「トイ・ストーリー5」
2026年・アメリカ 102分
製作:Pixar Animation Studios
配給:ディズニー
原題:Toy Story 5
監督:アンドリュー・スタントン
共同監督:マッケナ・ハリス
脚本:アンドリュー・スタントン、マッケナ・ハリス
音楽:ランディ・ニューマン
製作総指揮:ピート・ドクター、ジョナス・リベラ
おもちゃたちの世界を舞台に、子供とおもちゃの絆を描く人気アニメ・シリーズの第5作。監督はシリーズの原案や脚本を手掛けて来たアンドリュー・スタントン。本作はシリーズ初の監督作となる。共同監督はピクサーの短編「アルベルトの手紙」を手がけたマッケナ・ハリス。声の出演はトム・ハンクス、ティム・アレン、ジョーン・キューザック等のシリーズ・レギュラー陣が続投。
(物語)ボニー(声:スカーレット・スピアーズ)のもとで暮らすバズ・ライトイヤー(声:ティム・アレン)やジェシー(声:ジョーン・キューザック)、フォーキーたちは、これまでと変わらぬ日常を送っていた。だがある日、ボニーのもとに最新の電子タブレット“リリーパッド”(声:グレタ・リー)がやって来た事でその日常は一変。多彩な機能を持つリリーパッドに夢中になるボニーの姿を前に、おもちゃたちは自分たちの存在意義に疑問を抱き始める。「おもちゃはもう必要とされていないのか」という不安が広がる中、仲間からのSOSを受けたウッディ(声:トム・ハンクス)が再びボニーの元へ戻って来る。かつての名コンビは、おもちゃの居場所を守るため、子どもたちを虜にする最新テクノロジーに立ち向かう…。
第1作から、もう31年!早いものだ。シリーズは1作目からすべて観ている。
全シリーズを通して、“おもちゃは子供たちを幸せに出来るのか”という一貫したテーマを持ちつつも、1作ごとに、“持ち主である子供の成長による別れ”、“新たな持ち主の登場”、“おもちゃ自身の迷い、成長、自立”といった具合に、常に新しい物語を構築して来たこのシリーズ、本作では、“急速に進むデジタル化への対応”とまた難しいテーマを持ち出して来た。
(以下ネタバレあり)
バズたちの新しい主人、ボニーは8歳になり、相変わらずジェシーたちおもちゃと遊んでいるが、気が弱くて友だち付き合いは苦手。
その上、最近ではどの子供たちも電子タブレットと遊んでいて、近所の子供もタブレットを持っていないボニーとは遊んでくれない。
そこでボニーの両親は彼女の為に最新型デジタルタブレット、“リリーパッド”を買い与える。
ちなみにこの名前、J・スイフトの「ガリバー旅行記」に登場する「リリパット国」のもじりだろう。
ボニーは早速リリーパッドに夢中、ジェシーたちおもちゃとは遊んでくれなくなる。危機感を感じたジェシーはリリーパッドに、「子供はデジタルデバイスの中だけでなく、友だちと遊ばなくては」と語るのだが、リリーパッドはジェシーに、屋上から近所の子供たちを覗いてごらんと言う。ジェシーは言われる通り近所の家の窓を覗くと、どの家でも子供たちはみんなタブレットに夢中である。ジェシーは愕然となる。
これは確かに、今の時代の子供たちの実態だろう。個人的な事になるが、うちの孫も3歳くらいまでは人形で遊んでいたが、親がタブレットを買い与えたら、もうアナログなおもちゃには見向きもせずにタブレットざんまいである。
こんな事でいいのだろうか、と現状を批判するのは簡単だが、さすが1作目から脚本に参加して来たアンドリュー・スタントン、そんな単純な現状批判で済まそうとはしない。
リリーパッドには、SNSを通して他の子供と繋がる事が出来るという利点もある。実際リリーのおかげで、ボニーはチャットで知り合った友だちのお泊り会に参加する事も出来た。残念ながら対面では引っ込み思案のボニーは、その場に打ち解けるとこが出来ない。まだおもちゃを持参しているのだからなおさらだ。
結局は、自分の内向的な性格を直そうと努力しない限り、友だちは出来ないという事だ。タブレットの在る無しは関係ない。
ある時、ジェシーと相棒のブルズアイは外で迷子になり、ジェシーの足に元の持ち主の住所が書かれていた事から、ジェシーたちを拾った親切な人に、その住所に住んでいるブレイズという9歳の女の子の家に送り届けられる。そこでジェシーたちは、その家の戸棚にしまいこまれていた旧世代のデジタル・デバイスおもちゃと出会う。
デジタル・トイは最初は珍しがられても、飽きられるのも早い。アンディやジェシーのようなアナログおもちゃの方が、子供と一緒にいる時間がずっと長い、というのは何とも皮肉である。
感動的だったのが、丘の上の木の下で、ジェシーの最初の持ち主、エミリーが埋めたタイムカプセルを見つけるシーン。実は2作目「トイ・ストーリー2」で、ジェシーはエミリーに箱に入れられ置き去りにされた過去が描かれている。すっかり忘れていたが、いろんなレビューを見てて思い出した。
そのエミリーは、自分の娘に「ジェシー」という名前を付けている。エミリーは成長した為に、おもちゃのジェシーは捨てたけれど、忘れたわけではない。思い出の品をタイムカプセルに入れ、娘におもちゃと同じ名前をつけた事で、“ずっと忘れないよ”という思いを示したのだろう。その事を知って、ジェシーは初めてエミリーの本心を理解するのだ。
「トイ・ストーリー2」で描かれたジェシーの過去のトラウマを、3作も後の本作で決着をつけるとは、さすがシリーズの原案・脚本をずっと手掛けて来たアンドリュー・スタントンならではである。
子供が成長すれば、おもちゃはいずれ捨てられるか、次の持ち主に譲渡される運命にある。それは仕方のない事だ。これまでも本シリーズは、そのテーマをずっと追い続けてきた。
本作はそこに、“例えおもちゃと別れる日が来ようとも、おもちゃと仲良く遊んだかけがえのない日々は、決して忘れる事はないだろう”というテーマを導き出して来た。これには感動した。
ボニーはやがてジェシーたちのおかげで知り合ったブレイズと、おもちゃで遊ぶと言う共通の趣味もあって仲良くなって行くのだけれど、これはむしろ付け足しで、本作が本当に描きたかったのは上のテーマである。
新型のハイテク・バズ・ライトイヤー軍団も面白いけれど、タブレット全盛時代にあんな高額な(?)人形おもちゃ、売れるのだろうか。物語ともあまり噛み合っていない気もするし。ウッディが帰って来たのは嬉しかったけれど。
ともかくも本作は、シリーズ生みの親とも言えるアンドリュー・スタントンが、一つのシリーズ総決算として作り上げた秀作である。
大ヒットしているのは嬉しいが、テーマも出尽くしたし、シリーズは本作で有終の美を飾った方がいいのではと個人的には思っている。
(採点=★★★★☆)
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コメント
このシリーズは結構好きで最初はテレビだったと思いますが、全作見ています。
今回も面白かった。
ウッディは最初はあまり関わらず、ジェシーとバズ・ライトイヤーが中心の話。
いつも明るいジェシーが悩むのはハラハラさせます。
ジェシーが復活するところは泣かせました。
最後はウッディらも関わってハッピーエンド。
やはり見せますね。
投稿: きさ | 2026年7月19日 (日) 15:01
◆きささん
ウッディは前作のラストでバズたちと別れた形になっていたので少しがっかりでしたが、ちゃんと戻って来ましたね。やっぱりウッディがいないと「トイ・ストーリー」らしくないですね。頭の毛が薄くなってましたけど(笑)。
投稿: Kei(管理人 ) | 2026年7月22日 (水) 21:38