キネマ旬報最新号を読んで
以前の「キネマ旬報に何が起こっているのか」の記事(2月26日付)で、キネマ旬報が4月号からページ数減を選択した事について触れたが、その4月号が発売されたので、どう変わったかについてレポートしてみたい。
まずページ数について。
前号までは177ページだったのが、4月号は161ページと、16ページの減少だった。
前回の記事で、「予想以上に削減されてペラペラになるのでは」と危惧したのだが、そんな事はなかったのでひとまず安堵した。
次に、連載記事について。
前回の報告で、ほとんどの連載が終了して、残ったのは尾形敏朗氏の「てくてくシネマテーク」だけ、と書いたが、4月号を見ると、なんとその連載もなくなっていた。
つまり、(12あった) “すべての連載が終了していた”のである。唖然となった。
代わりに、新たに2つの連載が今月号よりスタートしていた。
斎藤環氏「キネマトローグ 映画の精神分析」と、岡田秀則氏の「映画ブッキッシュ・デイズ」である。
斎藤環氏は前号まで「映画のまなざし転移」を連載していたが、今月号からの「キネマトローグ」はページ数も記事コンセプトもほぼ変わらず。
それなら連載を継続してもよかったと思うのだが、「すべての連載を終了させる」事にこだわったのかも知れない。
もう一つの「映画ブッキッシュ・デイズ」は映画に関する本についてのエッセイというか紹介で、映画作品についての記事ではない。
前号で終了した連載記事の総ページ数は、不定期連載の「映画は社会の何を映すのか」「アカデミー賞予想座談会」を除いて14ページ(継続扱いの斎藤環氏連載分も除く)だったので、16ページ減のうちの14ページまでが連載終了による減で、実質減少は2ページという事になる。これ位ならほとんどページ減の影響はなかったと言えるだろう。ひとまずは良かった。
大した額ではなかっただろうが、連載の執筆者に対する原稿料もなくなったので、ページ減よりもそっちの方が経費節減効果は大きいのではないだろうか。
ただやっぱり、いつも読み慣れていた連載が無いのは、なんとも寂しい。とくに、お気に入りだった「立川志らくのシネマ徒然草」、川本三郎氏「映画を見ればわかること」、大高宏雄氏「ファイト・シネクラブ」が読めないのは、心にポッカリ穴が空いた気分である。“連載ロス”になりそうだ。
今後も購読を続けるかどうか、実は悩んでいる。でもキネマ旬報という歴史ある、また愛着のある映画雑誌が存続して行けるよう、売り上げには協力したい気持ちもある。まあとにかく、頑張って欲しいと思う。
ところで、毎年決算特別号で、読者の投票で選んでいる「読者賞」はどうなるのだろうか。“1年間で最も面白かった連載記事”を選ぶ賞なので、連載が2つしかないのでは困ってしまう。まさか「読者賞」を廃止するのではと気になる。
是非なんとか、新しい連載をスタートして欲しい。しばらく経ってから、志らく師匠や川本さんの連載を、タイトルを変えて復活してくれたら有難いのだが。キネ旬さん、お願いしますよ。
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