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<title>お楽しみはココからだ～　映画をもっと楽しむ方法</title>
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<description>　いろいろ視点を変えてみれば、映画はもっと楽しくなる　
　＜採点は、&#x2605;１つが20点、&#x2606;１つが10点、&#x2605;５つで満点＞</description>
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<dc:date>2026-10-06T21:27:24+09:00</dc:date>


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<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/10/post-792c56.html">
<title>「ディスクロージャー・デイ」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/10/post-792c56.html</link>
<description> 2026年・アメリカ　　　145分製作：アンブリン・エンタティンメント＝ユニヴァーサル配給：東宝東和原題：Disclosure Day監督：スティーヴン・スピルバーグ原案：スティーヴン・スピルバーグ...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/disclosure-day.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Disclosure-day" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/disclosure-day.jpg" alt="Disclosure-day" width="130" height="184" align="left" border="0" /></a> 2026年・アメリカ　　　145分<br />製作：アンブリン・エンタティンメント＝ユニヴァーサル<br />配給：東宝東和<br />原題：Disclosure Day<br />監督：スティーヴン・スピルバーグ<br />原案：スティーヴン・スピルバーグ<br />脚本：デビッド・コープ<br />撮影：ヤヌス・カミンスキー<br />音楽：ジョン・ウィリアムズ<br />製作：クリスティ・マコスコ・クリーガー、スティーヴン・スピルバーグ</p>
<p>地球外生命体に関する機密情報を得た2人の男女がその内容を世界に開示するべく奔走する姿を描くＳＦサスペンス。原案と監督は<strong>「フェイブルマンズ」</strong>のスティーヴン・スピルバーグ。出演は<strong>「オッペンハイマー」</strong>のエミリー・ブラント、<strong>「チャレンジャーズ」</strong>のジョシュ・オコナー、<strong>「英国王のスピーチ」</strong>のコリン・ファース、<strong>「テスラ　エジソンが恐れた天才」</strong>のイヴ・ヒューソン、<strong>「シンシン／SING SING」</strong>のコールマン・ドミンゴなど。</p>]]><![CDATA[<p>（物語）<span style="color: #000080;">サイバーセキュリティの専門家であるダニエル・ケルナー博士（ジョシュ・オコナー）は、勤務先のワーデックス社から機密情報を盗み出す。一方、カンザスシティのローカル局で気象予報士を務めるマーガレット・フェアチャイルド（エミリー・ブラント）は、突如として自身の身に起こった異変に戸惑っていた。接点のないはずの2人は、謎めいた協力者ヒューゴ・ウェイクフィールド（コールマン・ドミンゴ）に導かれ、79年間にわたり隠蔽されてきた、世界を揺るがす衝撃的な真実を知る。その秘密を人類に開示しようとする彼らの前に、ノア・スキャンロン（コリン・ファース）率いるワーデックスが立ちはだかる。</span></p>
<p>スティーヴン・スピルバーグ。日本でのデビュー作<strong>「激突！」</strong>をリアルタイムで観て以来、その監督作品をずっと追い続けて来た。そして観る度に驚かされ、感動し、興奮させられた。<br />スピルバーグ監督と同時代を生きて来れた幸運に感謝したい。</p>
<p>そのスピルバーグも、75歳の後期高齢者になって（笑）<span style="color: #000080;">自身の映画人生を振り返りたくなった</span>のか、2022年に自伝的作品<a href="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2023/03/post-be0c5b.html">「フェイブルマンズ」</a>を撮り、そして79歳で撮った本作は、これまで撮って来た<span style="color: #ff0000;">“宇宙人とのコンタクト”</span>ものの<span style="color: #0000ff;">総決算</span>的な作品になっている。</p>
<p>なにしろスピルバーグは、<span style="color: #0000ff;">17歳で</span>既に<span style="color: #000080;">宇宙人との遭遇</span>をテーマとした16ミリ作品<strong>「ファイアライト」</strong>(1964)を撮っているのである。<br />その後も<strong>「未知との遭遇」</strong>、<strong>「E.T.」</strong>、<strong>「宇宙戦争」</strong>とエイリアンものを監督して来たのはご承知の通り。プロデースした作品（<strong>「SUPER 8/スーパーエイト」</strong>、<strong>「カウボーイ＆エイリアン」</strong>など）も含めれば相当な数になる。</p>
<p>“宇宙人コンタクト”は、スピルバーグの生涯のテーマと言っていいかも知れない。</p>
<p><strong><span style="color: #0000ff; font-size: 0.9em;">（以下ネタバレあり）</span></strong></p>
<p>ストーリーは思っていたよりもシンプル。アメリカ政府がこれまで隠蔽してきた、地球に来訪した宇宙人に関する機密情報を情報公開（ディスクロージャ）しようとするケルナー博士と気象予報士マーガレットたちの行動と、それを阻止しようとする、政府系秘密組織、ワーデックスとの攻防が全編にわたって描かれる。</p>
<p>政府が宇宙人来訪をひた隠しにしている、という説は戦後すぐから無数にあり、1947年のロズウェル事件とか、ネバダ州のエリア５１には墜落したＵＦＯが運び込まれているとか、宇宙人に誘拐された人物がいるとか、いろんな憶測が広まっているが、政府はその都度打ち消して来た。映画ではローランド・エメリッヒ監督の<strong>「インディペンデンス・デイ」</strong>に、エリア５１に宇宙人の遺体が保管されているというエピソードが登場する。</p>
<p>従って本作でスピルバーグが題材としている、<span style="color: #000080;">政府が隠蔽して来た宇宙人に関する機密情報の存在</span>は、過去にいろんな陰謀説や映画でも語られて来た話で目新しいものではない。</p>
<p>本作は、そんな陰謀説に近い政府の宇宙人隠蔽説をベースにしながらも、宇宙人は間違いなく地球にやって来ているが、その存在は危険だと判断した政府によって封殺されて来たのだ、という解釈を展開している。</p>
<p>映画の中でも描かれているが、宇宙人は人心をも自在に操れる超能力を持っている。そんな存在が敵となったら脅威であると政府が考えたのも無理からぬ事である。<br />だがスピルバーグは宇宙人性善説にこだわる。敵ではなく、我々とは仲良く出来る、そして人類を導いてくれる存在になると信じている。<strong>「未知との遭遇」</strong>も<strong>「E.T.」</strong>もそんなテーマの作品だった。そう言えばE.T.も不思議な超能力を持っていたのを思い出す。</p>
<p>そういう崇高なテーマを持ちながらも、本作はエンタメ度も高い。カーチェイスあり、貨物列車に引き摺られた車から間一髪脱出というスリリングなシーンもある。踏切で車が後ろから押される<strong>「激突！」</strong>のセルフオマージュをやっているのが笑える。</p>
<p>最後は、テレビ局にデータを持ち込み、全米放映を画策するが、それを阻止すべくあらゆる手を使って妨害するワーデックスとの攻防戦もスリリングだ。<br />結局、宇宙人に関する機密情報は全世界に流れ、宇宙人の存在は公然のものとなる。</p>
<p>そこから人類と宇宙人はどう共存して行くのかも知りたいところだが、宇宙人と心で繋がっているマーガレットが「Listen（聴いて下さい）」と言った所で映画は終わる。その続きは、観客自身で考えてくださいという事なのだろう。</p>
<p><br />面白かったが、スピルバーグ作品にしては珍しくツッ込みどころも多い。細いリモコンのようなデバイスで何でも出来るようなのだが、まるでドラえもんのポケットみたいで（笑）どういうメカニズムなのかよく判らない。荒唐無稽な気がする。</p>
<p>それと「未知との遭遇」、「E.T.」でも気になったが、宇宙人が<span style="color: #0000ff;">いつも裸同然</span>の姿なのは絶対おかしい。彼らの住む星とは大気の組成が地球と違うだろうし、危険なウイルス、バクテリアも地球には蔓延している。ヘルメットも被らず、防護服も着ずに地球にやって来るなんてあり得ないと思うのだが。実際H・G・ウェルズ原作の<strong>「宇宙戦争」</strong>では、火星人は人類が免疫を持っている大気中のバクテリアに対して抵抗力が無かった為に死んで行く結末となっている。</p>
<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/disclosure-day2.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Disclosure-day2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/disclosure-day2.jpg" alt="Disclosure-day2" width="110" height="248" align="right" border="0" /></a> まあスピルバーグ、宇宙人の映像だと言われているグレイと呼ばれる宇宙人の画像がほとんど裸だったので、それを信用してるのかも知れない。最後に登場する宇宙人なんか、グレイの想像画（右）とそっくりだったしね。</p>
<p>それよりもスピルバーグについて感じるのは、彼が<span style="color: #0000ff;">“宇宙人は間違いなく存在する”事を本気で信じている</span>と思われる点である。<strong>「未知との遭遇」</strong>はその信念を映像化した作品であり、その一途な思いに感動させられた。</p>
<p>まさにスピルバーグは、その子供のような純粋さ、無邪気さを持った、永遠の少年なのである。80歳近くになっても、その心を持ち続けている、この事に深く感動した。</p>
<p>いろいろ難点はあるけれど、スピルバーグ監督の宇宙人愛に敬意を表し、採点は<span style="color: #ff0000;">&#x2606;</span>一つ追加して。　　　（採点＝<span style="color: #ff0000;">&#x2605;&#x2605;&#x2605;&#x2605;&#x2606;</span>）</p>
<p><span style="font-size: 0.6em;">　ランキングに投票ください　→</span><span style="font-size: 0.8em;">　</span><a href="http://movie.blogmura.com/moviereview/"><img src="http://movie.blogmura.com/moviereview/img/moviereview88_31.gif" alt="にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ" width="88" height="31" border="0" /></a></p>
<p> </p>
<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-10-06T21:27:24+09:00</dc:date>
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<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/10/post-00b84f.html">
<title>Ｂ級娯楽映画　第１３３位　「アルゴ探検隊の大冒険」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/10/post-00b84f.html</link>
<description> 1963年・アメリカ　　　104分日本公開：1965年製作：チャールズ・H・シニア・プロ配給：コロムビア映画原題：Jason and the Argonauts監督：ドン・チャフィ脚本：ジャン・リー...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/jason_and_the_argonauts.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts" width="130" height="184" align="left" border="0" /></a> 1963年・アメリカ　　　104分<br />日本公開：1965年<br />製作：チャールズ・H・シニア・プロ<br />配給：コロムビア映画<br />原題：Jason and the Argonauts<br />監督：ドン・チャフィ<br />脚本：ジャン・リード、ビヴァリー・クロス<br />撮影：ウィルキー・クーパー<br />音楽：バーナード・ハーマン<br />特殊効果：レイ・ハリーハウゼン<br />製作：チャールズ・Ｈ・シニア、レイ・ハリーハウゼン</p>
<p>コマ撮りアニメ・ダイナメーションで知られるレイ・ハリーハウゼンが特殊効果を担当した作品で、ハリーハウゼンの特撮担当作の中でも評価の高い作品です。劇場で観て、その見事な特殊効果に圧倒されました。</p>]]><![CDATA[<p>元になっているのは、ギリシャ神話です。ピエール・パオロ・パゾリーニ監督が1969年に発表した<strong>「王女メディア」</strong>とほぼ同じお話で、本作の主人公ジェーソンやその父アリスト王を殺し王位を奪ったペリアス、コルキスの王女メディアなどが、どちらの作品にも登場します。ただあちらが陰惨な悲劇であるのに対し、本作はさまざまな怪物、クリーチャーとの格闘を楽しむ冒険活劇エンタティンメントになっているのが見どころです。同じ原作で、これだけまったく別の作品が誕生しているのも面白いですね。</p>
<p>ただややこしいのは、アメリカ映画なので主人公の名前は<span style="color: #000080;">ジェーソン</span>と呼ばれ字幕でもそうなってますが、ギリシャ語読みではイアソン（「王女メディア」でもそう表記）なので、ギリシャ神話など文献と付き合わせた時混乱しますね。他にも有名なクリーチャーの<span style="color: #800000;">タロス、ヒドラ</span>がそれぞれ英語読みのテイロス、ハイドラになってて違和感があります。<br />なお、後にNHK-BSで放映された時には、字幕はギリシャ語読みになっててホッとしました。</p>
<p>どちらで表記するか悩みましたが、DVD、KINENOTE、Wikipedia、いずれも英語読みのままなので、ここではそれに合わせます。</p>
<p><br />（物語）<span style="color: #000080;">全能の神ゼウス（ナイアル・マクギニス）の保護下にあるペリアス（ダグラス・ウィルマー）は、アリスト王を殺害しテッサリアの王座を奪った。しかし預言者は、20年後にサンダルを片足のみ履いたアリストの子により王座を奪い返されるだろうと語った。予言を阻止しようとペリアスはアリストの娘、ブリセイス（デイヴィニア・テイラー）をも殺した。これを見ていた女神ヘラ（オナー・ブラックマン）は怒り、ゼウスにアリストの子を守るよう願い、ゼウスは、5回だけアリストの子を助けてよいとヘラに言った。20年後、成長したアリストの息子ジェーソン（トッド・アームストロング）は、王国を取り戻すために、幸福をもたらすといわれる黄金の羊毛を手に入れるべく、大型帆船「アルゴ号」を建造し、ヘラクレス（ナイジェル・グリーン）、ハイラス（ジョン・カーニー）などギリシャ中から集めた勇士「アルゴナウタイ」を伴い旅だった。だが勇士の中にはペリアスの息子アカスタス（ゲイリー・レイモンド）も妨害の為に送り込まれていた。様々な苦難や、妖怪、怪物たちとの遭遇もあったが、ヘラの助けもあってそれらをうち破ってジェーソンは旅を続ける。航海を続けるうち、ジェーソンはコルキスの王女メディア（ナンシー・コバック）を救う。コルキスの王はジェーソン一行を歓迎するが、アカスタスの奸計でジェーソンは死刑を宣告される。メディアは、愛しはじめていたジェーソンと一行を救い、金羊毛のありかを教えた。それを守る7頭の巨竜をも倒してジェーソンたちは宝を手にしたものの、コルキスの王の逆鱗にふれ、壮絶な死闘を展開、何人かの勇士は殺されたが、ジェーソンは危うく逃れた。そしてメディアと共に金羊毛を擁し、帰国の途についた。</span></p>
<p>とまあ、実に波乱万丈の物語が続きますが、細かいお話はどうでも良くて（笑）、ハリーハウゼン特撮によるジェーソンたちと妖怪、クリーチャーたちとの闘いを眺めているだけでも充分に映画料金分の値打ちはあります。</p>
<p>ジェーソンたちが乗るアルゴ号の船尾には、女神ヘラの頭の木像があり、ヘラはこの像を通してジェーソンが困った時に助言してくれます。巨大な女神像の、眼だけが動くのがちょっと怖い。<br /><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts2.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/jason_and_the_argonauts2.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts2" width="129" height="150" align="right" border="0" /></a> ヘラを演じているのが、オナー・ブラックマン（右）。本作での好演が認められたのかどうか？、翌64年、見事<strong>「００７/ゴールドフィンガー」</strong>のボンド・ガール、プッシー・ガロア役に抜擢されます。</p>
<p>ハリーハウゼンのコマ撮りアニメが最初に登場するのは30分を過ぎた頃、ヘラの助言で水と食糧を得る為ブロンズ島に上陸した時です。水と食糧以外は何も持ち出してはいけないというヘラの警告を無視して、ヘラクレスが<span style="color: #800000;">青銅の巨人テイロス</span>（タロス）の財宝の槍を持ち出した為、テイロスが眠りから覚めて動き出します。もの凄く巨大なテイロスは人間と似た造形なので、中に人間が入ったぬいぐるみでもよかったと思うのですが、ハリーハウゼンはコマ撮りアニメにこだわります。でもそれが逆に、金属製の巨人らしい動きに見える効果を上げています。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts4" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts4.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts4" width="363" height="210" border="0" /></div>
<p>テイロスの攻撃でアルゴ号は持ち上げられてひっくり返されます。この難関はヘラの助言で、テイロスのかかとの栓を開け、体内の液体を流出させた事でタイロスは倒れます。このシーンは興奮させられますね。</p>
<p><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts6" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts6.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts6" width="192" height="194" align="right" border="0" />次に向かったのは、ヘラの最後の助言で、盲目の老預言者ピネウス（パトリック・トラウトン）の元です。予言を悪用したとしてゼウスの怒りを買い、ピネウスは食事の時、いつも<span style="color: #800000;">翼のある女性の形をしたハーピー</span>に食糧を奪われます。ハリーハウゼンがアニメートしたこのハーピーの造形と動きも面白いです。体は人間なのに、コウモリのような翼を持っていて自由に空を飛びます。凄いのは、ハーピーがピネウスの着物を足で掴み持ち上げると、ピネウスの体から着物が剥がされて行くシーン。どうやって合成してるのでしょうか。<br />そこにやって来たジェーソンたちが、ピネウスの頼みで、網を使って２匹のハーピーを捕まえるシーンも見ものです。でもあんな大きな網、どこにあったんでしょうかね（笑）。<br />ピネウスは安心して食事が出来るようになった礼に、ジェーソンにコルキスへの航路を教え、お守りを与えます。</p>
<p><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts7" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts7.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts7" width="200" height="109" align="left" border="0" />コルキスへの道中、通行する船をことごとく沈める吠える岩の間を通らねばならないのですが、ピネウスからもらったお守りを海に投げると、海中から<span style="color: #800000;">海神トリトン</span>が現われ、怪力で岩の隙間を広げ、通れるようにしてくれます。このトリトン、さすがにコマ撮りではなく人間が演じてます。<br /><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts8.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts8" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/jason_and_the_argonauts8.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts8" width="130" height="102" align="right" border="0" /></a> この時ジェーソンたちは、吠える岩に船を沈められ、漂流していたコルキスの美しい王女メディア（ナンシー・コバック、右）ら3人を救います。メディアとジェーソンは互いに惹かれ合います。</p>
<p>コルキスに着いた一行は、王女を救ってくれた礼にとアイエテス王に歓待され祝宴に招かれますが、一行の中にいたペリアスの息子アカスタスの密告により、黄金の羊毛を盗みに来たとして捕えられます。しかしジェーソンを愛するようになったメディアの助けで脱出に成功、黄金の羊毛のある場所に向かいますが、それを警護していた<span style="color: #800000;">７本の首を持つ竜・ハイドラ</span>（ヒドラ）と戦う事になります。ジェーソンはなんとかハイドラを倒し、黄金の羊毛を手に入れます。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts9" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts9.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts9" width="363" height="204" border="0" /></div>
<p>このシーンの、７本首のハイドラとジェーソンとのバトルも見ものです。ハイドラの動きは日本の八岐の大蛇（ヤマタのオロチ）を思い起こさせますが、後のキングギドラの造形に影響を与えている気もします。</p>
<p>そしていよいよ本作最大の見もの、７人の骸骨剣士の登場です。アイエテス王がハイドラの歯を地に撒くと、それが<span style="color: #800000;">骸骨剣士</span>になります。この骸骨とジェーソンたちとの戦いは圧巻です。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts10" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts10.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts10" width="361" height="227" border="0" /></div>
<p>骸骨を一コマづつ動かすのも大変なのに、それを７体も同時に。それだけでなく、ジェーソンたち人間の兵士たちの動きと合わせなければいけません。これが見事に一致してます。余程細かくリハーサルを重ねたのでしょうね。さらに凄いのは、戦いは屋外の陽光の下で行なわれるのです<img style="margin: 3px;" title="Jason_and_the_argonauts11" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/jason_and_the_argonauts11.jpg" alt="Jason_and_the_argonauts11" width="199" height="131" align="right" border="0" />が、太陽の光と影の位置が人間側と骸骨側とピッタリ合っているのです。ちゃんと<span style="color: #000080;">ライティング位置を考えてアニメートしてる</span>のですね。さらにさらに、石垣に骸骨剣士の影が動きに合わせて写ってるという芸の細かさ。何度見ても惚れ惚れさせられます。</p>
<p>仲間も二人が倒されますが、ジェーソンは海に飛び込んで逃げます。骸骨たちも飛び込みますが泳げないので沈んで行きます。ここも骸骨たちが飛び込んだ時、ちゃんと水しぶきが上がります。<br />こうしてジェーソンたちは無事黄金の羊毛を持って、ついでにメディアも連れて故郷テッサリアへ帰って行く所で物語は終わります。</p>
<p><br />いやー凄い。ハリーハウゼンの、まさに<span style="color: #800080;">芸術</span>とでも言うべきコマ撮りアニメの素晴らしさを存分に堪能できる傑作と言えるでしょう。<span style="color: #0000ff;">特殊効果に関しては、ハリーハウゼンの最高作</span>と断言いたします。<br />物語に関しては、ご都合主義が目立つし、そもそも悪党ペリアスを倒し、父の仇を討ってお家を再興する目的はどっかへ行っちゃってるのも物足りないです。そんなわけで、順位はこういう所に落ち着きました。</p>
<p>最近は、ＣＧで何でも出来る時代になりましたし、クリーチャーの動きもずっと滑らかに描けるようになりました。なので若い人が観たら、コマ撮りアニメのギクシャクした動きに物足りなさを感じるかも知れません。<br />でも公開当時の観客は、テイロスやハイドラ、骸骨剣士などが自在に動く姿を観て驚き興奮した事でしょう。映画は、作られたその時代に観てこそ感動し、心に残る物なのです。</p>
<p>なお、音楽を担当したのが、ヒッチコック作品でもお馴染みのバーナード・ハーマン。意外な気もしますが、この頃のハーマン、ヒッチコックの<strong>「北北西に進路を取れ」</strong>（1959)、<strong>「サイコ」</strong>(1960)、<strong>「鳥」</strong>(1963)等と並行して、ハリーハウゼン特撮の<strong>「シンバッド七回目の航海」</strong>(1958)、<strong>「SF巨大生物の島」</strong>(1961)、そして本作等も担当しているのですね。守備範囲の広い方です。</p>
<p>特撮ファンタジー映画ファンの方には是非お奨めの、Ｂ級娯楽映画の名作です。</p>
<p><span style="font-size: 0.6em;">　ランキングに投票ください　→</span><span style="font-size: 0.8em;">　</span><a href="http://movie.blogmura.com/moviereview/"><img src="http://movie.blogmura.com/moviereview/img/moviereview88_31.gif" alt="にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ" width="88" height="31" border="0" /></a></p>
<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>ベスト１５０　Ｂ級娯楽映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-10-02T23:11:42+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-a5c191.html">
<title>世界名作映画　第１３３位　「家族ゲーム」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-a5c191.html</link>
<description> 1983年・日本　　　106分製作：にっかつ撮影所＝NCP＝ATG配給：ATG監督：森田芳光原作：本間洋平脚本：森田芳光撮影：前田米造助監督：金子修介企画：多賀祥介、山田耕大製作：佐々木志郎、岡田裕...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/kazokugame.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Kazokugame" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/kazokugame.jpg" alt="Kazokugame" width="130" height="184" align="left" border="0" /></a> 1983年・日本　　　106分<br />製作：にっかつ撮影所＝NCP＝ATG<br />配給：ATG<br />監督：森田芳光<br />原作：本間洋平<br />脚本：森田芳光<br />撮影：前田米造<br />助監督：金子修介<br />企画：多賀祥介、山田耕大<br />製作：佐々木志郎、岡田裕、佐々木史朗</p>
<p>森田芳光監督作品の登場です。</p>
<p>森田監督については、長編デビュー作<strong>「の・ようなもの」</strong>がなかなか面白くて、以後も注目していました。<br />以後アイドル映画（<strong>「シブがき隊 ボーイズ &amp; ガールズ」</strong>（1982年））や日活ロマンポルノ２本を監督しますが、いずれも自身の脚本によるもので、おそらく商業映画を撮る中で、演出技術を磨いていたものと思われます。</p>
<p>そして長編５作目となる本作で、遂に本領発揮、公開されるや絶賛を浴び、キネマ旬報ベストワンをはじめ映画賞を総ナメ、一躍日本映画界のホープとして脚光を浴びる事となります。</p>
<p>個人的にも、本作は森田芳光監督の最高作と思っています。</p>]]><![CDATA[<p>物語は、<span style="color: #000080;">中学3年生の沼田茂之（宮川一朗太）の高校受験を控えて家中がピリピリしている沼田家を舞台に、茂之の家庭教師としてやって来た吉本勝（松田優作）が、型破りの教え方で茂之を鍛え、そのおかげで茂之はどんどん成績が向上し、無事Aクラスの高校に合格する。しかしその合格祝いの食卓で茂之の父・孝助（伊丹十三）の無神経な言動に腹を立てた吉本は食卓を引っ搔き回し、大混乱を起こして去って行く…</span>というもの。</p>
<p>と、文字で書けばどうって事ないお話ですが、森田監督の才気煥発な演出で、なんとも不思議な感覚のブラック・コメディに仕上がっています。</p>
<p>この映画が凄いのは、森田監督のひらめきと言うか、舞台設定や人物キャラクターのユニークさですね。以下並べてみます。</p>
<p>①原作ではニュータウンとなっている沼田家の住居を、映画では<span style="color: #0000ff;">海沿いの高層団地</span>に変えています。そして茂之の家庭教師となる吉本はいつもタグボートに乗って海からやって来ます。森田監督によると、最後に吉本が大暴れして去って行くのは、ゴジラをイメージしてるとの事です。ゴジラも<span style="color: #000080;">海からやって来て街を破壊して海に帰って行きます</span>。<br />こういう設定を思いつくなんて、さすが森田監督です。</p>
<p>②登場する人物もユニークな、変わった人ばかり。父・孝助は食事の時、目玉焼きの黄身をチュウチュウ吸うのが楽しみ。茂之は部屋に手作りのジェット・コースターの模型を置いて、パチンコ玉くらいの小さな金属球を転がして遊んでいます。茂之の担任教師（加藤善博）は横柄でぶっきらぼうなタメ口を聞くし、中学の国語教師（伊藤克信）は成績の悪い生徒の答案用紙を窓から放り投げて生徒に取りに行かせます。<br /><img style="margin: 3px;" title="Kazokugame2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/kazokugame2.jpg" alt="Kazokugame2" width="157" height="112" align="right" border="0" />そして松田優作扮する家庭教師の吉本は、いつも植物図鑑を持ち歩き、茂之のほっぺにキスしたり、突然にビンタを食らわせたりします。勉強だけでなく、茂之に喧嘩の仕方も教えます。この吉本のキャラクター設定が実に秀逸で、その要望に応えた松田優作の演技も賞賛に値します。</p>
<p>③素晴らしい効果を上げているのが、沼田家の食事風景。長いテーブルに<span style="color: #0000ff;">全員横一列に並んで</span>食事します。吉本が参加する時も５人一列ですから窮屈そう。それを正面から捉えた構図がダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を思わせて、何とも不思議な効果を上げています。ある意味、<span style="color: #000080;">バラバラの家族関係</span>を象徴しているのかも知れません。</p>
<p>カメラアングルもユニーク。吉本と茂之の勉強風景は、ローアングルの仰角で撮っていますし、時に机が透明になって机の下から二人を捉えたりします。また茂之の喧嘩シーンや、茂之と吉本が団地の非常階段を走って降りるシーンは顔も判別できないくらい超ロングで撮っています。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Kazokugame3" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/kazokugame3.jpg" alt="Kazokugame3" width="361" height="240" border="0" /></div>
<p>ラスト間際の、茂之合格祝いの食卓シーンは何と言っても圧巻です。最初は和気あいあい、和やかに食事が始まったものの、最近学力が落ちている兄の慎一（辻田順一）の家庭教師もやってくれと孝助が吉本に頼む辺りから（無論吉本は断りますが）不穏な空気が立ち込めます。孝助と慎一が口論になる頃には吉本は料理を掴んで投げ、マヨネーズを撒き散らすなど暴れ始め、ようやくその行動に気がついた孝助が文句を言おうとするとボディにパンチ一発、以下家族全員素早い身のこなしの吉本にボコボコにされ、テーブルもひっくり返す等の大暴れをした末に吉本は去って行きます。<br />ここまでの約７分間を、ワンカット長廻しで撮っているのが凄い。よほど念入りにリハーサルを重ねたのでしょうか。映画史に残るワンカットと言えるでしょう。</p>
<p><br />茂之が吉本の指導で成績を上げて行くのは、家族間コミュニケーションもなく、ぬるま湯のようにダラけた沼田家に茂之が愛想をつかしていた所に現われた吉本が、喧嘩の指導も含めて心の刺激になったからでしょう。最初はビンタを張られて泣いていた茂之が、やがて吉本にビンタを張り返すまでになり、心身共に逞しく成長して行く姿は、見ていてこちらも応援したくなります。<br />吉本が去って行った後、一家は再びぬるま湯状態になり、高校に進学した茂之はまた無気力な生活に逆戻りしているのも、その事を証明していると言えるでしょう。</p>
<p>1980年代当時の、受験戦争、イジメ問題、家族生活の崩壊（当時金属バット殺人事件がありました。孝助のセリフにも出て来ますね）、といった社会的テーマを中心に据えながら、これを深刻な暗い映画にせず、ブラックな笑いと、ポップでしゃれた感覚を盛り込んだ映画に仕上げた森田監督の演出が見事です。</p>
<p>また音楽を一切使用せず、食べ物の咀嚼音や街の騒音、ラストに不気味なヘリコプターのプロペラ音が響く等、現実音だけで構成した音響編集も効果を上げています。</p>
<p>いろんな意味で、時代を象徴する傑作と言えるでしょう。</p>
<p>（1983年度キネマ旬報ベストワン、読者選出ベストテン第2位、監督賞、脚本賞、主演男優賞（松田優作）、助演男優賞（伊丹十三）をそれぞれ受賞。ヨコハマ映画祭でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞（前田米造）を受賞）</p>
<p><span style="font-size: 0.6em;">　ランキングに投票ください　→</span><span style="font-size: 0.8em;">　</span><a href="http://movie.blogmura.com/moviereview/"><img src="http://movie.blogmura.com/moviereview/img/moviereview88_31.gif" alt="にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ" width="88" height="31" border="0" /></a></p>
<p><strong><span style="color: #0000ff;"><br />（付記）</span></strong><br />本作のチーフ助監督を、後にガメラ、ゴジラ映画を撮る金子修介が務めていて、本屋のシーンでは、本屋の店員として出演もしています。</p>
<p>この翌年の2月、金子は日活ロマンポルノ<strong>「宇能鴻一郎の濡れて打つ」</strong>で監督デビューする事となりますが、同じ年の7月に公開された森田監督の角川映画<strong>「メインテーマ」</strong>でも助監督を引き受けています。<br />森田監督の元での助監督修業は、金子監督にとっても大いに刺激になったのではないでしょうか。</p>
<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>ベスト１５０　世界名作映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-09-30T18:06:55+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-5ab788.html">
<title>「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか？」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-5ab788.html</link>
<description> 2026年・日本　　　116分製作：木下グループ＝CrossMediaInternational配給：キノフィルムズ英題：Mr. Nelson, Did You Kill People?監督：塚本晋...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/mr-nelson-did-you-kill-people.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Mr-nelson-did-you-kill-people" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/mr-nelson-did-you-kill-people.jpg" alt="Mr-nelson-did-you-kill-people" width="130" height="184" align="left" border="0" /></a> 2026年・日本　　　116分<br />製作：木下グループ＝CrossMediaInternational<br />配給：キノフィルムズ<br />英題：Mr. Nelson, Did You Kill People?<br />監督：塚本晋也<br />原作：アレン・ネルソン<br />脚本：塚本晋也<br />撮影：塚本晋也<br />編集：塚本晋也<br />音楽：ermhoi<br />製作総指揮：木下直哉<br />プロデューサー：武部由実子、クリストファー・フレイ、フィリッパ・フレイ、落合賢</p>
<p>ベトナム戦争帰還兵のアレン・ネルソンによる同名ノンフィクションを原作に、“戦争加害者の心の傷”というタブーに切り込んだ問題作。脚本・監督は<strong>「野火」</strong>、<strong>「ほかげ」</strong>の塚本晋也。出演はブロードウェイミュージカル<strong>「RENT」</strong>のロドニー・ヒックス、新人のマーク・マーフィー、<strong>「シャイン」</strong>のジェフリー・ラッシュ、<strong>「ルノワール」</strong>のリリー・フランキーなど。第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品、同映画祭の独立賞レオンチーノ・ドーロ賞（金の小獅子賞）」を受賞した。</p>]]><![CDATA[<p>（物語）<span style="color: #000080;">ニューヨークの貧しい家庭に生まれたアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソン（ロドニー・ヒックス）は、差別と貧困から抜け出すために18歳で海兵隊に入隊した。沖縄のキャンプ・ハンセンを経て1966年、ベトナム戦争の最前線へ送られる。だがそこで待っていたのは、苛烈な戦場の恐るべき凄惨な現実だった。殺さなければ殺される、戦争の残酷さを体験するうち、彼は心の感覚を失って行く。やがて23歳で帰国した彼を待っていたのは、戦場の忌まわしい記憶に縛られる日々。大きな音や暗闇に怯え、家族との関係も崩壊し、やがてホームレスへ。そんなある日、孤独と絶望の中で生きるアレンに真正面から向き合い、救い出そうとする退役軍人病院のダニエルズ医師（ジェフリー・ラッシュ）が現れる…。</span></p>
<p><a href="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-618c.html#野火">「野火」</a>(2015年)以降、<span style="color: #800000;">戦争についての映画</span>を作り続けて来た塚本晋也監督、今回はベトナム戦争の退役軍人が書いた実話を元に、またしても戦争映画の秀作を完成させた。</p>
<p>ベトナム戦争後遺症ものは、アメリカでも作られ続けて来た。ハル・アシュビー監督<strong>「帰郷」</strong>(1978)、オリバー・ストーン監督、トム・クルーズ主演<strong>「7月4日に生れて」</strong>(1989)などが有名で、シルベスター・スタローン主演<strong>「ランボー」</strong>も広い意味でベトナム戦争後遺症ものだ。ベトナムに限らず、クリント・イーストウッド監督<strong>「父親たちの星条旗」</strong>では第二次大戦後にPTSDで苦しむネイティヴ・アメリカン兵士が描かれていた。</p>
<p>だが本作は、そうした過去の作品が吹っ飛ぶくらいの強烈な、戦争の恐ろしさ、米軍の残酷さ、<span style="color: #ff0000;">戦争犯罪</span>までも暴きだした痛烈な反戦、反アメリカ映画になっている。</p>
<p>原作はアメリカで出版されながら、どこの映画会社でも映画化しようとしなかった。いや、<span style="color: #0000ff;">アメリカでは決して作れなかった</span>と言ってもいい。それは映画を観れば当然だろう。</p>
<p><strong><span style="color: #0000ff; font-size: 0.9em;">（以下ネタバレあり）</span></strong></p>
<p>アフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソンは、貧困から抜け出す為に18歳で海兵隊に志願入隊した。ここで叩きこまれたのは、３つの言葉<span style="color: #800000;">「考えるな」「命令に服従しろ」「殺せ」</span>。</p>
<p>特に軍事教育では、「<span style="color: #0000ff;">アジア人を人間と思うな</span><span style="color: #000080;">」</span>と教えられた。この考えが底流にあるからだろう、最初に駐留した沖縄では白人兵たちは傍若無人、娼婦を買っても、タクシーに乗っても料金を踏み倒す。抗議する運転手をボコボコにしてしまう。なるほど、<span style="color: #000080;">沖縄で米兵の犯罪が絶えない</span>のはそういう理由だったのか。</p>
<p>そしてベトナムでも、アメリカ軍は暴虐の限りを尽くす。なにしろ<span style="color: #800080;">相手は人間ではない</span>のだ。民間人だろうとベトコンだろうと、見つけ次第躊躇なく殺す。殺しまくる。ベトコンはジャングルに隠れ、どこからともなく襲って来る。その恐怖がさらに殺戮へと駆り立てる。ベトコンをおびき出す為、ある村の無抵抗の住民を皆殺しにして、死体を家の前に並べておく。戻って来たベトコンがそれを見て半狂乱になっている所を銃撃する。村を火炎放射器で焼き払う。<br /><br />アメリカ兵を、ほとんど殺人集団であるかのような描き方だ。</p>
<p>ベトナム戦争さ中の1968年、無抵抗の村民数百人をを大量虐殺した“ソンミ村虐殺事件”が起きた事は当時大きく報道された。今でも覚えている。当時は一部のアメリカ兵がやった事だと言われていたが、本作を見れば、この事件は起きて当然だろうと思う。表に出なかった大量虐殺はもっとあったかも知れない。</p>
<p>ネルソンは23歳で除隊しアメリカに戻ったが、PTSDを発症、少しの物音でも飛び起きてしまう。狂ったように喚く。とうとう家を出て、廃墟の建物内でホームレスとして暮らすようになる。それでも心の休まる場所はない。</p>
<p>やがて小学校の教師をしている幼馴染みと再会、乞われて生徒の前で戦争体験を語るようになる。<br /><br />そんな時、1人の少女がネルソンに問いかける。「<span style="color: #ff0000;">ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか？</span>」…これが映画のタイトルとなる。どう答えたかはこの場面では描かれないが、後に感動的なシーンに繋がる事となる。</p>
<p>数年後、ネルソンは役軍人病院で、ダニエルズ医師（ジェフリー・ラッシュ）のカウンセリングを受ける事となる。</p>
<p>ダニエルズはネルソンにさまざまな質問を行ない、ネルソンもそれに答える中で、少しづつ回復の兆しを見せるのだが、完全な回復には至らない。<br /><br />そんな中、ダニエルズはネルソンにこう問いかける。<span style="color: #0000ff;">「なぜ、あなたは人を殺したのか？」</span>と。ネルソンは「戦争だから仕方なかった」と言い訳するが、それでもダニエルズは会う度にこの質問を投げかける。<br />とうとうある日、ネルソンは「殺したかったから」と答えてしまうのである。</p>
<p>まさにこれが<span style="color: #000080;">戦争の恐ろしさ</span>である。戦争とは、<span style="color: #0000ff;">殺し合い</span>なのだ。戦場で敵を殺して行くうちに、特に「アジア人を人間と思うな。殺せ」と繰り返し叩き込まれるうちに、人間としてのタガが外れ、“殺したくなってしまう”のである。ネルソンも、多くのベトナム人を殺した。それは自分の意思なのだ。<br /><span style="color: #800080;">戦争は人間を狂わせるのである。</span></p>
<p>ただ一つ、救いがあるのはベトナムでの戦闘中、ネルソンが敵に追われて塹壕に飛び込んだ時、出産するベトナム人女性を見て、殺さなかった事だ。少しは人間の心が残っていたのかも知れない。<br />それだからこそ、ネルソンは帰国後、人を殺した事を悔み、苦しんだ末に、日米両国で精力的に講演活動を行い、亡くなるまで戦争の現実を訴え続けた。このラストには、少しホッとさせられる。</p>
<p><br />まさに強烈な、塚本監督のすさまじい怒りに満ちた反戦映画だった。</p>
<p>上記に挙げたベトナム戦争後遺症ものでは、戦争から帰ってPTSDで苦しむ兵士たちは、戦争で心に傷を負った<span style="color: #000080;">被害者</span>という風に描かれていた。<br /><br />だが本作は、<span style="color: #0000ff;">そうした人たちは<strong>加害者</strong>でもある</span>、という側面を容赦なく描いている。圧倒的な兵力でベトナム人を殺しまくった、<span style="color: #800000;">人殺し</span>であることを痛烈に暴いている。</p>
<p>なるほど、これではアメリカで作られないはずだと思った。「あなたは人を殺しましたか？」という問いは、戦争に行ったすべての兵士に向けられているからである。</p>
<p>この映画は、過去の出来事を描いているだけではない。戦争は今も世界のあちこちで行なわれており、多くの罪もない人たちが、子供たちが殺されている。ガザ地区での殺戮は、本作のベトナム人殺戮と重なって見える。ウクライナでのブチャ虐殺も同様だ。そんな虐殺が何故起きたか…その答えを映画は鋭く描いている。</p>
<p>だから、戦争は絶対に起こしてはいけないと強く思う。そして圧倒的な武力で、力の弱い国の人々を殺している大国の指導者たちにも、本作は刃を突きつけているのである。<br />傑作だ。　　　（採点＝<span style="color: #ff0000;">&#x2605;&#x2605;&#x2605;&#x2605;&#x2605;</span>）</p>
<p><span style="font-size: 0.6em;">　ランキングに投票ください　→</span><span style="font-size: 0.8em;">　</span><a href="http://movie.blogmura.com/moviereview/"><img src="http://movie.blogmura.com/moviereview/img/moviereview88_31.gif" alt="にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ" width="88" height="31" border="0" /></a></p>
<p> </p>
<p><strong><span style="color: #0000ff;">（付記）</span></strong><br />残念な事に、当初は全国28館での公開が決まっていたが、その後たった<span style="color: #0000ff;">8館</span>（沖縄の2館を除きすべて配給のkinocinema系列館のみ）に縮小された。理由は「諸般の事情」とのみ説明されている。どこかから圧力でもかかったのだろうか。これはマスコミでも是非追及して欲しい。<br />公式ページのお詫び公告はこちら→<a href="https://nelsonsan.jp/news.html" target="_blank" rel="noopener">https://nelsonsan.jp/news.html</a></p>
<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-09-27T14:40:54+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-9480b0.html">
<title>Ｂ級娯楽映画　第１３４位　「濡れた唇」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-9480b0.html</link>
<description> 1972年・日本　　　75分製作・配給：日活監督：神代辰巳脚本：こうやまきよみ撮影：姫田真佐久音楽：世田のぼる助監督：村川透、鴨田好史企画：三浦朗
今回は、1970～80年代に一時代を築いた日活ロマ...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/nuretakuchibiru.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Nuretakuchibiru" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/nuretakuchibiru.jpg" alt="Nuretakuchibiru" width="129" height="185" align="left" border="0" /></a> 1972年・日本　　　75分<br />製作・配給：日活<br />監督：神代辰巳<br />脚本：こうやまきよみ<br />撮影：姫田真佐久<br />音楽：世田のぼる<br />助監督：村川透、鴨田好史<br />企画：三浦朗</p>
<p>今回は、1970～80年代に一時代を築いた日活ロマンポルノ作品の登場です。</p>]]><![CDATA[<p>日活と言えば、石原裕次郎、小林旭、吉永小百合、渡哲也、宍戸錠といったスターを抱え、特に裕次郎主演作では空前の大ヒットを飛ばし、私も映画館によく通いました。<br />しかしテレビの台頭に押され、映画観客数は1960年をピークに加速度的に減少、特に日活と大映は赤字が続き、1971年には大映が倒産、日活も同年8月に一般映画の製作中止を発表する等、大変な時代となりました。<br />日活はこの苦境を打開する為、低予算、製作日数は2週間程度、女優の裸やセックス・シーンのある、ピンク映画に毛が生えた程度の成人向け映画を製作する方向に舵を切りました。<br />その為、裕次郎をはじめとする多くの主演級日活俳優はほとんど退社する事となったのです。ずっと日活アクション、青春映画を愛し、観続けて来た私はショックを受けました。<br />これから日本映画はどうなるのだろう、暗澹たる気持ちになりました。</p>
<p>ロマンポルノは観る気が起きず、敬遠していたのですが、私がよく通った二番館では、東映や松竹の娯楽映画に、ロマンポルノを併映していたので、成り行きで何本かのロマンポルノも観る事となりました。</p>
<p>そんな時、いつものように入った映画館で、たまたま本作を観たのです（併映は藤純子の「緋牡丹博徒　仁義通します」）。</p>
<p>観てびっくりしました。なんとも風変わりな、優れた人間ドラマの快作でした。頭をガーンと殴られたような衝撃を受けました。</p>
<p>監督は当時無名の、これが監督２作目となる神代辰巳。初のロマンポルノ作品でした。<span style="color: #000080;">「これは凄い映画に出会った」</span>と歓喜しました。</p>
<p><br />主人公は、材木屋の住込み店員の金男（谷本一）。彼が勤める材木屋の主人の娘、幸子（嵯峨正子）とは恋仲です。二人で出かけた公園でアベックたちを見て金男は幸子に迫りますが、彼女は頑なに体を許してくれず、金男は欲求不満。ボソボソと「屈辱を受けました。腹でも切りますか？」と呟くのがなんともおかしい。</p>
<p>幸子と別れた後、金男は公園のアベックに悪戯しようとしますが、気後れして何も出来ません。なんとも気の弱い、情けない若者です。</p>
<p>金男は心が充たされず、街で見かけたチラシからデートクラブに電話し、洋子（絵沢萌子）というコールガールと出会います。</p>
<p>この洋子を演じる絵沢萌子さんが素晴らしい。ぽっちゃりとした体形に目には濃すぎるくらいのアイシャドー。他のロマンポルノに出演する女優とは明らかに違う、不美人です（そういうメイクと役作りで、絵沢さんが不美人というわけではありません、念の為）。しかしそれ故、何とも言えない、ふてぶてしさと生活感が漂います。</p>
<p><img style="margin: 3px;" title="Nuretakuchibiru2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/nuretakuchibiru2.jpg" alt="Nuretakuchibiru2" width="170" height="181" align="right" border="0" />一時はすっぽかされかけますが、何とか二人でホテルに入ります。しかし金男は童貞だったらしく、あえなく果てます。それを無表情で眺める絵沢さんの演技がまた見事。</p>
<p>金男は洋子にすっかり夢中になり、その後も何度かホテルで抱き合います。洋子は最初は金男を冷たくあしらいますが、だんだんと互いに魅かれ合うようになります。</p>
<p>ケッサクなのが、本屋で洋子が金男に、万引きせよとけしかけるシーン。それで金男が本を盗むと、洋子は「万引きよ～」と大声を出します。店員が逃げる金男を追いかけて行くと、その隙に洋子は平然と高そうな本を万引きします。このシーンには大笑い。<br />何とか逃げ延びた金男はムクレますが、それでも洋子の図太さに一目置きます。</p>
<p>内気な男と、したたかであっけらかんとした女。この取り合わせがなんとも愉快で楽しめます。</p>
<p>ある時、洋子のアパートで二人が戯れ合っていると、洋子のヒモの男、勇（足立義夫）がやって来て、勇と洋子は口論となります。すると洋子はコーラの瓶で思い切り勇を殴り、勇はあっけなく死んでしまいます。この辺りの演出も、何ともコミカルでトボけた味わいがあります。</p>
<p>ここから、二人の逃亡の旅が始まります。警察の目を逃れ、また恐怖心から逃れる為に二人はいろんな場所で抱き合います。<br /><span style="color: #000080;">犯罪を犯した男女二人の逃亡劇</span>は、<span style="color: #800000;">アメリカン・ニューシネマ</span>を思い出させますね。</p>
<p>二人は洋子の田舎に着きますが、そこで洋子の幼馴染み、清（粟津號）と出会い、既に洋子の家に刑事が張り込んでいると知らされます。<br />清には久子（相川圭子）という恋人がいますが、清はいやがる久子を誘い、こうして四人の男女の奇妙な逃亡劇が始まります。</p>
<p>四人はいつしか、それぞれのパートナーを交換し、洋子と清、金男と久子という組み合わせとなり、行く先々でコソ泥を繰り返しながら当てのない旅を続けます。</p>
<p>しかしそうした共同体生活にも終わりが近づきます。逃亡生活に嫌気がさした金男は、ある街で職探しを始め、四人の間に微妙な不協和音が流れ始めます。</p>
<p>金男は職探しに出かけ、残った三人は相変わらず泥棒を続けますが、タバコ屋を襲った清が犯行を目撃され、一緒にいた洋子は警察に捕まってしまいます。</p>
<p>洋子は刑事の厳しい取り調べを受けますが、いくら尋問されても、洋子は金男の姓も住所も知らないと言います。実際、知らなかったのですから。</p>
<p>ラストシーンも印象的です。洋子は警察署の廊下を「カネオ～」と叫びながら<span style="color: #000080;">何故か全裸で</span>引かれて行き、金男は洋子と待ち合わせの喫茶店の前で朝を迎え、２回クシャミをした所で映画は唐突にエンドマークとなります。</p>
<p><br />何とも不思議な映画です。</p>
<p>本来、ロマンポルノの１本として作られた成人映画であるにも関わらず、本作には嫌らしさも隠微なムードもなく、およそ“ポルノ”とは縁遠い、若者たちの不安定で無目的に彷徨う姿をそのまま切り取ったような<span style="color: #0000ff;">青春映画</span>であり、また情けない男としたたかな女のおかしくも哀しい愛を描いた<span style="color: #000080;">人間ドラマ</span>とも言えます。</p>
<p>神代監督は、1968年に<strong>「かぶりつき人生」</strong>で監督デビューしましたが、これが記録的な不入りとなって以後4年間も干されていました。ロマンポルノの時代になって、まさに水を得た魚のように立て続けに傑作を撮るわけで、もしロマンポルノが誕生しなかったら、神代監督は映画を撮れないままだったかも知れません。運命とは不思議なものですね。</p>
<p>脚本のこうやまきよみとは、<strong><span style="color: #ff0000;">神</span></strong>代辰<strong><span style="color: #ff0000;">巳</span></strong>とやはり多くのロマンポルノを監督した<strong><span style="color: #ff0000;">山</span></strong>口<span style="color: #ff0000;"><strong>清</strong></span>一郎の共同ペンネームで、それぞれ２字づつ名前を組み合わせて作ったものです。</p>
<p>洋子を演じた絵沢萌子が実に自然な、素晴らしい巧演。金男を演じた谷本一、清を演じた粟津號もそれぞれ味のある好演。ちなみに、幸子を演じた嵯峨正子は後に山科ゆりと改名、ロマンポルノで活躍します。<br />そして今村昌平監督作品でもお馴染みの名カメラマン、姫田真佐久さんの撮影も見応えがあります。</p>
<p>また随所に出て来る、金男のボソボソとした呟きや、洋子が歌う春歌、猥歌などは、後の神代監督にもしばしば登場する人物設定という点でも、神代監督ファンなら絶対見逃せない作品です。</p>
<p>ポルノ映画でも、これほどまでに人間を、青春を描いた秀作になるのだ、私はその事に深い感銘を覚えました。</p>
<p>神代監督作は以後も数多く（ほとんど？）観ていますが、本作はその中でもロマンポルノを意識して観るきっかけを作ってくれた、私にとっても忘れられない作品です。</p>
<p>なお本作は地味な作品でありながら、1972年度映画芸術ベストテン6位、キネマ旬報ベストテン12位と高い評価を得ています。</p>
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<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>ベスト１５０　Ｂ級娯楽映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-09-23T23:31:21+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-c3541f.html">
<title>世界名作映画　第１３４位　「裏窓」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-c3541f.html</link>
<description> 1954年・アメリカ　　　112分日本公開：1955年製作・配給：パラマウント映画原題：Rear Window製作：アルフレッド・ヒッチコック監督：アルフレッド・ヒッチコック原作：コーネル・ウールリ...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/rearwindow.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Rearwindow" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/rearwindow.jpg" alt="Rearwindow" width="130" height="182" align="left" border="0" /></a> 1954年・アメリカ　　　112分<br />日本公開：1955年<br />製作・配給：パラマウント映画<br />原題：Rear Window<br />製作：アルフレッド・ヒッチコック<br />監督：アルフレッド・ヒッチコック<br />原作：コーネル・ウールリッチ<br />脚色：ジョン・マイケル・ヘイズ<br />撮影：ロバート・バークス<br />音楽：フランツ・ワックスマン</p>
<p>お気に入り、ヒッチコック監督の、<a href="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/07/post-3764f3.html">「ダイヤルMを廻せ！」</a>の次の作品。なんと「ダイヤルM－」と同じ1954年の製作なんですね。翌1955年には<strong>「泥棒成金」</strong>と<strong>「ハリーの災難」</strong>といった具合に、この頃のヒッチコックは年に２本づつ、コンスタントに監督していて、そしてどれもなかなか面白い作品ばかり。56年には<strong>「知りすぎていた男」</strong>と、この時期のヒッチコックはまさに絶好調ですね。</p>]]><![CDATA[<p>原作は多くのサスペンス映画に原作を提供しているコーネル・ウールリッチの短編小説です。これを脚本家のジョン・マイケル・ヘイズがうまく纏め上げています。</p>
<p><br />舞台はニューヨークのダウン・タウン、グリニッチ・ヴィレッジのあるアパートの一室。雑誌社のカメラマン、ジェフ（ジェームズ・ステュワート）が左足を骨折して車椅子に座って寝ています。足のギプスには「ここにL・B・ジェフリーズの折れた骨が眠る」と書かれています。カメラはそこからパンしてテーブルの上の壊れたカメラ、その上に派手に横転する瞬間のレーシングカーの写真、その他いろいろ決定的瞬間を撮った写真が並べられています（核実験のキノコ雲の写真まであるのには驚き）。<br /><br />これだけで、何の説明もなくても、ジェフは報道カメラマンとして危険な現場にも立ち会って撮影するのが仕事で、例のレーシングカー横転の写真を撮った時に近づき過ぎて事故に会い、足を骨折した事が判ります。秀逸なオープニングですね。</p>
<p>アパートは表通りから離れた、中庭がある建物で、向かいにも同じようなアパートがあり、夏の暑い時期で（華氏93度の温度計が写ります）、当時はまだエアコンなどなかったのか、<span style="color: #000080;">どの家も窓を開けたまま</span>。ジェフの部屋からはその向かいのアパートの部屋の中が丸見えです。</p>
<p>カメラは、向かいの部屋を一渡り、舐めるように撮って行きます。作曲家、テラスで寝ている中年夫婦、バレリーナ志願の女（ジェフはミス・トルソとあだ名をつけています）、女性彫刻家、新婚カップル、病床の妻と暮らしている銀髪の夫、その下の部屋にはこれもジェフがミス・ロンリーハートとあだ名をつけた孤独な女性…といった具合に、いろんな人たちのさまざまな人生模様が描かれて行きます。</p>
<p><img style="margin: 3px;" title="Rearwindow2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/rearwindow2.jpg" alt="Rearwindow2" width="207" height="130" align="right" border="0" />ジェフは退屈しのぎに、それらの家を観察していると、ちょうど訪れた看護婦のステラ（セルマ・リッター）に「出歯亀は禁固6ヶ月の罪ですよ」と言われてしまいます。</p>
<p>マッサージするステラとジェフの会話から、ジェフにはリサ・フレモント（グレース・ケリー）という恋人がいる事が判ります。彼女は売れっ子のファッション・モデルで、リッチな生活をしており、ジェフとの結婚を望んでいます。しかしジェフにはまだその気はありません。ジェフ曰く「彼女はパーク・アベニューの大金持ちだ。リッチな彼女が貧乏カメラマンと世界を回る姿を想像出来るか」。それでもステラは、結婚すべきとジェフを説得します。お喋りでおせっかい焼きの看護婦をセルマ・リッターが絶妙に演じています。</p>
<p>その晩、リサが訊ねて来て、ジェフにキスし、あと１週間でギプスが取れる前祝いで、有名レストランから給仕付きで出前を取ったり、いろいろ世話を焼きますが、今のまま気楽に生きたいジェフと、すぐにも結婚したいリサとは意見が合わず口論になったりします。リサが怒って「さよなら」とだけ言って帰ってしまいます。</p>
<p>一方でジェフが覗き見する向かいのアパートでは、銀髪男が夫婦喧嘩をしていたり、ミス・ロンリーハートが二人で暮らす生活を夢見て一人芝居を演じていたりと、何やら結婚生活のその後を暗示するような光景が見られるのが皮肉めいて面白いですね。脚本がよく練られています。</p>
<p>その夜、ジェフはどこの家か判らないが、ガラスの割れる音と女の悲鳴のような声を聞きます。この辺りから映画はジワジワと不穏な空気感が充満して行きます。</p>
<p>深夜、眠れないジェフが目を覚ますと、銀髪の大男が雨の中、重そうなトランクを持って出て行ったり戻って来たり、これを３度ほど繰り返します。どうも怪しいとジェフは感じます。</p>
<p>翌朝、ジェフは双眼鏡を取出し、銀髪男の部屋を覗くと、男はトランクを掃除したり、大きな肉切包丁やノコギリを新聞紙にくるんだり、また外を警戒したりと、ますます怪しい行動を取ります。素人目にも、銀髪男が妻を殺してバラバラにして死体をトランクに詰め、外に捨てに行ったのでは、と思えます。</p>
<p>その晩、やって来たリサに、ジェフは銀髪男に関し自分が見たままを話します。男は何故夜中に３度も外出したのか、セールスマンなのに何故仕事に出ないのか、あの肉切包丁は？、妻の部屋にはブラインドが降りたきりなのは何故か…。ジェフは男が妻を殺したのではないかと推理しリサに語ります。<br />リサは取り合わないばかりか、二人の大事な話をしている時にそんな妄想話を持ち出すなんてと怒り出します。そりゃ当然ですね。</p>
<p>ですが、リサも見てしまいます。男の妻の部屋のブラインドが上がり、そこには<span style="color: #000080;">妻の姿はなく、マットレスが片づけられ、梱包した大型のトランクがある</span>のを。これでさすがに、リサもジェフの話は真実ではないかと思い始め、動けないジェフの代りに協力する事となります。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Rearwindow6" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/rearwindow6.jpg" alt="Rearwindow6" width="362" height="248" border="0" /></div>
<p>リサの調査で、男の郵便受けの名前から、男の名前はラーズ・ソーワルド（レイモンド・バー）、貴金属セールスマンと判ります。ソーワルドは暗闇の部屋の中に居て、タバコの火だけが明滅しているのが不気味です。<span style="color: #800000;">ジワジワとサスペンスを盛り上げて行く</span>ヒッチコックの演出はさすがです。</p>
<p>翌日、ジェフは知り合いのドイル刑事（ウェンデル・コーリイ）に電話し、殺人事件が起きていると伝えます。マッサージに来ていたステラも興味を示します。<br />だが、刑事が来る前にソーワルドは運送屋を呼び、トランクを運び出します。これで証拠はなくなってしまいました。残念です。</p>
<p>昼過ぎ、ドイル刑事がやって来ます。ジェフの言い分を信じていないようですが、一応捜査を約束します。<br />しかしドイルの聞き込みでは、ソーワルドの妻は昨日転地療養に出かけて、郵便受けには妻からの手紙が来ているので事件ではないとジェフに伝えます。敵もなかなか知恵が回りますね。ドイルは帰ってしまいます。</p>
<p>ジェフはがっかりしますが、今度は<span style="color: #000080;">リサの方が事件に興味を持って</span>、あれこれ推理したりと活躍を始めるのが面白いですね。例えばソーワルドが妻のハンドバッグを出して来て、宝石や指輪を取り出した所をジェフが目撃し、その事をリサに話すと、彼女は「女は宝石や指輪を置いて旅に出るはずがない。療養に出かけたのは別の女」と言います。さすが女性の感ですね。それでもドイル刑事は信用してくれません。</p>
<p>ジェフとリサはますます意地になって、なんとかソーワルドの犯行を暴こうと頑張ります。時には、「彼女をどうした？」と書いた手紙をリサがソーワルドの家のドアの隙間に入れようとして、危うく見つかりそうになったり、ジェフがソーワルドの家に電話して彼を外におびき出し、その間にいろいろ調べようとしたりもします。</p>
<p>リサは大胆にもソーワルドの留守の間に、彼の部屋に忍び込み、指輪を探そうとします。なんと非常階段を昇って隣の家のテラスごしにソーワルドの家の窓に飛び移るのです。スタントを使ってるのでしょうが、見ててハラハラします。</p>
<p>ソーワルドが帰って来たらその家の電話を鳴らす手はずですが、同じ頃１階のミス・ロンリーハートが睡眠薬自殺を図ろうとしていたので、ジェフは警察に電話しますが、その間にソーワルドが帰って来たのでリサへの連絡が遅れ、リサは帰って来たソーワルドに見つかってしまいます。ミス・ロンリーハートの方は作曲家のピアノ曲を聴いた事で自殺を思いとどまるのですが。<br />リサは見つけた指輪を指にはめ、背中ごしにジェフに見せます。証拠の品を見つけた合図であると共に、ジェフに「結婚して」とお願いするサインにもなっているのですね。<br />しかしその合図を見たソーワルドは、ジェフの部屋の方を見ます。ジェフは見つかったと思って慌てて明かりを消しますが、却ってそれがリサの仲間がここにいるという証明になるとは、何とも皮肉ですね。この一連の流れ、脚本が本当によく出来ています。</p>
<p>ここから後はこまさに怒涛の急展開、スリル、サスペンスのつるべ打ちです。リサは警察に連行され、<span style="color: #000080;">ジェフ以外に誰もいなくなった部屋に、ソーワルドが侵入して来る</span>クライマックスは本当にハラハラドキドキ。</p>
<p>伏線としてよく出来ているのは、ジェフの部屋は入口のドアの前が3段の階段になっている点です。みんな慌てて出かけた為にドアに鍵がかかっておらず、ジェフが鍵を閉めようとしても、車椅子では階段を上ってドアの前まで行けないわけです。カメラのフラッシュが、ソーワルドが近づくのを一時的に妨害する道具となったのもうまい使い方です。</p>
<p>ジェフがあわや窓から落とされようとした時、警官隊が駆け付け、ソーワルドは捕まるのですが、ジェフは転落し、警官隊が捕まえてくれて助かるものの、反対の足を折ってしまって、ラストでは両足にギプスをはめているのが笑えます。</p>
<p>アパートの人たちの人生模様もいろいろ変化があり、ミス・ロンリーハートは作曲家の家にいました。やっと彼女にも恋のお相手が見つかったようですね。</p>
<p><br />実にうまく作られたサスペンスです。“主人公が足を折ってて動けない事”、“窓から覗き見をした事で、殺人が行なわれた形跡を見つける”という基本アイデアが秀逸ですし、脇の人物の配置も巧みです。アパートの住人たちも、単調になりがちな物語にうまくアクセントとなって作品に奥行を与えているのが出色です。</p>
<p>脚本のジョン・マイケル・ヘイズは、ヒッチコックとは初顔合わせでしたが、本作の出来を評価され、以後ヒッチコックとは<strong>「泥棒成金」</strong>、<strong>「ハリーの災難」</strong>、<strong>「知りすぎていた男」</strong>と立て続けにコンビを組んでいます。</p>
<p><img style="margin: 3px;" title="Rearwindow3" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/rearwindow3.jpg" alt="Rearwindow3" width="221" height="145" align="right" border="0" />どの作品にも出演するヒッチコックは、作曲家の部屋で時計のネジを巻いてる男として出演しています（右）。</p>
<p>出演者では、グレース・ケリーが<strong>「ダイヤルMを廻せ！」</strong>に続いてのヒロイン。綺麗でしたね。</p>
<p>不気味な犯人役を演じたレイモンド・バーはこの2年後、<strong>「ゴジラ」</strong>１作目(1954)にアメリカで一部シーンを追加撮影・再編集した<strong>「怪獣王ゴジラ」</strong>で、日本にやって来てゴジラと遭遇する新聞記者役を演じています。役名がスティーヴ・マーティンというのが笑えますね。<br />その後テレビで<strong>「ペリー・メイスン」</strong>等で活躍しますが、1967年から始まった<strong>「鬼警部アイアンサイド」</strong>では、<span style="color: #0000ff;">車椅子</span>の刑事を演じており、本作とも<span style="color: #993300;">車椅子の主人公</span>という共通性があるのが面白いですね。</p>
<p>何度観ても面白いし、ヒッチコックの脂の乗り切った演出が楽しめる、一級のサスペンスの秀作と言えるでしょう。<br />（1955年度キネマ旬報ベストテンでは、惜しくも<span style="color: #0000ff;">11位</span>でした）</p>
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<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>ベスト１５０　世界名作映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-09-21T23:45:56+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-65871b.html">
<title>Ｂ級娯楽映画　第１３５位　「生きていた男」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-65871b.html</link>
<description> 1958年・イギリス　　　87分日本公開：1958年製作：ダグラス・フェアバンクス・ジュニア・プロ配給：ワーナー・ブラザース映画原題：Chase a Crooked Shadow監督：マイケル・アン...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/chase-a-crooked-shadow.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Chase-a-crooked-shadow" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/chase-a-crooked-shadow.jpg" alt="Chase-a-crooked-shadow" width="130" height="195" align="left" border="0" /></a> 1958年・イギリス　　　87分<br />日本公開：1958年<br />製作：ダグラス・フェアバンクス・ジュニア・プロ<br />配給：ワーナー・ブラザース映画<br />原題：Chase a Crooked Shadow<br />監督：マイケル・アンダーソン<br />脚本： デイヴィッド・オスボーン、チャールズ・シンクレア<br />撮影：アーウィン・ヒリヤー<br />音楽：マチアス・セイバー<br />製作：ダグラス・フェアバンクス・ジュニア</p>
<p>これは、あまり知られていないけれど、ミステリー映画愛好家の間では知る人ぞ知る、ミステリーの隠れた秀作です。</p>]]><![CDATA[<p>なにしろ、川本三郎さんは<strong>「サスペンス映画ここにあり」</strong>でも詳しく解説されておられるし、ミステリー評論家の瀬戸川猛資さんも著書<strong>「シネマ免許皆伝」</strong>の中で絶賛されています。また山田宏一さんと和田誠さんの対談本<strong>「たかが映画じゃないか」</strong>の中でも、お二人が楽しそうに語り合っておられます。<br />本作は最後にどんでん返しがあるのですが、和田さんは「<span style="color: #000080;">騙されたのは『生きていた男』が最高じゃないかな</span>」と語っています。</p>
<p>こんな具合に映画通の方々がこぞって褒めているのを読んで、観たいなと前から思っていたのですが、テレビでもやってくれないし、TSUTAYAにもＤＶＤは置いてなくて、半ば諦めていたのですが、やっと５年前にTSUTAYAの復刻シネマライブラリーでレンタルされているのを知って、早速借りて観ました。</p>
<p>やっぱり面白かったです。どんなどんでん返しがあるのかと途中まであれこれ推測してみましたが、和田誠さんの仰る通り、見事に騙されました。</p>
<p>監督は、本作の2年前に<strong>「80日間世界一周」</strong>(1956)という豪華オールスター競演の娯楽大作を監督したマイケル・アンダーソン。その次にはジョージ・オーウェル原作のSF<strong>「１９８４」</strong>(1956。日本未公開)を監督したかと思えば、1964年には日米合作映画<strong>「あしやからの飛行」</strong>なんかも監督したり、なかなか守備範囲の広い監督です。</p>
<p>製作したのは、戦前に剣劇スターとして活躍したダグラス・フェアバンクスの息子ダグラス・フェアバンクス・ジュニア。この人も俳優として多くの映画に出演していますが、後にプロデューサーに転じました。出演作品で有名なのは、以前当ブログでも紹介したサスペンス映画の秀作<a href="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-ac47f0.html">「絶壁の彼方に」</a>(1950)ですね。</p>
<p><strong><span style="color: #0000ff; font-size: 0.9em;">（以下ネタバレあり）</span></strong></p>
<p>冒頭、スペイン・バルセロナのある建物の中で、１組の男女が８ミリ・フィルムを見ています。海岸沿いの、ある別荘の配置、間取りについて男が女に説明しています。女は別荘に電話し、別荘で行われる晩餐会スケジュールを問い合わせ、「客が帰るのはきっと１時過ぎ」と男に伝えます。いかにも何か怪しげな策略を練っているように見えます。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Chase-a-crooked-shadow2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/chase-a-crooked-shadow2.jpg" alt="Chase-a-crooked-shadow2" width="361" height="269" border="0" /></div>
<p>場面は変わって、その別荘での晩餐会が終わり、別荘主のキム・プレスコット（アン・バクスター）は客を送り出し、最後に叔父チャンドラー（アレクサンダー・ノックス）が、明日のランチの約束をして去って行きます。時間は夜の１時半です。</p>
<p>キムは少し疲れた様子で扉を閉めようとした時、いつの間に入って来たのか、１人の男（リチャード・トッド）が庭園にいるのを見つけます。男は「やあ」とキムに声をかけ、ズカズカと家の中に入って来ます。男はキムを昔から知っているような様子ですが、キムには全く覚えがありません。気味が悪くなったキムは警察に電話して、署長バルガス（ハーバート・ロム）がやって来ます。</p>
<p>署長は男に身分証明書、パスポートを見せよと迫り、男はそれを署長に見せますが、そこにはウォード・プレスコットの名前が。キムの兄です。<br />署長は「お嬢さん、悪ふざけはいけませんな」とパスポートを見せます。キムは、兄は１年前に死んだと言いますが、署長は身分証明、パスポートがある以上、この男は兄のウォードだと信じざるを得ません。<br />キムは「兄は１年前に自動車事故で死んだはず。私が遺体の確認もし、葬式も出した」と食い下がりますが、男は、「事故はあったが、ヒッチハイクの男に車を盗まれ、その男が事故を起こして死んだ。自分は溝に落とされ、意識をなくして最近まで入院していた」と言います。それでも男を疑うキムは「２階に兄の写真がある」と言い、警官に持って来させると、その写真も男のものでした。彼女が「兄なら右手首に錨の刺青があるはず」と言うと、男は手首の刺青を見せます。ここまで来ると、さすがに署長も男を兄のウォードと認めざるを得ません。「これ以上続けるなら逮捕する」とキムに言って引き揚げて行きます。</p>
<p>キムは、自分が持っている、父が遺していった巨額の宝石を男の一味が奪おうとしているのだと想像を掻き立てます。男は、「父が自殺した時に、パニック障害で入院していただろう？騒げば、また病院送りだ」とキムに言います。</p>
<p>我々観客は、一体どちらが正しいのかと混乱します。キムのいう通り、男は彼女が持つ巨額の宝石を狙う詐欺グループの一員かも知れないし、あるいは男の言う通り、兄だという事が判らない程精神を病んでいるのかも知れません。</p>
<p>翌日になると、男は今までいた家政婦や下男を解雇し、新しくホイットマンと名乗る家政婦（フェイス・ブルック）とカルロスという召使を雇い入れていました。キムは叔父とランチの約束をしていた事を思い出し、「もうじき叔父が来る。今度こそあなたが兄でない事が証明できる」と言いますが、その約束も勝手にキャンセルされていました。<br />実はこのホイットマン、冒頭で男と８ミリ・フィルムを見ていた女性です。観客にだけ、怪しい女だと知らせているのですね。益々訳が分からなくなります。</p>
<p>キムは男に、兄しか知らない自分の好みのカクテルを作れと言いますが、男は平然とカクテルを作り、それは兄が作ってくれた物と同じ味でした。また、車の得意な兄がかつて4マイルの湾岸道路を3分きっかりで走った事を思い出したキムは、また３分で走れるかと挑発すれば、男はキムをオープン・カーに乗せ、カーブの多い危険な道を3分少々で走りきって見せました。</p>
<p>こんな具合に、キムがいくら男に、兄しか出来ないはずの事をやらせても、その都度男はクリアして見せるのですから、観ている我々も、この男は本当に兄ではないかと思ってしまいます。</p>
<p>さらに奇怪な事が。ようやく叔父チャンドラーが別荘にやって来たと知ったキムは、やっと男の化けの皮を剥がせると勇み立ちますが、なんと叔父は男を見て「ウォード！」と呼びかけたのです。ただ１人の味方だと思っていた叔父まで。キムは呆然となります。謎は膨らむばかり。まるで不条理劇を見ているようです。</p>
<p>ですがここから事態は意外な方向に。男はキムに、彼女の父の会社から行方不明になった1000万ドル相当のダイヤモンドの行方を訊ねます。知らないと言うキムにホイットマンは、「貴方はモロッコ・タンジールの銀行に行ったはず」と伝えます。その銀行は国際法でも開示請求出来ない仕組みで、キムはどうやらその銀行の貸金庫にダイヤを預けたらしい。何もかも調べはついているようです。キムも結構ワルのようですね（笑）。</p>
<p>貸金庫を開示するには書類にキムの署名が必要で、男はサインをすればここから出て行くと約束する、しなければ通報すると脅します。叔父も男らの仲間になったようです。<br />一刻も早く男たちに出て行って欲しいキムは開示書類にサインします。</p>
<p>深夜、別荘内は静かになり、キムは邸内を探しますが誰もいません。名前を呼んでも現われない。キムはやっと男たちから解放されたと喜びますが、振り向くとホイットマンがそこにいました。<br />このシーン、いきなりホイットマンの顔のアップと驚かせる音響で、観ている方もビクッとなります。サスペンスの常道演出ですね。<br />しかもホイットマンが持って来たのは、異様に白いミルクが入ったコップ。ここはヒッチコック監督の<strong>「断崖」</strong>の名シーンを思い起こさせます。</p>
<p>それから後も物語は二転三転、バルガス署長がキムの味方になって、男の指紋が付いたグラスを持ってくればウォードの指紋と照合すると約束してくれたり、ダイヤが意外な所に隠されていたり、それを手に入れた男たちは、キムを海に誘って溺死させようとするかのような素振りを見せたり。キムは恐怖に震えます。</p>
<p>そこにバルガス署長が現れ、指紋照合の結果が出たとキムに伝えます。果たしてその結果は…。</p>
<p><br />淀川長治さんじゃないですが、さあ、ここからはもう話せません（笑）。</p>
<p>とにかく、実に手の込んだ脚本です。男は本当にキムの兄なのか、男やホイットマンはダイヤを狙う犯罪組織なのか、バルガス署長は本当に味方になってくれるのか……。<br />映画は最後の５分間で、全く予想外の結末へと導きます。これにはやられました。</p>
<p>エンドマークが出た後、プロデューサーのダグラス・フェアバンクス・ジュニア自身が登場し、「本作の結末は誰にも言わないでください」と観客に向かって語り掛けます。これも異色ですね。</p>
<p>後から考えたら、ちょっと無理な所もあるし、<span style="color: #c0c0c0;">警察</span>がそこまでやるか、というような疑問もあったりするのですが、観ている間はそんな疑問を感じさせないほど、スリリングでサスペンスフルな作品に仕上がっています。</p>
<p><img style="margin: 3px;" title="Chase-a-crooked-shadow4" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/chase-a-crooked-shadow4.jpg" alt="Chase-a-crooked-shadow4" width="174" height="176" align="right" border="0" />キムを演じたアン・バクスター（右）が熱演。署長を演じたハーバート・ロムは<strong>「絶壁の彼方に」</strong>にも出ていましたね。</p>
<p>本作に関して、ネタバレしているサイトもありますが、そんなのは決して読まないでください。またKINENOTEのあらすじは結末をバラしてますので、これも読まない事。</p>
<p>どうしても結末が知りたければ、TSUTAYAでレンタルされているので探してください。ＤＶＤ購入は高値が付いているようです。</p>
<p><span style="font-size: 0.6em;">　ランキングに投票ください　→</span><span style="font-size: 0.8em;">　</span><a href="http://movie.blogmura.com/moviereview/"><img src="http://movie.blogmura.com/moviereview/img/moviereview88_31.gif" alt="にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ" width="88" height="31" border="0" /></a></p>
<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>ベスト１５０　Ｂ級娯楽映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-09-17T22:54:50+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-a9d11d.html">
<title>世界名作映画　第１３５位　「フィールド・オブ・ドリームス」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-a9d11d.html</link>
<description> 1989年・アメリカ　　　107分日本公開：1990年製作：ゴードン・カンパニー・プロ＝ユニヴァーサル配給：東宝東和原題：Field of dreams監督：フィル・アルデン・ロビンソン原作：W・P...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/field-of-dreams.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Field-of-dreams" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/field-of-dreams.jpg" alt="Field-of-dreams" width="129" height="182" align="left" border="0" /></a> 1989年・アメリカ　　　107分<br />日本公開：1990年<br />製作：ゴードン・カンパニー・プロ＝ユニヴァーサル<br />配給：東宝東和<br />原題：Field of dreams<br />監督：フィル・アルデン・ロビンソン<br />原作：W・P・キンセラ<br />脚本：フィル・アルデン・ロビンソン<br />撮影：ジョン・リンドレー<br />音楽：ジェームズ・ホーナー<br />製作：ローレンス・ゴードン、チャールズ・ゴードン</p>
<p>この作品も、私の大好きな秀作です。公開当時、封切りで観てとても感動しました。</p>]]><![CDATA[<p>一言で言えば<span style="color: #000080;">“幽霊もの”</span>になるんでしょうけど、そういうカテゴリーで括れないほど、本作は<span style="color: #000080;">ファンタジー</span>でもあり、<span style="color: #000080;">野球愛</span>、<span style="color: #000080;">夫婦愛</span>の物語でもあり、最後に<span style="color: #000080;">親子愛</span>で締めくくられる、ジャンルを超えた名作になっています。</p>
<p>原作は1982年にウィリアム・パトリック・キンセラが発表した小説<strong>「シューレス・ジョー」</strong>。この原作に感動した新人監督のフィル・アルデン・ロビンソンはすぐに映画化を熱望しましたが、どこの映画会社も「<span style="color: #000080;">野球選手の幽霊</span>が出て来るなんて映画にならない」と相手にされず、それでも諦めずに、自ら書いた脚本をあちこちのプロダクションに持ち込むなど努力を重ね、ようやく<strong>「ストリート・オブ・ファイヤー」</strong>、<strong>「ダイ・ハード」</strong>等の秀作アクション映画でヒットを飛ばしていた、プロデューサーのローレンス・ゴードン率いるゴードン・カンパニー・プロダクションが映画化を引き受け、構想から６年の歳月をかけて完成に漕ぎつけたという事です。　</p>
<p><br />映画の冒頭は、主人公レイ・キンセラ（ケヴィン・コスナー）の語りで1900年代初頭、レイの父親、ジョン・キンセラ（ドワイヤー・ブラウン）が兵役から帰って来てシカゴに住み、メジャー・リーグのホワイトソックスのファンになり、同チームで起きた８人の野球選手の八百長事件では号泣した、等の経歴が語られます。この事件で、<span style="color: #000080;">シューレス・ジョー</span>と呼ばれたジョー・ジャクソンも球界を追放になっています。<span style="color: #800000;">原作タイトル</span>（「シューレス・ジョー」）からも分かるように、この事件とシューレス・ジョーは、本作の重要なキーとなります。なお父ジョンも、マイナーで12年間プレーしています。これも重要なポイントです。</p>
<p>1935年、ジョンは結婚し、52年にレイが生れました。母は早く死に、ジョンが母親代わりとなってレイを育てます。おとぎ話代わりに、レイはベーブ・ルースやシューレス・ジョーの話を聞かされます。その後レイは<span style="color: #000080;">父に反撥して</span>家を出て、74年にアイオワ出身のアニー（エイミー・マディガン）と出会い結婚、娘カリン（ギャビー・ホフマン）が生れます。やがてアニーは農場を買おうと言い出し、夫妻はアイオワでトウモロコシ農場を経営する事となります。…レイの語りはここで終わります。当時の記録映像やレイ一家のアルバム写真、新聞記事等をコラージュしたバックの映像も見どころです。なおレイは36歳と語っているので、現在は1988年という事になります。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Field-of-dreams7" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/field-of-dreams7.jpg" alt="Field-of-dreams7" width="363" height="188" border="0" /></div>
<p>ある夕暮れ、レイはトウモロコシ畑で<span style="color: #ff0000;">「それを作れば、彼がやって来る」</span>という声を聴きます。空耳か、誰かのいたずらかとも考えますが、その言葉はどこに居ても、何度も耳に飛び込んで来ます。ある時には一瞬、畑に野球場の幻を見ます。レイは、これは野球場を作れという何かのお告げだと考え、妻アニーに、畑を潰して野球場を作ると宣言します。<br />この時のレイとアニーやカリンとの会話の中で、レイは八百長で追放になり、失意のうちに死んだシューレス・ジョーの話をします。<span style="color: #0000ff;">本当は無実だった</span>とも語ります。これはシューレス・ジョーを知らない観客に解り易く彼の事を伝える為でしょう。親切です。</p>
<p>レイは妻にこう訴えます。「親父にも野球選手となる夢はあった。だが何一つ冒険はしなかった。僕はそうなるのが怖い。そういう冒険が出来るのも、今が最後だ。野球場を作りたい。バカな考えかな」<br />それに対し、アニーは、「あなたが本気でそうしたいと思うなら、するべきよ」と答えます。いい奥さんですね。</p>
<p>その言葉にも押されて、レイは機材を使ってトウモロコシ畑の一部を潰し、野球場の建設を始めます。経営状態も順調とは言えず、そんな事をすれば経営不振で農場を手放さなければいけない事態も起こり得ますが、それでもレイとアニーは野球場作りに邁進します。周囲の人間は彼を頭がおかしくなったのかと笑い物にしますが、レイ一家は意に介しません。そうして、レイ一家の家の前に野球場は完成します。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Field-of-dreams2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/field-of-dreams2.jpg" alt="Field-of-dreams2" width="362" height="196" border="0" /></div>
<p>1年が過ぎたある日、カリンが野球場にユニフォーム姿の誰かがいるのを発見します。シューレス・ジョー（レイ・リオッタ）でした。このシーンはちょっと感動します。まさか本当に（幽霊の）シューレス・ジョーが現われるなんて。<br /><img style="margin: 3px;" title="Field-of-dreams3" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/field-of-dreams3.jpg" alt="Field-of-dreams3" width="189" height="101" align="right" border="0" />ジョーはレイに訊きます「ここは天国か？」レイは「アイオワさ」と返します。二人は意気投合し、ジョーはレイの投げる球を打ち返す等、久しぶりに野球が出来る喜びを満喫します。そして翌日には八百長事件で球界を追放されたホワイトソックスの残り７人のメンバーも姿を現します。みんな数十年ぶりに野球が出来て心から楽しそうです。<span style="color: #000080;">野球場を作ったのは間違いじゃなかった</span>、レイは感極まります。だが選手たちの姿はアニーの母や兄マーク（ティモシー・バスフィールド）たちには見えず、<span style="color: #800000;">レイ一家にしか見えません</span>。夢を信じる人にしか見えないのかも知れませんね。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Field-of-dreams4" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/field-of-dreams4.jpg" alt="Field-of-dreams4" width="363" height="195" border="0" /></div>
<p>ここまででも充分感動的ですが、お話はまだ続きます。レイはまたしても、今度は<span style="color: #0000ff;">「彼の苦痛を癒せ」</span>という声を聴きます。“彼”とは誰なのか。<br />そうするうち、レイは'60年代を代表する風刺作家で、ピューリツァー賞を受賞したテレンス・マン（ジェームズ・アール・ジョーンズ）の事を知ります。作品が不道徳だと世間に叩かれ、今では筆を追って世間の目を離れ隠遁生活を送っています。<br />調べるうち、その彼の15年前の最後のインタビューに、彼がかつて<span style="color: #000080;">野球選手になる夢を持っていた</span>事が語られていました。レイは彼に会いに行こうとしますが、農場の資金繰りに追われるアニーは反対します。しかし二人が前日に、レイとテレンスがフェンウェイ・パーク球場で野球を観戦しているという同じ夢を見ていた事が判り、アニーはレイを後押しする事とします。</p>
<p>レイは車でボストンに向かい、苦労してテレンスに会います。最初は頑なに話を聞こうともしなかったテレンスも、レイの情熱に圧され、二人でフェンウェイ・パーク球場に行き、レイはスコアボードに表示された第三のメッセージ「アーチー・“ムーンライト”・グラハム　ミネソタ州チゾム」を見つけます。テレンスもいつしかレイの熱い思いを共有するようになり、一緒にグラハムを探しにミネソタに向かいます。</p>
<p>アーチー・グラハムは元野球選手で、生涯で1イニングだけメジャーの試合に出場しましたが、遂に打席に立つ機会を得ることなく引退して、その後は医者になっていました。きっと彼も、<span style="color: #000080;">もう一度野球をやりたいという思いを抱えていた事でしょう</span>。その思いはテレンスも、ホワイトソックスの８人も皆同じでしょう。</p>
<p>しかしグラハムは72年に亡くなっていました。ホテルに泊まったレイは夜の町に出て歩くうち、いつの間にか1972年にタイムスリップし（映画館の看板に「ゴッドファーザー」<span style="color: #0000ff;">封切り</span>とあります）、存命のドク・グラハム（バート・ランカスター、右）に出会います。ウディ・アレン監督の<strong>「ミッドナイト・イン・パリ」</strong>を思い起こさせますね。<br /><img style="margin: 3px;" title="Field-of-dreams5" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/field-of-dreams5.jpg" alt="Field-of-dreams5" width="226" height="148" align="right" border="0" />レイは事情を話しアイオワに来て欲しいと頼みますが、もう老齢で先も長くない事を悟っているグラハムは街を出たくないと申し出を断ります。<br />がっかりしたレイは、テレンスをボストンに送ろうとしますが、テレンスはレイの作った野球場を見たいと言うので、二人はアイオワに向かいます。その途中、ヒッチハイクの若者を拾いますが、それは若き野球選手のアーチー・グラハムでした。彼も幽霊となって現代に現われたのでしょうね。</p>
<p>アイオワに戻ると、野球場では今は亡き名選手たちが次々と背後のトウモロコシ畑から姿を現し、試合を行っています。アーチーもそれに加わり、念願のバッターボックスに立ちます。</p>
<p>しかし農場は金銭的に行き詰まっており、マークの仲介によって、売却か差し押さえかの選択を迫られていました。レイは悩みます。どちらにしても夢の野球場は存続の危機です。</p>
<p>そこにカリンが「<span style="color: #0000ff;">売る必要はないわ</span>」と無邪気に語りかけます。その訳は、「<span style="color: #0000ff;">方々からお金を払って、ここを見に来るわ。野球が見られ、懐かしい気分になれる。農場は救われるわ</span>」。カリンちゃん、賢いですね。子供にしては商魂逞しいですが（笑）。<br />それにテレンスも同意します。「野球のグラウンドとゲームは、この国の歴史の一部だ。<span style="color: #0000ff;">みんな無心な子供に立ち返って、間違いなくやって来る</span>」<br />この言葉が<span style="color: #000080;">ラストの伏線</span>になっています。この言葉を覚えていれば、ラストで必ず泣けるはずです。</p>
<p>二人に勇気付けられ、レイは農場は売らないと宣言します。その返答に怒ったマークがレイやカリンと揉み合いになり、カリンがベンチから落とされて意識を失います。<br />「救急車を！」とアニーが叫びますが、そこにアーチーが駆け寄ります。境界線を越えたアーチーは老ドク・グラハムの姿になり、適切な処置でカリンは息を吹き返します。</p>
<p>マークは激昂してしまった事をレイに詫びますが、その時<span style="color: #0000ff;">マークにも野球選手たちの姿がはっきり見えます</span>。マークも、レイの夢を信じる気持ちになったと言う事なのでしょうね。</p>
<p>ドク・グラハムはレイに感謝の言葉を伝え、トウモロコシ畑の中に消えて行きます。テレンスもジョーに誘われ、こちらも選手たちと一緒にトウモロコシ畑の中へ。</p>
<p>選手たちが去った後、一人残った選手がキャッチャーマスクを脱ぐと、それはレイの父親ジョンでした。若い頃の姿のままです。レイは家出したきり、父とは亡くなるまで会っていませんでした。<br />ここでレイは気付きます。<span style="color: #0000ff;"><strong>「彼がやって来る」</strong>とは、自分の父も含まれていた事。<strong>「彼の苦痛を癒せ」</strong>とは、息子と別れたまま死んで行った、</span><span style="color: #ff0000;">父の苦痛を癒す事</span><span style="color: #0000ff;">だ</span>と。<br />父ジョンと息子レイは、わだかまりを捨て和解します。泣けますね。</p>
<p>ジョンは「聞かせてくれ、ここは天国か？」と訊ね、レイは「アイオワさ」と、ジョーと会った時と同じ言葉を返します。でもやがてレイは<span style="color: #000080;">「もしかしたら、ここは天国かも</span>」と呟きます。</p>
<p>そして二人は、長年の夢であった親子のキャッチボールを始めます。陽が暮れ、明かりが灯る畑の中の野球場に、無数の車のヘッドライトが光の帯を作り、近づいて来ます。それをカメラは遥か上空から映し撮ります。ここで私は涙腺決壊です。ドッと泣けました。映画はそのまま幕を閉じます。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Field-of-dreams6" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/field-of-dreams6.jpg" alt="Field-of-dreams6" width="361" height="180" border="0" /></div>
<p>長々と書いて来ましたが、まったくどのシーン、セリフも素晴らしいです。すべてのセリフを書き写したいくらいです。</p>
<p>人間は誰もが、叶えられなかった夢への思い、あの時、こうしておけば良かった、などの後悔を抱えています。</p>
<p>この映画は、夢を信じ続ける事の大切さ、誰に何を言われようと、夢に向かって努力を重ねれば、きっといつか夢は叶えられる、それを力強く訴えかけています。また、そんな人を支え続ける家族愛の大切さも描いています。まさに珠玉の名作と言えるでしょう。</p>
<p>出演者では、ケヴィン・コスナーが役に嵌まった好演、妻役のエイミー・マディガンも素敵です。娘のカリンを演じたギャビー・ホフマンもとても可愛い、大人顔負けの好演です。<br />そしてムーンライト・グラハムを演じたバート・ランカスターがいぶし銀の名演、これはランカスターの遺作となりました。レテンス・マン役のジェームズ・アール・ジョーンズがまた渋い。本当にどの役者も適任で素晴らしい。</p>
<p>本作をどうしても作りたかった監督のフィル・アルデン・ロビンソンは、映画さながらに念願の“夢”を実現したわけで、まさにこの映画こそロビンソン監督にとっての“夢のフィールド”だったと言えるでしょう。</p>
<p>本作は第62回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、作曲賞にノミネートされました。また日本では1990年度キネマ旬報ベストテンで評論家選出部門で第２位、読者選出では見事ベストワンとなっています。私もその年の洋画ベストワンに選びました。</p>
<p>野球ファンには、特に大谷選手らの活躍で身近になったメジャー・リーグ・ファンには是非観ていただきたい、野球映画の最高作と言える、素敵な名作です。</p>
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<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>ベスト１５０　世界名作映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-09-15T20:21:23+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-d997dd.html">
<title>「私はあなたを知らない、」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-d997dd.html</link>
<description> 2026年・日本=フランス合作　　　126分製作：Pyramide Productions＝パイプライン配給：クロックワークス監督：中野量太原案：中野量太脚本：中野量太撮影：岩永洋音楽：世武裕子製作...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/watashihaanatawosiranai.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Watashihaanatawosiranai" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/watashihaanatawosiranai.jpg" alt="Watashihaanatawosiranai" width="130" height="184" align="left" border="0" /></a> 2026年・日本=フランス合作　　　126分<br />製作：Pyramide Productions＝パイプライン<br />配給：クロックワークス<br />監督：中野量太<br />原案：中野量太<br />脚本：中野量太<br />撮影：岩永洋<br />音楽：世武裕子<br />製作総指揮：藤本款<br />プロデューサー：深瀬和美、若林雄介</p>
<p>天涯孤独の青年の“家族”という幸せの形を追い求める姿を描く、日仏共同製作によるヒューマンサスペンス。監督は<strong>「兄を持ち運べるサイズに」</strong>の中野量太。中野監督としては<strong>「湯を沸かすほどの熱い愛」</strong>以来10年ぶりとなる完全オリジナル脚本である。主演は<strong>「盤上の向日葵」</strong>の坂口健太郎。共演は<strong>「違国日記」</strong>の早瀬憩、<strong>「バカ塗りの娘」</strong>の堀田真由、<strong>「木挽町のあだ討ち」</strong>の滝藤賢一、<strong>「百花」</strong>の原田美枝子など。</p>]]><![CDATA[<p>（物語）<span style="color: #000080;">天涯孤独の身である28歳の西山夕平（坂口健太郎）は、自分の中で決められたルーティンを黙々とこなすだけの生活を、寂しいとも感じずに生きて来た。そんな時、職場にやってきた新しいパート職員・東浜紗月（堀田真由）と出会い、生きる喜びを得た夕平の毎日は輝いて行く。ある日夕平は紗月から、彼女の5歳の娘・朝子（倉田瑛茉）を紹介される。紗月はシングルマザーだった。やがて紗月と朝子との生活によって、夕平はこれまで知らなかった“家族”という幸せの形を知り、その心を開放して行く。だがその生活は、二人のふとした心のすれ違いから脆くも崩れて行く…。</span></p>
<p><a href="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/post-8bcd.html">「湯を沸かすほどの熱い愛」</a>(2016)以後も、<strong>「長いお別れ」</strong>(2019)、<strong>「浅田家！」</strong>(2020)、<strong>「兄を持ち運べるサイズに」</strong>(2025)とコンスタントに監督作を発表している中野量太監督の新作である。実質的デビュー作<strong>「チチを撮りに」</strong>(2012)以後、どれもちょっと変わった<span style="color: #000080;">家族の物語</span>ばかり（そしてどれも秀作）を作って来た中野監督だが、本作はなんと“殺人事件”が絡むミステリー・タッチの作品である。それでもしっかりと、“家族”に関するドラマになっていた。</p>
<p><strong><span style="color: #0000ff; font-size: 0.9em;">（以下ネタバレあり）</span></strong></p>
<p>映画は、寝床で眼を見開いている28歳の夕平の顔のアップから始まる。目覚まし時計は朝6時59分。7時のアラームが鳴るやすぐに起き、朝の食事をして勤務先のゴム手袋製造工場で働き、夕食はカップ麺という平凡なルーティンライフが繰り返される。例外はたまに高級食パンを買うくらい。</p>
<p>両親は夕平の小さい頃に蒸発し、天涯孤独の身。口数も少なく、親しい友人もいないようだ。でもそんな環境を、寂しいとも思っていないように感じられる。</p>
<p>そんな時、夕平は新しく採用されたパート職員・東浜紗月の指導を頼まれる。大人しい夕平と違って明るい性格の紗月は、すぐに夕平と親しくなる。<br />夕平のアパートに自然に上がり込み、夕平が高級食パンを普通の包丁で不器用に切っているのを見ると、紗月は自宅からパン切り包丁を持って来る。綺麗にパンが切れるこの包丁を気に入った夕平が代金を払おうとすると、お金はいらない、貸してあげると言う。この包丁が小道具としてうまく利用されている。</p>
<p>やがて二人は付き合うようになるが、紗月に誘われて彼女の家に行くと、そこには５歳の子供・朝子（倉田瑛茉）がいた。紗月はシングルマザーだったのである。</p>
<p>不幸な生い立ちで、家族の暮らしを知らない夕平は、紗月と朝子との共同生活で、“家族”というものの温かみを初めて知る事となる。朝子も夕平に父親のように懐いてくれ、夕平は幸せな気持ちを噛み締める。紗月に、大切に育てれば綺麗な花が咲くというサボテンをプレゼントする。</p>
<p>そのうち紗月は夕平の会社を辞め、少し大きな会社に、正社員として働く事にする。朝子との将来を考えたら、収入の多い会社に勤め、<span style="color: #000080;">将来の生活を安定させる事が大事</span>だと紗月は考えている。当然帰りも遅くなるが、朝子の幼稚園への送り迎えは夕平に任せるつもりでいる。<br />夕平はそんな事より、<span style="color: #000080;">今の朝子との生活を大事にすべき</span>という考えだ。当然両者の考えはすれ違い、二人の仲は微妙なものになって行く。<span style="color: #800080;">朝子を大切にする、という点では両者は同じ考えのはず</span>なのに。</p>
<p>それでも夕平は、父親として朝子を大切に育てようと頑張る。幼稚園の運動会で一等賞を取らせようと、毎日朝子と一緒に公園で練習を重ねる。<br />だが本番の運動会で、朝子の靴が脱げた為、ビリになってしまう。どうしても練習の成果を見せたい夕平は競争のやり直しを求め、幼稚園側とトラブルになってしまう。</p>
<p>この事で夕平と紗月との間の溝は決定的なものとなる。夕平は純粋過ぎる故世間の感覚とずれ、今回のような<span style="color: #000080;">トラブルを招いてしまう人間</span>である事が判ってしまったのだ。紗月は夕平に別れを切り出す。朝子にも会うなと言う。</p>
<p>それでも夕平は、クレヨンセットを買ってあげるという朝子との約束を守ろうとするのだが、紗月はそれをストーカーだと警察に訴える。</p>
<p>難しい問題だ。せっかく手に入れた家族の幸せを手放したくない為に、周りを見ず暴走してしまう夕平。そんな男はもはや家族ではないと突き放す紗月。我々観客はどちらに味方していいか悩む事となる。</p>
<p>そして遂に不幸な事件が起きてしまう。アパートの２階の階段上で二人が口論し合ううち、紗月が階段から転落死してしまうのだ。<br />裁判では、夕平が包丁で切りつけたとして殺意があったと見做し、懲役15年の刑が言い渡される。夕平は何も抗弁しなかったようだ</p>
<p><br />映画はそれから13年後の2021年、高校を卒業したばかりの朝子（早瀬憩）の暮らしぶりを、冒頭から2008年の夕平の生活ぶりと並行して描いている。日付のテロップがないので時々混乱してしまうが、そこは東京スカイツリーの存在の有無でうまく表現している。</p>
<p>現在の朝子は、５歳の時の記憶がほとんどないのだが、ある日入院中の祖母・道代（原田美枝子）から12通の手紙を渡される。夕平が刑務所から送った物である。<br />道代が亡くなった後、朝子はこの手紙の送り主で、母・紗月を殺したとされる夕平に会ってみようと考える。</p>
<p>ここから、朝子が探偵役となって、裁判を担当した町村弁護士（滝藤賢一）にも会ったり、何度も夕平との面会を重ねたりしながら、事件は何故起きたのか、夕平に殺意はあったのか、等の謎を解き明かして行く、探偵ミステリー的展開となる。中野監督作としては珍しい構成だが、全体としてはやはり“家族の物語”となっている。</p>
<p>朝子が最初に面会した時、夕平は<span style="color: #000080;">「私はあなたを知らない」</span>と言う。知っているはずなのにあえてそう言ったのは、幼かった朝子への想いと記憶を封印したかったからだろう。思い出せば、余計切ない。</p>
<p>ミステリーとしてよく出来ているのは、紗月が転落死するシーンは、カメラは対峙する夕平の背後のずっと後方から撮っている為、夕平がどんな行動をしたのかはっきりと判らない点。</p>
<p>朝子が調べて行く過程で、凶器とされたのはパン切り包丁だった事が判る。おそらく夕平は紗月から借りていたパン切り包丁を返す為に持って来たのだろう。だがそれに驚いた紗月は自分を殺しに来たと勘違いし、後ずさりして自分で転落してしまったのかも知れない。それを再現シーンとして映像で見せているシーンが登場するが、あくまでそれは朝子の想像である。夕平に殺意があったのかどうかは最後まで分からない。解釈は観客に委ねられる。</p>
<p>朝子は、もう夕平を恨む気は失せている。だが母を死なせた事実は消えない。うまく行けば夕平は自分の大切な義父として、家族３人で暮らして行けたかも知れないのに、母と夕平の気持ちのすれ違いが、大切な家族二人を奪ってしまったのだ。つくづく、家族のありようは難しい。それも本作のテーマなのだろう。</p>
<p>仮出所した夕平に、朝子は町村弁護士を通して手紙を託す。そこには、切々とした自分の思いを語った末に、<span style="color: #ff0000;">「私はあなたを知らない、」</span>と書かれていた。これは最初に面会した時の夕平の言葉。そこに朝子の切ない思いが込められている。しかも最後は「。」ではなく「、」だ。完全に終わったわけではない、という気持ちも込められている。これがタイトルになっている。</p>
<p>それから５年後のエピローグもいい。夕平はタクシー運転手をやっている。前科者ではあるが、仕事に就けて見知らぬ人とのコミュニケーションも出来てるようでホッとさせてくれる。乗って来た赤ん坊を抱いた（眼鏡の）女性もニヤリとさせてくれる。また誰かとの出会いも予感させる、心温まるエンディングだ。</p>
<p><br />さすが中野監督、きめ細かく作り上げられた見事な脚本と腰の据わった丁寧な演出には、いつもながら感動させられる。クレヨンやサボテンなど、いろんな小道具の使い方もうまい。</p>
<p>出演者では、難しい役どころを演じた坂口健太郎が主演賞ものの巧演。18歳の朝子を演じた早瀬憩もいいし、5歳の朝子を演じた倉田瑛茉も可愛い。役者がみんな好演。</p>
<p>ミステリー・タッチという新ジャンルへの挑戦も見事にこなしたが、次はどんな作品を作るのか、中野監督の今後が楽しみだ。期待したい。　　（採点＝<span style="color: #ff0000;">&#x2605;&#x2605;&#x2605;&#x2605;&#x2606;</span>）</p>
<p><span style="font-size: 0.6em;">　ランキングに投票ください　→</span><span style="font-size: 0.8em;">　</span><a href="http://movie.blogmura.com/moviereview/"><img src="http://movie.blogmura.com/moviereview/img/moviereview88_31.gif" alt="にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ" width="88" height="31" border="0" /></a></p>
<p> </p>]]></content:encoded>


<dc:subject>映画</dc:subject>

<dc:creator>けい</dc:creator>
<dc:date>2026-09-12T17:08:14+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-ef64b8.html">
<title>Ｂ級娯楽映画　第１３６位　「蝿男の恐怖」</title>
<link>http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2026/09/post-ef64b8.html</link>
<description> 1958年・アメリカ　　　96分製作：２０世紀フォックス映画日本未公開原題： The Fly監督：カート・ニューマン原作：ジョルジュ・ランジュラン脚本： ジェームズ・クラヴェル撮影：カール・ストラス...</description>
<content:encoded><![CDATA[<p><a href="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/thefly.jpg" target="_blank" rel="noopener"><img style="margin: 3px;" title="Thefly" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/images/thefly.jpg" alt="Thefly" width="130" height="183" align="left" border="0" /></a> 1958年・アメリカ　　　96分<br />製作：２０世紀フォックス映画<br />日本未公開<br />原題： The Fly<br />監督：カート・ニューマン<br />原作：ジョルジュ・ランジュラン<br />脚本： ジェームズ・クラヴェル<br />撮影：カール・ストラス<br />音楽：ポール・ソーテル<br />製作：カート・ニューマン</p>
<p>ジョルジュ・ランジュランの小説「蝿」を映画化した、SFホラーの古典作品です。後にデヴィッド・クローネンバーグ監督により<strong>「ザ・フライ」</strong>(1986)としてリメイクされました。それくらいオリジナルの本作は評価が高いのですが、日本では<span style="color: #800000;">劇場未公開</span>で、現在に至るも劇場公開はされておりません。私は最初はテレビで観て面白いと思い、その後ビデオでも何度か観ました。それくらい好きな作品です。</p>]]><![CDATA[<p>世界名作ベスト１５０の方では劇場未公開作品はありませんが、こちらのベストではＢ級作品中心という事で、<span style="color: #000080;">未公開作品も対象とします</span>。何でもありです（笑）。</p>
<p><strong><span style="color: #0000ff; font-size: 0.9em;">（以下ネタバレあり）</span></strong></p>
<p>舞台はカナダ・モントリオール。ある電子機器工場で、夜警が夜の工場内を見回っていると、プレス機の操作音がし、その方向に行くと、プレス機の側から逃げて行く女性を発見、近づいてみると、血だらけのプレス機に挟まれた死体を見つけ驚愕します。</p>
<p>同じ頃、その電子工業会社を経営しているフランソワ・ドランブル（ビンセント・プライス）の元に、義妹のエレーヌ（パトリシア・オーウェンズ）から電話があり、夫のアンドレ（アル・ヘディソン）を殺した、すぐ来て欲しいとの事でした。にわかに信じられないフランソワ。しかしその直後に工場の夜警からも、プレス機に挟まれた死体を発見、女が逃げて行ったとの報告があり、エレーヌの言った事は本当だと確信し、友人のシャラス警部（ハーバート・マーシャル）に連絡して一緒に工場に向かいます。</p>
<p>死体は、頭と片手を潰されており、足の古傷からフランソワの弟で、エレーヌの夫・アンドレだと断定されます。フランソワはプレス機の操作盤を見て、機械が２度動かされている事を発見します。<br />警部が殺した理由を訊いても、エレーヌは「お答え出来ません」と言うだけです。その顔は何故かほっとしたような表情です。警部は精神異常を疑い、エレーヌは入院させられます。</p>
<p>二人の夫婦仲はとても良かったと誰もが証言します。そんな愛している夫を、エレーヌは何故殺したのか、プレス機は何故２度操作されたのか…。さらにエレーヌは何故かハエの羽音に異常に敏感で、ハエを殺そうとした看護婦に「殺さないで」と懇願します。</p>
<p>まさに謎だらけの、ミステリー的出だしです。ハエが何か鍵を握っている事だけは観客にも分かりますが。</p>
<p>フランソワによると、優秀な物理化学者のアンドレは、空軍の委嘱で何かを研究していたようなのですが、何を研究していたかはフランソワにも教えてくれません。フランソワと警部は研究室に行きますが、中の機械類は滅茶苦茶に壊されていました。これも謎です。</p>
<p>アンドレ夫妻の子供・フィリップ（チャールズ・ハーバート）はフランソワに引き取られますが、フィリップは「頭の白いハエを見た」と言います。エレーヌもそのハエを必死に探していた様子です。<br />その話を聞いたフランソワは、病院でエレーヌに会い、「君の探しているハエを見つけた。真実を話してくれ。言わないならハエを警察に渡す」と言います。無論ハエを見つけたという話は嘘です。</p>
<p>そこでエレーヌはようやく、この事件の真相を語り始めます。<span style="color: #800000;">ここからやっと、SF的展開となります</span>。</p>
<p><br />アンドレが研究していたのは、物体を瞬時に別の場所に移動させる<span style="color: #800000;">物質転送機</span>です。物体を原子レベルまで分解し、それを電波を通して移動させ、転送先で元の状態に戻すのです。</p>
<p>アンドレは妻に転送実験を見せます。「これが完成すれば、自動車も鉄道も飛行機もいらない。世界中にこの機械を置けば、人の移動も食料の輸送も簡単になる。飢饉もなくなる。人類の不安は解消できるんだ」と熱っぽく語ります。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Thefly2" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/thefly2.jpg" alt="Thefly2" width="362" height="172" border="0" /></div>
<p>最初の頃は文字が反対になったり、実験に使った猫が転送中に消滅したりと失敗を重ねますが、遂に動物の転送にも成功します。アンドレはお祝いしようとエレーヌに言いますが、彼女は「<span style="color: #0000ff;">神を冒涜するようで恐ろしい</span>」「<span style="color: #0000ff;">時代の変化が早すぎて怖くなる</span>」と言いますが、アンドレは「テレビやレントゲンは怖くないだろう？」と意に介しません。世紀の発明に、すっかり有頂天のようです。ノーベル科学賞も取れると思っているでしょう。<br />それでもエレーヌは「<span style="color: #ff0000;">進歩が速すぎて、ついて行けない</span>」と洩らします。この言葉は後述しますが、重要な意味を持ちます。</p>
<p>ところがある時から、アンドレは研究室にこもったきり出て来なくなります。食事を届けに行っても、物も言わず受け取るだけ。そして頭からすっぽりと黒い布を被っており、左手はポケットに入れたままです。<br />そのうち、アンドレはタイプで打ったメモに「実験に失敗した、頭の白いハエを探して欲しい」と書いてエレーヌに渡します。エレーヌは意味が分からないままに、家政婦や息子の手を借りて頭の白いハエを探しますが、見つかったと思ったら逃げ出したりでなかなか捕まえられません。</p>
<p><img style="margin: 3px;" title="Thefly8" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/thefly8.jpg" alt="Thefly8" width="184" height="103" align="right" border="0" />やがてアンドレは真相を手紙にしてエレーヌに見せます。アンドレが自分自身を実験台として転送を行なった時、転送機内に<span style="color: #000080;">１匹のハエが紛れ込んでいた為</span>、空中で両者の原子が混ざりあって、アンドレの頭部と左手がハエと入れ替わってしまったという訳です。頭の白い（つまり頭と左足だけがアンドレの）ハエを捕まえ、もう一度両者を同時転送させれば元に戻るかもと考えたのです。でも私の想像では、<span style="color: #000080;">もっと酷い怪物になってしまうのでは</span>と思いますが。リメイク版がそうでしたね。</p>
<p>アンドレが、いよいよハエの頭を見せるのは、終盤の始まってから73分辺りです。エレーヌがうっかり頭の黒布を取ってしまい、そのハエ頭を見て悲鳴を上げますが、出色なのはその際、複数のエレーヌの顔が画面いっぱいに並んでいる映像で、ハエの複眼の眼で見ればあんな風に見えるという事でしょうね。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Thefly5" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/thefly5.jpg" alt="Thefly5" width="362" height="158" border="0" /></div>
<p>アンドレはやがて、「神を恐れぬ実験をした報いだ」、「意思が失われて行く、もう限界だ、考える事も出来ない」とエレーヌに伝え、<span style="color: #800000;">殺してくれ</span>と懇願します。黒板に震える手で"<strong>I Love You</strong>"と書きつけるのが涙を誘います。<br />アンドレは転送装置を破壊し、研究ノートも燃やして、この<span style="color: #0000ff;">“人類に災厄をもたらしかねない悪魔の発明”</span>を自分の命ごと葬り去ろうとします。これは我が<strong>「ゴジラ」</strong>(1954)の芹沢博士（平田昭彦）の行動を思い起こさせますね。</p>
<p>そしてエレーヌは、アンドレの願いを聞き入れ、プレス機で彼のハエ人間の痕跡を消し去ったのです。機械を2度動かしたのは、１度目でハエの左手を潰し損ねたからでした。</p>
<p><br />エレーヌの話を聞き終えたフランソワとシャラス警部は、まだ信じられない様子。夫を殺した事実は覆せないと警部はエレーヌの逮捕状を取ります。精神錯乱という事で刑務所送りとはならないが、一生精神病院暮らしだと警部は言います。</p>
<p>だがエレーヌを逮捕し身柄を送致しようとした時、息子のフィリップが「庭に頭の白いハエがいる」とフランソワに教えに来ます。フランソワは警部と一緒にそこに行くと、蜘蛛の巣に引っかかった<span style="color: #800080;">頭がアンドレのハエ</span>が、蜘蛛に食べられそうになっていて、ハエはか細い声で「助けてくれ」と叫んでいます。<br />シャラス警部はあまりに信じられない光景に気が動転したのか、蜘蛛だけを殺そうとしたのか、その上に石を落して、結果ハエも潰されてしまいます。</p>
<div style="text-align: center;"><img style="margin: 3px;" title="Thefly6" src="https://otanocinema.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/thefly6.jpg" alt="Thefly6" width="362" height="241" border="0" /></div>
<p>それを見たフランソワはシャラス警部に、「頭がハエの人間を殺すことも、頭が人間のハエを殺すことも同じことで、<span style="color: #000080;">あなたも人殺しだ</span>」と告げます。<br />この言葉に打ちのめされた警部は、事件はアンドレの自殺として処理する事とし、エレーヌは無事釈放されます。</p>
<p>数日後、フランソワとエレーヌとフィリップの３人が、仲良く談笑する姿を捉えて映画は終わります。</p>
<p><br />ＳＦホラーとジャンル分けされていますが、出だしは殺人事件の謎を追うミステリー・タッチで始まり、ショッキングなシーンもありますがホラー要素は少なく、最後は夫を思う妻の夫婦愛で締めくくられる、ちょっと変わった味わいの異色作です。</p>
<p>何よりも本作は、<span style="color: #0000ff;">行き過ぎた科学の発達は、人類を幸福に導くのか、それとも災厄をもたらすのか</span>、という、ＳＦ映画の重要なテーマが提起されている点で、これは後に続く多くのSF映画（コンピュータの反乱等）でも度々打ち出されるテーマですが、本作はその嚆矢と言えるかも知れません。</p>
<p>今の時代、例えば“高度なA.I.が暴走し人間の制御が効かなくなる”という危険性が現実味を帯びているように、本作が訴えたテーマはますます重要なものになっていると言わざるを得ません。<br />本作は評判を呼び、<strong>「蝿男の逆襲」</strong>（1959）、<strong>「蝿男の呪い」</strong>（1965)の2本の続編が作られています。リメイク作<strong>「ザ・フライ」</strong>も続編が作られました。</p>
<p>また、本作の影響を受けた作品は映画、漫画、アニメを問わず数多く作られています。<br />1960年の東宝特撮映画<strong>「電送人間」</strong>には、まったく同じ発想の“人間電送”マシンが登場しますし、漫画<strong>「ドラえもん」</strong>に登場する“どこでもドア”は瞬時に人間が移動出来るという点で、まさしく物質転送機と言えるでしょう。<br />その他手塚治虫の<strong>「鉄腕アトム」</strong>にも、物質電送機のアクシデントで人間が他の動物等と融合したモンスターになってしまうという、本作のアイデアをまるまる戴いたエピソードが登場します。（詳細は<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/ハエ男の恐怖" target="_blank" rel="noopener">https://ja.wikipedia.org/wiki/ハエ男の恐怖</a>参照）</p>
<p>こんな具合に、後の作品に多くの影響を与えたという点でも、本作は後世に残る名作と言えるでしょう。これが日本未公開のままなのは、本当に残念です。</p>
<p>ＳＦ映画ファンなら観ておくべき秀作です。</p>
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<p><br /><span style="color: #0000ff;"><strong>（付記）</strong></span><br />脚本にジェームズ・クラヴェルの名前がありますが、この人は本作の後、1962年に大戦中の日本軍による米英捕虜収容所を舞台とした小説<strong>「キング・ラット」</strong>を発表し、これは1965年に映画化されました。本人も実際に日本軍捕虜となった経験があります。何やら<strong>「戦場にかける橋」</strong>のピエール・ブールとそっくりな経歴ですね。<br />その後も脚本家として、ジョン・スタージェス監督の<strong>「大脱走」</strong>(1963)や同じスタージェス監督<strong>「サタンバグ」</strong>(1964)等の脚本を書き、1967年にはシドニー・ポアチエ主演の心温まる佳作<strong>「いつも心に太陽を」</strong>の脚本・監督を手掛けました。そして1980年に大ヒットしたミニ・テレビシリーズ<strong>「将軍 　<strong id="mwBg">SHŌGUN</strong>」</strong>の原作を書きました。これは2024年にもリメイクされるほどの人気作です。<br />こういう錚々たる経歴の人が、<span style="color: #0000ff;">脚本家としてのデビュー作がＳＦホラーの本作</span>とは面白いですね。</p>]]></content:encoded>


<dc:subject>ベスト１５０　Ｂ級娯楽映画</dc:subject>

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<dc:date>2026-09-08T21:00:16+09:00</dc:date>
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