「ジュラシック・ワールド 復活の大地」
2025年・アメリカ 134分
製作:ユニヴァーサル=アンブリン・エンタティンメント
配給:東宝東和
原題:Jurassic World: Rebirth
監督:ギャレス・エドワーズ
キャラクター創造:マイケル・クライトン
脚本:デヴィッド・コープ
撮影:ジョン・マシソン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
テーマ曲:ジョン・ウィリアムズ
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、デニス・L・スチュワート、ジム・スペンサー
現代に蘇った恐竜たちが大暴れする「ジュラシック・ワールド」シリーズの新章。監督は「GODZILLA ゴジラ」、「ザ・クリエイター 創造者」のギャレス・エドワーズ。出演は「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」のスカーレット・ヨハンソン、「グリーンブック」のマハーシャラ・アリ、「ウィキッド ふたりの魔女」のジョナサン・ベイリーなど。
(物語)心臓病に奇跡的な治療効果をもたらす新薬の開発に不可欠な、陸・海・空に生息する3大恐竜のDNAを採取する極秘ミッションを任命された熟練の特殊工作員ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)は、彼女が信頼するチームリーダーのダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)、古生物学者のヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)らと共に船に乗り、初代「ジュラシック・パーク」の極秘研究施設が存在した禁断の島へと向かう。その途中、凶暴な海生生物に襲撃されて遭難した民間人家族・デルガド一家と出会い、彼らと共に行動することに。やがてゾーラたちは目的地に到着するが、そこには取り残された凶暴な恐竜たちが生息する地球上で最も危険な場所だった…。
3年前に公開されたシリーズ6作目「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」で、一応の最終章となったはずの「ジュラシック」シリーズだが、作る度に大ヒットとなるおいしいコンテンツを映画会社が放っておくはずがない。今回は出演者を一新しての新シリーズという事になる。やれやれ。
最初の3本が「ジュラシック・パーク」、次の3本が「ジュラシック・ワールド」と主演者が変わる毎にタイトルを変えて来たのに、新章でありながら主タイトルは「ジュラシック・ワールド」と前3部作と変わらず。別のシリーズ名にする事は考えなかったのだろうか(尤も、「ジュラシック」で検索するとすごい数の亜流作品とかB、C級作品の題名が並んでいるので、どれかとバッティングする危険性もあるが)。
ただ、監督がギャレス・エドワーズと聞いて俄然興味が沸いた。エドワーズ監督と言えばデビュー作「モンスターズ/地球外生命体」以来、「GODZILLA ゴジラ」、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」、「ザ・クリエイター 創造者」と、作る作品すべて水準以上の力作ばかりで、私のお気に入り監督である。これは見逃す訳に行かない。
「ゴジラ」、「スター・ウォーズ」、「ジュラシック・ワールド」と、映画史に残る3大SFシリーズをすべて監督したのは彼しかいないというのも、考えたら凄い事だ。
脚本を書いたのが、「ジュラシック・パーク」1、2作目のデヴィッド・コープという点も要チェックだ。2作目以来28年ぶりの再登場である。
(以下ネタバレあり)
前の6作の主人公は、生物学者だったり、パークの管理人や飼育係だったりと、職業が恐竜に近い関係者が多かったが、本作の主人公はスカーレット・ヨハンソン扮する熟練特殊工作員ゾーラ・ベネット。女性で特殊工作員というキャラクターも珍しいが、本来は恐竜とは縁がなさそうな人物だし、極秘ミッションを任命された特殊工作員、という設定からして、007や「ミッション・インポッシブル」のトム・クルーズのような役柄に近い。
つまりは、過去の“行き過ぎた科学の発達に警鐘を鳴らす”といったテーマを持った作品群と比べて、ミッションを託された活動家が活躍する冒険娯楽アクションにシフトした作品と考えたほうが早いだろう。これは面白くなりそうだ。
チームは、ゾーラが信頼する傭兵のダンカン・キンケイド、古生物学者のヘンリー・ルーミス博士、恐竜のDNAから作る新薬で大儲けを企む製薬会社の代理人マーティン・クレブス(ルパート・フレンド)、その他数名。
一行は船で目的の島に向かうが、途中救難信号を受信し、漂流していた4人連れのデルガド一家を助け、一緒に行動する事となる。一家はヨットでクルーズ中、凶暴なモササウルスに襲われ、ヨットを転覆させられたというわけだ。
島に到着すると、デルガド一家4人はゾーラたちとは別行動を取る。
一家の中では、一家の次女でまだ幼いイザベラ(オードリナ・ミランダ)が可愛い。途中でイザベラはちっちゃな恐竜アクイロプスの子供と出会い、彼女はそれに“ドロレス”と名付け、リュックに入れて一緒に行動する。
見せ場は、途中でティラノサウルス(Tレックス)が昼寝をしている川岸の近くで長女のテレサ(ルナ・ブレイズ)がゴムボートを見つけ、これで川下りをしようとするが、Tレックスが起きて来て一家を襲うシーン。Tレックスは水に潜って泳ぎ、ボートをひっくり返したりと大暴れする。
実はマイケル・クライトンの原作にも登場するシーンだが、第1作の映画化の際は映像化できなかった。本作で復活したのは喜ばしい。
一方でゾーラたちは陸・海・空の3大恐竜の血液を採取するべく行動する。
陸の恐竜、ティタノサウルスは首が長く、ちょっと1作目のブラキオサウルスと似た、おとなしい恐竜。ヘンリー博士は胴体に触って思わず感動の涙を流したりする。
ここで2体のティタノサウルスが、長い首で愛を交わすシーンがあるが、これはエドワーズ監督のデビュー作「モンスターズ/地球外生命体」で2体の巨大エイリアンが愛を交わすシーンのセルフ・オマージュだろう。
残りの恐竜の血液も首尾よく採取し、あとは合流したデルガド一家と一緒に、恐竜たちに追われながら島からの決死の脱出行が展開する事となる。
新登場の恐竜も何体かいるが、中でもブラキラプトルの胴体に翼が生えたようなミュータドンとか、本作の冒頭にもチラリと登場する醜悪な形相のディストータス・レックスはいずれもDNA交配で生み出された新種で、最後までゾーラたちを苦しめる。まさにラスボスだ。
しかし、エイリアンのような顔のディストータス・レックスは、恐竜と言うよりは怪獣である。このデザインは気持ち悪く、あまり感心しない。
最後はなんとか、全員力を合わせ、無事脱出するまでがテンポよく描かれるので退屈はしない。イザベラちゃんが意外な活躍を見せるのもいい。
結局いつものパターン、というわけだが、本作が前作までと違うのは、恐竜のDNA採取という極秘ミッションが物語のキーとなる点で、目的達成の為にはどうしても恐竜に近づかなくてはならず、単に逃げ惑うだけとは一味違う展開になっている。
また、ゾーラたちのチームの中にも意見の相違があり、マーティンが属する製薬会社は、自社だけが新薬の特許を独占して大儲けを企んでいるのに対し、ヘンリー博士は難病に苦しむ人たちの為に新薬技術を広く公開したいと思っている。ゾーラはミッションを成功させる事だけが目的で、どちらに味方する事もない。ダンカンは傭兵としての経験豊富なキャリアで、チームの危機を何度も救う。
対照的にデルガド一家は、巻き込まれた民間人という立ち位置で、危機に見舞われながらも家族の絆で乗り越えて行く。
こうした人物配置が効果を発揮し、スリリングで見応えのある作品になっている。最後はマーティンら悪役はことごとく恐竜の餌食となり、ゾーラ、ヘンリー、ダンカン、そしてデルガド一家が全員助かるというハッピーな結末も気持ちいい。
そして、随所にいろいろな映画からの引用と言うかオマージュが張り巡らされているのも、エドワーズ監督らしい。特にスティーヴン・スピルバーグ監督作品へのオマージュが目立つ。スピルバーグをとても敬愛しているのだろう。
・最初にヨットのデルガド一家を襲うモササウルスが、背ビレを立ててこちらに向かって来るシーンは、スピルバーグ監督の「ジョーズ」オマージュ。
・その後、デルガド一家を救出したゾーラたちの船がスピノサウルスに追いかけられるくだりで、スピノサウルスが波を蹴立てて前を行く船を追うシーンが山崎貴監督「ゴジラ-1.0」のゴジラが敷島たちの新生丸を追いかけるシーンとそっくりになる。
・イザベラと、彼女がリュックに入れたチビ恐竜“ドロレス”との交流シーンは、これもスピルバーグ監督「E.T..」の、E.T.と子供たちとの交流を思わせる。
・翼を持った恐竜ケツァルコアトルスに追われて洞窟の中を逃げ回るシーンは「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」のオマージュっぽい。
・終盤のディストータス・レックスに襲われるシーンで、ダンカンが発火筒に火をつけ、D・レックスを別方向に誘導するシーンは、第1作目「ジュラシック・パーク」、4作目「ジュラシック・ワールド」にも同じようなシーンがあった。
といった具合に、映画を観終わった後に、いろんなシーンを思い浮かべて楽しむことも出来る。ギャレス・エドワーズ監督作はやっぱり面白い。 (採点=★★★★)
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