「F1®/エフワン」
2025年・アメリカ 155分
製作:ジェリー・ブラッカイマー・プロ=Plan B Entertainment、他
配給:ワーナー・ブラザース映画
原題:F1: The Movie
監督:ジョセフ・コシンスキー
原案:ジョセフ・コシンスキー、アーレン・クルーガー
脚本:アーレン・クルーガー
撮影:クラウディオ・ミランダ
音楽:ハンス・ジマー
製作:ジェリー・ブラッカイマー、ジョセフ・コシンスキー、ルイス・ハミルトン、ブラッド・ピット、ジェレミー・クライナー、デデ・ガードナー、チャド・オマン
製作総指揮:ダニエル・ルピ
モータースポーツの最高峰である「F1®」に挑むレーサーたちの姿を描くエンタテインメント大作。監督は「トップガン マーヴェリック」のジョセフ・コシンスキー。脚本は「トップガン~」でアカデミー賞ノミネートを果たしたアーレン・クルーガー。主演は「ブレット・トレイン」のブラッド・ピット。ピットは製作も兼ねている。共演はドラマ「スノーフォール」の新人ダムソン・イドリス、「リトル・マーメイド」のハビエル・バルデム、「イニシェリン島の精霊」のケリー・コンドンなど。
(物語)かつて世界にその名を轟かせた伝説的カリスマF1ドライバーのソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)は、最下位に沈むF1チーム、APXの代表であり、かつてのチームメイトでもあるルーベン(ハビエル・バルデム)から誘いを受け、現役復帰を果たす。常識破りなソニーの振る舞いに、同じチームメイトである若きルーキーのジョシュア・ピース(ダムソン・イドリス)やチームメンバーは困惑し、度々衝突を繰り返すが、次第にソニーの圧倒的な才能と実力を認めるようになる。やがてソニーたちのチームは、過酷な試練を乗り越え、並み居る強敵を相手に命懸けで頂点を目指す…。
「トップガン マーヴェリック」で大成功を収めた製作:ジェリー・ブラッカイマー、監督:ジョセフ・コシンスキー、脚本:アーレン・クルーガーのチームが再び結集したF1レーシングものである。主演がトム・クルーズからブラッド・ピットに交代し、活躍場所が空から地上に変わっただけで、基本ラインは同じ。
この手の作品では、1966年のジョン・フランケンハイマー監督「グラン・プリ」が有名だ。車体にカメラをセットして実際のサーキットで撮影し、猛スピードの疾走感が味わえるF1ものという点でも共通する。私は今はなきシネラマ方式の大阪OS劇場で鑑賞したが、もの凄いスピード感に圧倒された記憶がある。
本作は、「トップガン マーヴェリック」と同じくI-MAXカメラで撮影されている。なので奮発してI-MAXシアターで鑑賞した。
期待通り、I-MAXの巨大スクリーンに展開するレース・シーンは迫力満点、音響設備も良く、体にビンビン響いて来る。
(以下ネタバレあり)
ストーリーは、かつてF1レースの舞台で連勝を重ね、将来を嘱望されていたソニーが、大クラッシュで一線を退き、今はレースからレースを渡り歩くだけの放浪生活を送っていたが、元チームメイトのルーベンに頼まれて30年ぶりにF1レースにカムバック、ルーベンが所有する弱小チームを立て直し、優勝に導くまでを描く、というもの。
要約すれば、一度挫折した男が中年になって弱小チームに参加して、チームは徐々に力を付け、最後に逆転優勝を遂げる、という、まさに娯楽映画の王道パターンである。こういうパターンの映画は絶対面白い。
身売りの危機にある弱小チームに加わって、チームを優勝に導くという展開は、トム・ベレンジャーとチャーリー・シーン共演の野球映画「メジャー・リーグ」と同じだし、弱小相撲部が猛練習を重ねて最後に優勝する周防正行監督の「シコふんじゃった。」も同じパターンだ。
特に、中高年になったレーサーがクラッシュで失意のどん底に陥るが、若いレーサーを育ててチームの優勝を目指すというピクサー・アニメ「カーズ/クロスロード」は、本作とストーリーがそっくりだ。あっちは最後腰砕けでガッカリしたけれど。
こういう王道ストーリーに、実際のサーキット・コースを使って撮影を行い、現役の一流ドライバーやエンジニア・クルーが本人役で登場し、さらにF1レースを運営するFIAが全面協力している(だからタイトルに“®”が付いている)のだから迫力があるのも当然だ。また世界チャンピオンにも輝いた現役F1ドライバーのルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参加している。
ブラッド・ピットは61歳になるが、若々しくて50歳前後でも通る。大クラッシュでリタイアしてから30年という設定だから、55~6歳くらいの設定だろう。
出演者で注目すべきは、ダムソン・イドリス扮するAPXの若手レーサー、ジョシュアである。才能はあるが、まだ経験不足でレース運びのテクニックでは若さを露呈したりする。
そして父親くらいの年齢のソニーにあれこれ注意されるのが気に喰わない。二人が参加したレースではソニーに無理に対抗しようとしてクラッシュしたりもする。
だがレースを重ねて行くうち、ジョシュアはソニーの高度なテクニックに、次第に尊敬の念を高めて行く。
未熟な若者が、ベテランの師匠に鍛えられ、成長して行く、という流れも、黒澤明監督の「姿三四郎」から「赤ひげ」に至る一連の作品を想起させる。
ソニーが、相手レーサーの車にわざとぶつけてジョシュアを前に行かせる、というテクニックはちょっと邪道じゃないかと思わせるが、それもベテランゆえの駆け引きのうちなのだろう。
大事故にならない程度のぶつけテクニックも、ベテラン・レーサーの腕の見せどころである。
そして本番レース・シーンは車に搭載した小型カメラが縦横に動いて、迫力あるシーンになっている。カメラにブラッド・ピットやダムソン・イドリスの姿が映っているが、これは本当に彼ら自身が運転しているのだそうだ。CGに頼らない、本物の迫力が感じられるのも当然だ。
ピットに入ってのタイヤ・チェンジも、数人のチームの一糸乱れぬチームワークであっという間に終わる。短いショットを巧みに繋げてるので実際よりも早く感じる。
ソニーはテクニカルディレクターのケイト(ケリー・コンドン)にアドバイスしたりもする。そのおかげでさらにチームの力はアップして行く。
無論、何もかも巧く行くだけでは面白くないので、ジョシュアがソニーの待て、という助言を無視した為にクラッシュし、大怪我を負ってしまうというエピソードも入れている。それでジョシュアの母親がソニーに、息子を殺したら承知しないと迫ったりもする。後で誤解だと分かるのだが。
また、ソニーがクラッシュするシーンもある。病院のカルテで、ソニーが実は背中に古傷を負っている事をルーベンが知るエピソードもあるなど、さまざまなトラブル、アクシデントを網羅して飽きさせない脚本が良く出来ている。
そして最後のクライマックス、ソニーと、怪我も癒えたジョシュアが参加する最終レースで、二人は息の合ったチームワークでトップを目指し疾走する。ここが最大の見せ場。息詰まるテンポいい演出で思わず手に汗握ってしまう。
レースの結果がどうなったかは観てのお楽しみ。いやあ面白かった。I-MAX映像はさすが凄い迫力だった。
そしてソニーはAPXを離れ、また流浪の旅を続ける、というラストもいい。何やらフラッと町に現れては大活躍し、また去って行くという、小林旭主演の「渡り鳥」シリーズを思わせたりもする。ヒロインとのちょっとしたラブシーンがあるのもお約束。
まさにあらゆる娯楽映画のエッセンスを取り込んだ王道エンタティンメントと言えるだろう。
ブラッド・ピット主演作としては、ちょっと珍しいヒーロー・アクションものである。カッコいい。彼が主宰するプランB・エンタティンメントは良心的な社会派の秀作を連打しているが、たまにはこうした純正エンタティンメントもいい。今後のブラピの主演作も楽しみである。
(採点=★★★★☆)
(付記)
ところで邦題だが、映画紹介サイトでは「F1(R)/エフワン」とか「映画『F1(R)エフワン』」とか「映画『F1(R)/エフワン』」とか「F1®/エフワン」とかまちまち。いくつかのブログでは「F1 エフワン」が多いし、ポスターでは「F1TM/エフワン」と、もう何がなんだか。公式サイトの原題は“F1® The Movie”だし。表記は統一して欲しい。当ブログではFilmarksさんの表記に準じた。
「TM」も「®」も「(R)」も、「トレード・マーク」の意味だから“「F1」は商標登録してますよ”という事は分かるが、題名にわざわざトレードマークの記号を入れた映画なんて前代未聞だ。そこまで神経質になる必要はないと思うがどうか。
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コメント
これは面白かったです。
「トップガン マーヴェリック」のコシンスキー監督らしく映像もきれいでレースシーンの迫力も素晴らしい。
製作も兼ねるブラッド・ピットはじめ俳優陣もみな好演していました。
F1の全面協力で本物のサーキットコースで撮影。
現役F1ドライバーのルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参加。
ブラッド・ピットの主人公は突然現れて大活躍し、最後は去って行く。
アメリカ人こういう西部劇的なキャラクター好きですね。
投稿: きさ | 2025年8月 7日 (木) 21:10