« 世界名作映画 第144位 「按摩と女」 | トップページ | 「トイ・ストーリー5」 »

2026年7月 9日 (木)

B級娯楽映画 第145位 「喜劇の黄金時代」

The-goldenageofcomedy 1959年・フランス   137分
製作:フィルムソノール
配給:東和
原題:La Grande Epoque
製作・監督:ロバート・ヤングソン
監修:ルネ・クレール
脚本:ロバート・ヤングソン
編集:アルバート・ヘルムス
音楽:ジョージ・スタイナー
ナレーション:ルネ・クレール

今回はちょっと気分を変えて、サイレント時代のアメリカ・ドタバタ(スラップ・スティック)コメディ映画のアンソロジー集の登場です。

これも実は私、公開時の1961年初にリアルタイムで劇場鑑賞しているのです。

もう中学生になって、かなりいろいろな映画を観まくっていた時代です。それでも、ほとんどは東宝怪獣映画か東映チャンバラ映画(笑)、たまに洋画を観る程度でした。

そんな時に映画館でやっていたのがこの作品。実は前年に「チャップリンの独裁者」を観ていて、これにとても感動してチャップリンに関心を持っていたので、題名からしてもしかしたらチャップリンが出ているのではないか、というのが鑑賞動機でした。

残念ながらチャップリンは出演していませんでしたが(チャップリンと並ぶ3大喜劇王バスター・キートン、ハロルド・ロイドも出演せず)、スタン・ローレル&オリバー・ハーディらサイレント喜劇のスターが繰り広げるドタバタ・コメディに笑い転げました。こんな面白いコメディ映画は初めてでした。

日本製のコメディとはまったく違う、セリフなしで身体を思いっきり使ってのギャグのつるべ打ちに、すっかり魅了されました。


アメリカ映画かと思ったら、タイトルはフランス語(La Grande Epoque)でした。後で調べたら、フランス映画の名匠、ルネ・クレールが監修として参加していた事を知りました。フランス語ナレーションもルネ・クレールが担当しています。アメリカ・サイレント・コメディを深くリスペクトしている気がします。

全体は9章に別れていて、第1章はいわゆるキーストン・コメディの創始者、マック・セネットが登場し、映画撮影風景や、撮影所の内幕も描かれます。

以下第2章から最後の第9章は、章ごとに特定のコメディ俳優に焦点を当て、いくつかの出演作品をまとめて取り上げて行きます。

Laurelhardy_20260709225201中でも出演作品が多いのが、ローレル&ハーディ(右)のコンビ作品です。なんと2章、6章、9章と3つのパートにそれぞれ主演しています。確かに観ていて、このコンビの作品が一番面白かったです。

第2章には、有名なパイ投げ騒動が登場します。「世紀の闘い」という題名で、ちょっとした間違いから顔にクリームパイが当たり、その仕返しに投げたパイが別人に当たって、その仕返しのパイがまた別人にと騒動が広がり、街中にエスカレートして行く展開に、もう腹を抱えて大笑いしました。笑い過ぎてお腹が痛くなったくらいです(笑)。観客もみんな笑い転げ、場内は爆笑の渦となります。こんな映画体験は初めてでした。

第9章も、すねの蹴り合いに始まり、小さな事からどんどん大騒動になる、ローレル&ハーディお馴染みのパターンで笑わせてくれます。本当にこのコンビ、笑いにかけては天才ですね。

その他では第3章に登場する、カウボーイ姿がトレードマークのウィル・ロジャースや、第5章のやぶ睨みのベン・ターピン、第7章のベビー・フェイスのハリー・ラングドンもなかなか楽しい。

また第4章には、ちょっとセクシーなキャロル・ロンバード、ジーン・ハーロウが登場。ハーロウはローレル&ハーディと共演しています。ハーロウはその後ブレイクし、1930年代を代表するセックスシンボルと言われました。

写真左から順にベン・ターピン、ウィル・ロジャース、ハリー・ラングドン、キャロル・ロンバード、ジーン・ハーロウ

The-goldenageofcomedy2

まあこんな具合に、1910~20年代にサイレント・ドタバタ・コメディで一世を風靡したコメディアンたちの活躍ぶりが楽しめる、素敵なアンソロジー集でした。

トーキー時代になると、ほとんどのコメディアンたちは仕事の場を失います。バスター・キートンもハロルド・ロイドも例外ではありません。ただ1人、チャールズ・チャップリンだけは笑いつつ泣かせる、レベルの高い長編コメディを作り続け、トーキー時代を生き延びて行きます。やはりチャップリンは天才ですね。


なお後で判った事ですが、本作は1957年にアメリカの短編ドキュメンタリー作家のロバート・ヤングソンが製作・監督した79分の作品が基になっています。原題は"The Golden Age of Comedy"。これをルネ・クレール監督が新たなフィルムを追加し、137分の作品に仕上げたのが本作です。

ヤングソン監督は、戦後すっかり忘れ去られてしまった、こうしたサイレント・コメディにもう一度スポットライトを当てようと考え、本作を企画・製作しました。狙いはズバリ当たり映画はヒットし、その後同じようなサイレント・コメディ・アンソロシー映画がヤングソン製作・監督で「喜劇の王様たち」(1960)、「爆笑20年」(1965)と作られています。私はどれも観ました。どれも面白い。

特に「爆笑20年」は原題が"Laurel & Hardy's Laughing 20's"となっている通り、ローレル&ハーディ作品が大半を占めています。いかにこのコンビが大人気だったかがよく解ります。

ちなみに、2018年には、ローレル&ハーディの晩年を描く劇映画「僕たちのラストステージ」が公開されました。当ブログでも作品評を書きましたので覗いてください。

なお同批評の中で、ルネ・クレール監督が最初に本作を作ったと書いていますが、上記の通りこれは誤りです。訂正させていただきます。
それにしても、映画紹介サイトごとに書いてる内容がてんでバラバラ。KINENOTEなんかスタッフ欄のどこにもロバート・ヤングソンの名前がない。ひどいもんです。

そんなわけで、これぞまさしく典型的な“B級娯楽映画”そのものです。ローレル&ハーディの映画はYoutubeでも沢山アップされているので、興味があれば探してみてください。

 

DVD「喜劇の黄金時代」
Dvd_the-goldenageofcomedy
(注)
 解説にはランニング・タイムが78分、
 言語は英語となっているので、断定は
 出来ませんが、ルネ・クレール監修版
 ではなく1957年製作のアメリカ版で
 はないかと思われます。

|

« 世界名作映画 第144位 「按摩と女」 | トップページ | 「トイ・ストーリー5」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 世界名作映画 第144位 「按摩と女」 | トップページ | 「トイ・ストーリー5」 »