカの現状を鋭く抉った力作です。この監督の作品をもっと見たいですね。

18位 消えない罪
 これもネットフリックス配信作品で、劇場で先行公開されました。7位の「すばらしき世界」とも通じる、刑務所を出所した人間が、罪を償っても生き辛い現実を描きつつ、ラストに急転のどんでん返しを盛り込み、かつ現代が抱えるさまざまな問題をも浮き彫りにする社会派エンタティンメントの秀作です。

19位 いとみち
 あの「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督が、こんな解りやすく楽しいエンタメ作品を作るとは意外でした。津軽ナマリにコンプレックスを抱く少女が、津軽三味線の演奏を通して人間的に成長して行く感動の物語です。横浜監督、次回も是非本作のような楽しい作品を。

20位 子供はわかってあげない
 お気に入りの沖田修一監督の、主人公の幼い頃に家を出たまま行方不明の父親を探す冒険の旅を通して、上の作品と同様、少女が成長して行く物語です。沖田監督らしい、アニメも活用したトボけた演出も楽しい。


…さて、以上がベスト20ですが、例によってまだまだ入れたい作品がありますので、もう10本、ベスト30まで紹介しておきます(タイトルのみ)。

21位 MINAMATA ミナマタ
22位 浜の朝日の嘘つきどもと
23位 BLUE ブルー
24位 ONODA 一万夜を越えて
25位 JUNK HEAD
26位 春江水暖
27位 GUNDA/グンダ
28位 映画大好きポンポさん 
29位 ミナリ
30位 アイダよ、何処へ?

・・・・・・・・・・・・・・

うーん、それでも収まり切れない。31位以下も順不同で挙げておきます。

ウェンディ&ルーシー
聖なる犯罪者
パーフェクト・ケア
すべてが変わった日
アイの歌声を聴かせて
アメリカン・ユートピア
1秒先の彼女
Away
ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実
羊飼いと風船

 

本年度も前年に続いて、新型コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言によって、シネコンを中心とした多くの映画館が1ヶ月以上も休館する状態が起き、またもやコロナに振り回された1年でしたが、それでも昨年度同様、素晴らしい映画に出会え、映画ファンにとってはまずまずの年だったのではないでしょうか。日本映画も前年に続き、ベスト20の内12本を占めるという健闘ぶりでした。ただ、21位以下になると外国映画が底力を発揮して、40位までだと逆転して洋画の本数が多くなりました。ネット配信作品も相変わらず良質の秀作を連発、9位と18位が配信作品で、いずれも劇場公開もされました。日本映画にもその傾向が現れつつあるようで、現に8位の「偶然と想像」はネット配信と劇場公開が同時で、その為劇場公開はごく限定的となりました。その方が収益的にいいらしいのですが、劇場で見たいのに見れない人が増えるわけで、映画産業としてこれでいいのか、考えさせられました。皆さんはどう思われますか?

・・・・・・・・・・・・・・

さてお次は、恒例となった、楽しいおバカB級映画を集めた、「愛すべきB級映画大賞」 。本年度は3本だけとなりました。

1位 ジャッリカットゥ 牛の怒り
 
 インドでもこんなおバカ映画が作られるようになったのね。
2位 ガンズ・アキンボ
  ダニエル・ラドクリフ、最近おバカな映画にばかり出ている。
3位 ドント・ルック・アップ  
  ラストシーンのオチでおバカ映画決定。

1位は、本編よりも予告編の方が面白い(笑)。出て来るキャッチ・コピーがケッサクで、「暴走機関車と化した牛をとめられるのか?」とか「牛追いワイルドスピード映画」、極めつけが「徒歩版『マッドマックス 怒りのデスロード』」。吹き出しましたよ。本編でも、ラストの人間ピラミッドに唖然。これがアカデミー賞国際映画賞部門のインド代表だなんて(笑)。2位、ダニエル・ラドクリフ出演映画は、前に見た「スイス・アーミー・マン」も相当なバカ映画でした。手に銃くっつけられたままで、トイレするのに悪戦苦闘するシーンは爆笑ものです。3位、ネットフリックス配信映画で劇場でも公開されました。「アルマゲドン」のようなディザスター・ムービーかと思ったら、キューブリック監督の「博士の異常な愛情」を思わせるブラック・ユーモア・コメディでした。メリル・ストリープ演じる大統領がとんでもないアホで、彗星の地球激突が避けられないと知るとさっさと自分たちだけ逃げ出す無責任ぶり。そしてあのラストには爆笑。ストリープ、よくこんなのに出ましたね。エラい。
実は、私の好きな園子温監督の2本の新作を、時間が取れず共に見逃してるのです。見てたら間違いなくここに入ったでしょうね。

・・・・・・・・・・・・・

最後に、こちらは腹が立つ駄作群「ワーストテン」の発表です。

1位 アンチ・ライフ
2位 バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~
3位 さんかく窓の外側は夜
4位 鳩の撃退法
5位 リーサル・ストーム
6位 いのちの停車場
7位 妖怪大戦争 ガーディアンズ
8位 マトリックス レザレクションズ
9位 ゴジラvsコング
10位 ワン・モア・ライフ!
次点 ピーターラビット2 バーナバスの誘惑

(寸評)1位、ブルース・ウイリス主演なのに、チープなSFX、ショボいセット、ハリボテみたいなエイリアン、支離滅裂なストーリー、ロジャー・コーマンだってもちっとマシな映画作りますよ。2位、テレビドラマの劇場版だそうだが、どこが面白いのかさっぱり分からん。ラストのオチも子供だまし。3位、ミステリーとしてもホラーとしても中途半端。ラストは腰砕け。監督が「おじいちゃん、死んじゃったって」が良く出来ていて注目していた森ガキ侑大だけに余計ガッカリ。4位、話が混み入り過ぎて要領を得ない。脚本がダメ。タイトルも意味不明。5位、メル・ギブソンが出演してるからといってこの邦題には呆れます。そもそも主演でもない。先が読める雑な脚本に、ハリケーンや怪物の映画き方もチャチでショボい。6位、東映の小百合映画にまともなものなしのジンクスが本作でも。お話も最後まで取り留めがありません。そもそも在宅医療がテーマのはずなのに、あのラストは何ですか。テーマと関係ないでしょう。7位、前作はまあまあだったのに。「大戦争」という割に妖怪たちほとんど活躍しない。話も取っ散らかってる。それと大魔神はやっぱり目は人間が演じないと怖さが出ない(オリジナルの橋本力さんの目が懐かしい)。8位、とにかく話が判りにくい。そもそもネオとトリニティ、3作目で死んだんじゃなかったの?。2、3作目も酷かったし。やはり傑作の続編にまともなものなし。「映画秘宝」でもワーストになる気がする。9位、これも「映画秘宝」でワーストは確定でしょう。詳しくは作品評参照。10位、92分というタイムリミットがあるなら、もっとテンポよくスリリングに物語を進めるべきでしょうに。話がモタモタし過ぎ。ツッ込みどころ満載のつまらないコメディ。次点、CGは素晴らしいが、お話がいまいち。子供向けなんだから、やたら蹴飛ばしたりの暴力描写はやめて欲しい。

いつもは日本映画が大半を占めるのに、本年度はなんと洋画が半分を占めました。しかも1位が洋画。まあこれは邦画に酷いワースト作品が少なかった事も影響してるのでしょう。

という事で、今年もよろしくお願いいたします。 m(_ _)m 

 

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コメント

あけましておめでとうございます。
私のベストテンを書きます。

以下、Instagram及びFacebookからの転載です。

投稿: タニプロ | 2022年1月 2日 (日) 20:16

洋画を。

1.「ミークス・カットオフ」(ケリー・ライカート)
躍動するショット、凝縮された物語。傑作というか名作。

2.「アメリカン・ユートピア」(スパイク・リー)
映画館でジッと座って観ているのがつらいほど楽しい。

3.「リスペクト」(リーズル・トミー)
題材に相応しい人さえいればずっと正統派伝記映画が作れる。

4.「1秒先の彼女」(チェン・ユーシュン)
パスするつもりだったが、在籍するキネ旬東京友の会の先輩の推薦で観たら大当たり。リアルの付き合いは信用できる。

5.「17歳の瞳に映る世界」(エリザ・ヒットマン)
無駄なショットを探すのが困難なくらい洗練されている。

6.「プロミシング・ヤング・ウーマン」(エメラルド・フェネル)
上品なポール・ヴァーホーベンみたいな。とにかくメチャクチャおもしろい。

7.「スウィート・シング」(アレクサンダー・ロックウェル)
観ると、ほんの少し優しくなれそうな映画。

8.「デニス・ホー ビカミング・ザ・ソング」(スー・ウィリアムズ)
これを映画として残してくれたことが嬉しい。

9.「ショック・ドゥ・フューチャー」(マーク・コリン)
私がこの映画を選ばないで誰が選ぶ。

10.「ラストナイト・イン・ソーホー」(エドガー・ライト)
最後のひと枠は他にもいくつも挙げたい映画があるが、何となく語り合い甲斐があるこの作品にしておく。賛否両論、観た同志で語り合えば盛り上がる。

投稿: タニプロ | 2022年1月 2日 (日) 20:19

邦画を。

1.「水俣曼荼羅」(原一男)
ダントツ。圧倒的な達成。大いなる偉業。東京で公開中で全国各地でもこれから公開されると思うので、一人でも多くの方に強烈な映画館体験をしてほしい。

2.「すばらしき世界」(西川美和)
思い入れがあり過ぎる映画なので一位にする気満々だったのに。どう思い入れがあるかは、キネマ旬報4月下旬号読者の映画評に載ってます。

3.「茜色に焼かれる」(石井裕也)
急いで作ったのが功を奏したリアル・コロナ禍映画。

4.「花束みたいな恋をした」(土井裕泰)
祝大ヒット!ハマり過ぎて映画館で2回観ました。

5.「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介)
今年は傑作が多過ぎて、日本映画規格外的な傑作がこんな下に。

6.「孤狼の血 LEVEL2」(白石和彌)
いや、おもしろいよ。人間ドラマとしてもかなりレベルが高い。

7.「BLUE/ブルー」(吉田恵輔)
ラストの松山ケンイチに、文字通り打ちのめされた。

8.「偶然と想像」(濱口竜介)
コロナ禍が続いて生の会話が減ってるので、濱口竜介の会話劇が沁みる。

9.「東京自転車節」(青柳拓)
コロナ禍で沈みゆく日本を見せつけられた。しかし、青柳拓の個性もあって映画としておもしろい。

10.「あのこは貴族」(岨手由貴子)
これは、保守的な価値観にカウンターパンチを食らわす大胆なリベラル映画だと思う。古き良き日本映画の匂いもそこかしこにする。

投稿: タニプロ | 2022年1月 2日 (日) 20:20

考えてなかったんですが、洋楽と邦画混ぜるとこんな感じでしょうか。

1.水俣曼荼羅
2.ミークス・カットオフ
3.すばらしき世界
4.茜色に焼かれる
5.アメリカン・ユートピア
6.花束みたいな恋をした
7.ドライブ・マイ・カー
8.リスペクト
9.1秒先の彼女
10.17歳の瞳に映る世界


とりあえず、「水俣曼荼羅」と「ミークス・カットオフ」がダントツで、「水俣曼荼羅」に至っては20年の中の1本くらいのレベルです。この二作の良さがわからない人と映画の話はできない。それぐらい突出しています。日本映画が豊作だったので、反動で2022年はヒドイかも。

今年も宜しくお願いします。

投稿: タニプロ | 2022年1月 2日 (日) 20:39

「水俣曼荼羅」は、この20年くらいの日本映画で、「実録・連合赤軍」も「ヘヴンズ・ストーリー」も「この世界の片隅に」も、全部越えてしまったかもしれません。それぐらい凄い。

kinenoteでは、前代未聞驚異の90点超え!ただ、まだ上映館が少なく基準人数に達してなく表示されてません。基準人数に達したら、歴代一位で表示される可能性が高いです。

投稿: タニプロ | 2022年1月 2日 (日) 20:50

キネ旬東京友の会の私の先輩がこんな感じのことを言ってました。

「水俣曼荼羅はベストテン締切後に観たが、もし締切前に観ていたら、飛び抜けて一位にするしかない。しかし、ドライブ・マイ・カーと水俣曼荼羅を競わせるのはどうなんだろう」と。

長々と失礼しました。

投稿: タニプロ | 2022年1月 2日 (日) 20:57

◆タニプロさん
あけましておめでとうございます。
わー、速攻で沢山のコメント、ありがとうございます。
ベストテン、日本映画は私のベスト20と6本がカぶってますね。「水俣曼荼羅」もうじき当地で公開予定です。早く見たいのでアセらせないでくださいな(笑)。
体力的に厳しい年齢になったので、6時間体が持つか心配ですが。
本年も、いい映画に出会えますように。今年もよろしくお願いいたします。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年1月 2日 (日) 21:26

「水俣曼荼羅」、82歳の山根貞男さんが観てるから大丈夫です(笑)。

投稿: タニプロ | 2022年1月 2日 (日) 21:32

 明けまして、おめでとうございます。今年も鑑賞の参考にさせて頂きます。
 管理人さんほど映画を見てませんが、ベスト10はほぼ一致。個人的には、年末最後に見たせいか「ドント・ルック・アップ」が、ベスト10に入るかも。

投稿: 自称歴史家 | 2022年1月 4日 (火) 07:31

◆自称歴史家さん
「ドント・ルック・アップ」私も好きな作品です。本来ならベスト30以内に入れたいくらいですが、別項のおバカ映画賞に入れてしまったので外れました(笑)。
またいろいろコメントお寄せください。
今年もよろしくお願いいたします。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年1月 8日 (土) 13:01

お!「水俣曼荼羅」を満点評価してますね!ぜひ、評を書いてください。

原一男監督はいつの間にかTwitterをやっていて、毎日一回ツイートをしています。

ほぼ毎日、どこかの映画館にトークしに行ってます。

「ヒットしたいんです。水俣病は終わってないことを知っていただきたいんです」みたいに言ってました。

一人でも多くの人に観られてほしいです!応援しましょう!

投稿: タニプロ | 2022年1月24日 (月) 09:25

◆タニプロさん
ようやく書き上げましたので読んでください。
映画を観たのは1週間以上前だったのですが、作品の圧倒的パワーに圧され、書きたい事が多くあってなかなか筆が進みませんでした。
これを、昨年中に観られなかったのが残念です。当地でもっと早く公開して欲しかったですね。まあ本年度のマイ・ベストワン候補ではあります。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年1月24日 (月) 21:46

それにしても、今年の映画芸術のワーストテンには例年になく腹が立ちました!
だいたい、批判するのは良いけど、批判を集計して順位を付けるっていう悪趣味さが理解できません!
発行人の荒井晴彦の性格の悪さが滲み出てる感じがします!
荒井晴彦はエゴサーチを覚えたとか本に書いてあったんで、荒井の性格の悪さをバカにするために立ち読みはしてきましたが、もう立ち読みすらしたくありません!
友人に長年映画芸術の投票に参加してる人がいるので、説教してやりたいぐらいです!
もう2度と目にしたくありません!

投稿: タニプロ | 2022年2月 1日 (火) 13:47

映画秘宝がまた休刊しますね。

まあ、元編集長がシャレにならない不祥事起こした挙句、さらにその後もグダグダが続いちゃったのが原因だと思いますけど。あくまで予想ですけど。

キネ旬よりもっと早く城定秀夫監督に目をつけてたりとか、先見の明のある雑誌でしたけど。

それにしても映画芸術はしぶといですね。毎年文句言われてるのにまだ続いてますからね。

投稿: タニプロ | 2022年2月21日 (月) 20:38

◆タニプロさん
「映画秘宝」また休刊ですか。教えていただくまで知りませんでした。よく見たら最新号の巻末に休刊のお知らせが載ってましたね。
この雑誌、おっしゃる通り先見の明は確かにあって、カルト的な日本未公開映画をいち早く紹介して、そのおかげで日本公開が実現した事もあったり(「ホット・ファズ」「少林サッカー」等)、私が敬愛する鈴木則文さんの大特集を何度もやってくれたり、マイナーな作品や作家に寄せる情熱が感じられて大好きな雑誌でした。
休刊の理由が、何ともくだらない所がまたこの雑誌らしいですね(笑)。根強いファンが多いので、多少スリムにしてでも復刊してくれることを期待したいですね。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年2月25日 (金) 15:06

映画「素晴らしき世界」についてです。西川監督は、ヤクザに肩入れするのをやめてほしいです。もっと冷静に描いてほしいです。ヤクザは被害者では無いです。加害者です。刑期を終えた三上は殺人を反省してはいません。介護施設に就職した三上は花の好きな職員の悪口を周りの職員が言っていると感じて、頭にきますが堪えます。このシーンの描き方を、実際の介護の現場の方が見たら随分一方的な描き方だなと思うでしょう。僕は西川作品は「ゆれる」と本作が2本目なので才能のある監督なのかは分かりません。仮に才能があるとしても、介護現場のリサーチをしないで撮ったとすれば、現実から離れた作品になってしまうと思います。「ヤクザと家族」はとても良い作品だと思います。

投稿: 広い世界は | 2022年5月 2日 (月) 22:35

読ませて頂きました。観た映画もあり親近感を感じました。劇場で観た本数は遠く及ばないですが。ワーストのひと言ふた言コメントが「それあるかも」と納得しました。HPの渡哲也特集「無頼シリーズ」は懐かしい。1時間30分の中に凝縮されている。
最近の映画は長い、冗長。30分は切れる。鈴木清順「悪太郎」白黒で美しかった。清順はベルイマン「魔術師」を真似したのかな。撮影の峰重義の腕前だと思う。後の「刺青一代」の色彩美に結実していくのだと思います。日活アクション映画はとにかく凄かったです。渡・長谷部安春「野獣を消せ」原田義雄・藤田敏八「新宿アウトローぶっ飛ばせ」藤竜也・藤田敏八「野良猫ロックシリーズ」渡・澤田幸弘「斬込み」日活後期の藤田敏八「八月の濡れた砂」等。未来へつなげると言うより、そこで砕け散ってもいい、と言う映画だった。そんな映画は無くなってしまいました。今は閉塞した時代ですが。映画は娯楽ですが、観客に与える影響は大きいです。映画は理屈で作られています。しかし観客はその理屈を観るわけでは無いです。映画全体を味わいます。映画を理屈で語っても面白くないです。何を味わったか、食事なら、何が美味しかったか、を語れたら凄いと思います。

投稿: 広い世界は | 2022年5月 3日 (火) 07:26

◆広い世界は さん、はじめまして。ようこそいらっしゃいました。
当ブログ、お読みいただき、ありがとうございました。それだけでなく、わざわざHPの方までお越しいただいたのですね。感謝です。
「すばらしき世界」については後述するとして、当ブログ並びにHPへの感想について。
「無頼」シリーズ、お好きなのですね。私も大好きです。昔いろんな所で開催された、「無頼シリーズ5本立てオールナイト」も何度か観ています。昔は体力ありました(笑)。その他挙げられている鈴木清順作品、長谷部安春、藤田敏八、澤田幸弘監督らの「日活ニューアクション」、当時夢中になって追いかけました。懐かしい思い出です。これらは、当時の時代の空気感(世界中で学生の反体制活動が盛り上がっていました)も微妙に反映していた気もします。
>最近の映画は長い… 全く同感です。まあ当時は2本立て公開という事もあって、ほとんどの娯楽映画は会社の要請で90分前後でした。その為どの監督も90分に収める為にテンポをアップして、無駄なシーンや冗長になりそうなシーンはバッサバッサ切ったので凄くタイトに引き締まった作品になっていました。本当に今の映画、もう20~30分は切れる、と思う事しばしばです。
貴重なご意見、ありがとうございました。これからもよろしく。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年5月 3日 (火) 13:03

◆広い世界は さん
「すばらしき世界」についてのご意見、ありがとうございます。出来れば同作品の記事の方に書いていただければなお有難かったですが。
さて私の感想ですが、この作品、決してヤクザに肩入れしている訳ではないと思います。主人公三上は殺人その他の犯罪で人生の大半を刑務所で暮らして来たどうしようもない男ですが、刑期を終えて、今度こそ真人間になろうと決意します。それでも世間の風は冷たく、普通の生活を送るのは元犯罪者にとってとても厳しい現実があります。西川監督は、三上という男を通じて、一旦烙印を押された人間が社会に順応する事の困難さ、不寛容さが充満する社会を厳しく見つめているのだと思います。
私は西川監督作をほとんど観て来ましたが、どの作品にも犯罪を犯してしまった人間や(「蛇イチゴ」「ゆれる」「夢売るふたり」)、偽医者(「ディア・ドクター」)、性格の悪いダメ人間(「永い言い訳」)と、一般社会からはみ出してしまった(せざるを得なかった)人間ばかりを主人公に据え、人間という存在の愚かしさを冷徹に、時に意地悪く、しかし時に優しい眼で凝視して来たように思います。そう考えれば、本作もまぎれもなくその延長戦上にあります。無論、いろいろ難点もありますが、全体を通して貫かれた鋭い人間観察の視点には揺るぎないものがあり、そこを私は高く評価する所以です。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年5月 3日 (火) 13:53

KEI様 早速の返信有難うございます。映画は観た時の印象が全てですとは言い切れませんが、余程のことがない限りは修正が聞きません。映画「すばらしき・・」ですが介護の現場を若干知っているので、そこに引掛ったのでしょう。三上を肯定でも否定でもなくそのまま捉えて描いたと理解できれば映画の理解が違ってくるかもしれません。別れた恋人の良さをもう一度探すのはしんどいです。映画「ヤクザと家族」はヤクザにしか成れなかった人達が因果応報で自滅していく。可愛そうでもありますが、そうだよなと納得しました。

投稿: 広い世界は | 2022年5月 3日 (火) 17:21

最近観たドラマです。フジテレビが2000年に制作した「お見合い結婚」です。ご覧になっておられるかもしれませんね。全11話です。お見合いをして3話目くらいで結婚しょうということになります。でもここから困難が待ち受けています。吉田紀子脚本の伏線や見せ方がうまいです。お見合いに対する偏見や、お見合いで一生が決めれれてたまるか、そんな台詞がバンバン出てきます。では結婚を決意するには何が必要なのか。それは出会いがお見合いでも、その他でも当てはまるのかなと思わせました。ドラマは娯楽で楽しませながら、凄い事を考えさせてくれる。ジャアンルは違うがこの点に限れば映画は負けているかもしれない。主演は松たか子・ユースケ・サンタマリアその時の旬の俳優さんが周りを固めています。松さんの活躍は長い。最近は関テレ・フジ「大豆田とわ子と3人の元夫」のコメディエンヌぶりは素晴らしかった。

投稿: 広い世界は・テレビドラマ | 2022年5月 5日 (木) 12:20

◆広い世界は・テレビドラマ さん、こんにちは。
実は私、テレビカテにも何度か書いてますが、テレビドラマはほとんど見ないのです。見る気も起きません。この20年間で、せいぜい5、6本くらいでしょうか。それも「相棒」を除いては原作者や、取り上げる人物が私の大好きな方ばかり。そんなわけで「お見合い結婚」も知りませんのでコメントは控えさせていただきます。悪しからず。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年5月 5日 (木) 16:22

こんにちは。僕はTVドラマは面白くないと思ってきました。暗闇の中で一人で観る映画に敵うわけ無いとも思ってました。僕はドラマの良さに、遅ればせながら気付かされました。TVドラマ「相棒」だと1話もしくは2話完結です。僕は「相棒」の過去の放送で、加藤清史郎くんが出た「バースデイ」と言う作品が好きです。僕は最近配信でドラマを観るようになりました。ドラマ作品をセレクトできると良いのですが、映画と違い作品の出来不出来の想像がつかないです。今は家族の推しのドラマを観たりしています。

投稿: 広い世界は | 2022年5月 6日 (金) 17:12

こんにちは。ドキュメント映画「テレビで会えない芸人」を観てきました。松元を支えてきた人達が描かれていました。家族、高校時代の陸上部の先生、嘗ての芸人仲間、それらの人達とのふれあいは感動的です。松元の日々の公演活動や稽古なども描かれているので松元を知るには充分な映画だと思います。欲を言えば、松元の芸をもっと深掘りしてほしかったです。稽古で苦しんだことが、本番の舞台でどのように変わるのかを観せてほしかったです。続編があるならば、その辺を観てみたいです。映画「街の上で」と「ドライブ・マイ・カー」はそこを見せてくれたと思います。

投稿: 広い世界は | 2022年5月 7日 (土) 14:20

こんにちは。映画「死刑にいたる病」を見ました。ネタバレあります。最初から映画は残虐シーンが続きます。P12指定です。殺人鬼(阿部サダヲ)は人当たりの良いパン屋の善人だ。彼の犯した罪の詳細(実際にはその中の1人の被害者)を暴いてゆく青年(岡田健史)の2人の刑務所でのやりとりが見せ場です。自分の征服欲(劣等感の裏返し)は満たすのは難しい。人は普段は自分の気持ちを抑えて生きている。それが自信なさげ、おどおどして居るように見える。何と言っても自分の欲望に、罪悪感もあるでしょう。しかし、この壁を一度越えてしまうと、人は自信たっぷりに殺人をし続けることが出来る。自分の欲望に忠実になれる。これがその人の本当の姿です。欲望を抑えている時は仮の姿です。僕にはよく理解できます。阿部サダをと岡田健史のやり取りは映画「羊たちの沈黙」のレクター博士とクラリスFBI捜査官のやりとりを思わせました。本作の原作の方は映画「羊たちの沈黙」を見てますね。阿部サダヲは白石作品は「彼女がその名を知らない鳥たち」に続いて2作目ですね。
青年の役の岡田健史は超イケメンの俳優ですが、本作では、暗いおどおどした、切れると暴力的になる男を巧みに演じた。演技派ですね。本作の画質ですが色調が独特です。かなり明るさも落としています。残虐な場面が多いからでしょう。撮影機材も特殊なものを使用してるのではないのか。人は感情を抑えているときがその人ではないです。殺人鬼は自信に満ち溢れています。

投稿: 広い世界は | 2022年5月11日 (水) 16:14

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