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2022年10月 1日 (土)

テアトル梅田閉館


Teatoruumeda5

9月30日で、大阪・梅田のミニシアター、テアトル梅田が閉館しました。
地味だけど優れた秀作を数多く公開する、関西でも有数の名物ミニシアターでした。

梅田ロフトの地下にある、座席数はシアター1が96席、シアター2が60席とかなり小さなキャパの劇場で、まさに“ミニ”シアターでした。

私もこの劇場が大好きで、何度も通いました。調べたら多い時で年間24本もこの劇場で映画を観ていました。平均でも約20本。
年間総鑑賞本数が200本前後なので、1割以上がテアトル梅田での鑑賞作となる勘定です。

Teatoruumeda

本数だけでなく、ベストテン級の秀作となる率もかなり高く、昨年を例にとりますと、「あのこは貴族」「街の上で」「いとみち」「子供はわかってあげない」「由宇子の天秤」とマイ・ベスト20のうち5本がここでの鑑賞、30位までにも「春江水暖~しゅんこうすいだん」「浜の朝日の嘘つきどもと」「GUNDA/グンダ」があり、なんとベスト20入選率は25パーセントという高率です。

また、過去にも、2014年「0.5ミリ」(キネ旬2位)、2015年「恋人たち」(キネ旬1位)、「岸辺の旅」(同5位)、「この国の空」(同7位)、「きみはいい子」(同10位)、2016年「この世界の片隅に」(キネ旬1位)、「ディストラクション・ベイビーズ」(同4位)、「オーバー・フェンス」(同9位)、2017年「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」(キネ旬1位)、「幼な子われらに生まれ」(同4位)、「彼女の人生は間違いじゃない」(同7位)、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(同3位)、2018年「菊とギロチン」(キネ旬2位)、「寝ても覚めても」(同4位)、「教誨師」(同10位)、2019年「よこがお」(キネ旬4位)、「愛がなんだ」(同8位)、「旅の終わり、世界のはじまり」(同10位)…とまあ、ベストテン入選の秀作揃い。特に2015年~2017年は3年連続キネマ旬報ベストワンを獲得しています(これらは私がテアトル梅田で鑑賞した作品に限ってますので、実際にはもっと多いかも知れません)。
2001年公開の「アメリ」(キネ旬6位)は、7万人を動員する記録も打ち立てています。

いかにこの劇場が優れた作品を上映して来たかがお分かりいただけるでしょう。

そう言えば、コロナ禍でほとんどの劇場が閉館した2020年、上映が再開されて、最初に行った劇場もテアトル梅田でした(「もみの家」)。

そんな愛着のある映画館が閉館と聞いて、とてもがっかりしました。

Teatoruumeda2閉館の理由は、テナントの契約満了の為との事です。なんとか契約延長は出来なかったのでしょうか。残念です。

 

 

 

 

 

 


そんなわけで、ラストショーには何をおいても行きたかったのですが、9月30日は外せない用事があって、やむを得ず前日の29日に行きました。鑑賞作品は「没後40年・ロミー・シュナイダー映画祭」の1本「マックスとリリー」。日本未公開作品です。なかなかいい作品でした。

場内は予想以上に人が多く、「マックスとリリー」は知られていない作品にも拘らず、ほぼ9割の入りでした。

上映終了後、シアターを出ると、ロビーは次の上映を待つ人でかなりの混雑。前日でこれですから、30日はもっと混むかも知れませんね。
それだけ、多くの映画ファンに愛されて来たわけですね。

Teatoruumeda6ロビーには、これまでここで上映された映画のチラシが壁ぎっしりに貼られ、多くの人がじっと見入ったりスマホで撮影したりしていました。よく見れば「時をかける少女」(細田守監督)や「リンダ・リンダ・リンダ」「午後の遺言状」などのチラシがあり、そうそう、これらも観たなあと思い出してちょっと涙が出て来てしまいました。

Teatoruumeda4

Teatoruumeda7また丸テーブルには、井浦新さんによるサインがあり、「テアトル梅田、ありがとう きっとまたどこかで…」とのコメントも書かれてました。

 

NHKでも関西のニュースで放映されたようで、それによると、閉館前最後の上映が終わると、「この世界の片隅に」の片渕須直監督が登壇して挨拶があったそうです。うーん、行きたかったなあ。


というわけで、名残惜しかったけれど、テアトル梅田を後にしました。

本当にテアトル梅田さん、長い間ありがとうございました。しばらくは無理かもしれませんが、どこか梅田でテナントが見つかったら、また「テアトル梅田」を再開して欲しいですね。

井浦さんのコメントにあるように、きっとまたどこかで会える日を心待ちに…。

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コメント

キネマ旬報で特集を組まれましたが、東京も岩波ホールという映画館がその歴史を終えました。

客層はいつも高齢者が多かったイメージでしたが、素晴らしい作品を公開する映画館でとても残念です。一回、客がどこかの大学のゼミの生徒たちが大量に来てたことがありました。色々学ぶものの多い映画を公開する映画館でした。

話は変わりますが、「理大囲城」という香港デモ隊を追ったドキュメンタリー映画の劇場公開が12月に決まりました。実は私は以前特集上映で観ていて、今年のキネマ旬報4月上旬号に読者評で掲載されてます。

柳下毅一郎氏なんかは反則技みたいな感じで、昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で観た時点で朝日新聞の「今年の3点」のひとつに選んでました。

映ってることが悲惨なんで「おもしろい」映画では無いんですが、ドキュメンタリー映画として画期的な映画だと思います。

投稿: タニプロ | 2022年10月 2日 (日) 19:10

◆タニプロさん
岩波ホールの閉館も惜しいですね。名声はかねがね聞いていて、東京に行った際には是非寄ろうと思いながらも果たせませんでした。

「理大囲城」、観たいのですが、さて関西で上映されるかどうか。上映されたとしても、退職してあまり遠出をしなくなりましたのでちょっと機会がないかも。まあチェックはしておきますね。

投稿: Kei(管理人 ) | 2022年10月17日 (月) 21:09

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